自然災害発生時の行動
山火事
出典:オーストラリア気象庁
森林火災はオーストラリアの環境にとって非常に身近な自然現象のひとつです。何千年も前から起きていますが、オーストラリアに住む人々にとっては人命、財産、環境に被害をもたらす可能性がある危険な災害でもあります。
その脅威は火炎にとどまらず、輻射熱、煙害、火の粉飛散、物の落下、地滑りなど広範囲にわたります。また、近年の気候変動下では、長時間の熱波や干ばつが発生する可能性が高く、その結果より頻繁で激しい森林火災の原因となっています。
気象局では、森林火災が発生する危険な天候が予想される場合、その当日の早朝と翌日の午後に、山火事気象警報(Fire Weather Warnings)を発表しています。 各州の最新山火事警報は全国警報概要(National Warnings Summary)から確認できるます。
オーストラリアの火災危険度(Australian Fire Danger Rating)
出典:Australian Fire Danger Rating System (AFDRS)
警報をチェックする際には、オーストラリアの火災危険度のレートを知っておく必要があります。レートは火災の制御・鎮圧の難易度を示すもので、各州の消防機関が評価しています。
山火事シーズンに備えて、手遅れにならないように避難計画を立てておき、レートを参考にして危険な地域を避けるルートも検討しておきましょう。地元の空き地、ダム、ビーチなども一時的な避難先として有効です。
火災危険度(The Fire Danger Rating System)
- 通常(No Rating):危険が最小限の日。この状況で発生した森林火災は、危険な形で広がったり、生命を脅かしたりする可能性は低いです。
- 中(Moderate):ほとんどの森林火災はコントロール下にありますが、避難計画と準備をしておきましょう。常に最新の情報を入手し、火災状況に注意しておきしましょう。
- 高(High):危険な森林火災の状況。住まいの地域でも火災が発生しないか警戒してください。火災が発生した場合、生命や財産が危険にさらされる可能性があります。必要に応じて危険な地域から離れましょう。
- 極限(Extreme):今すぐ避難行動をしてください。森林火災が急速に拡大しており、非常に危険な状況です。このレベル以上の地域には立ち入らないでください。
- 壊滅的(Catastrophic):生き延びるために直ちに危険地域から離れてください。森林火災が発生しやすい最も危険な状況で、家屋は火災に耐えられません。人命が失われる可能性が高いです。
山火事への事前準備
森林火災が発生すると、事態は数分のうちに急変します。事前に非常持出袋を準備し、どこへ避難するかを決めておきましょう。動物やペットを連れている場合は、その安全を確保できる場所を考慮しましょう。早めに避難することが生き延びるための最も安全な方法です。
山火事シーズンに森へ出かける場合は、目的地のオーストラリアの火災危険度(Australian Fire Danger Rating)をあらかじめチェックしておきましょう。
山火事発生時の対処
屋内にいる場合
屋内にいる場合、ドアや窓をできるだけ塞ぐことが重要です。屋外にいる場合、輻射熱や炎から身を守ることが重要です。
家の周囲を火災前線が通過している間は、屋内にとどまり、そこから最も遠くにある部屋に避難します。部屋の出口を少なくとも2カ所確保し、水道が近くにあるとよりよいです。
- 電気・ガスを切る。
- 火元に近いドアや窓はできるだけ密閉する。
- タオルや敷物を水に浸して出入り口の内側に敷く。
- 輻射熱を防ぐために手元にも濡らした布を置いておく。
- カーテンを下ろし、家具を窓から離す。
- 身を低くして煙にさらされないようにする。
- 露出した皮膚を毛布や衣服でおおい、低い姿勢を保つ。
- 脱水症状にならないよう、水分を十分に取る。
避難の際には、火元から一番遠い出口から逃げます。車で逃げる場合は、飛んでくる炎から身を守れるように、毛布・飲料水を車に積んでおきましょう。
屋外にいる場合
現地でもし炎が見えていたり、煙の匂いがしたりしたらそれが警告です。速やかに炎と煙が発生している地点から遠くへ離れましょう。
万が一、ブッシュウォークの途中や車を運転中に炎が見えたら、速やかにその地域を離れるようにしてください。興味本位で現場を訪れるのは危険ですので絶対にやめてください。山火事は一瞬で燃え広がり、命を失う危険があります。
山火事で亡くなる人の大半は輻射熱によるものです。避難する際には、長袖、長ズボン、革靴など防護服になるものを着ましょう。炎から離れていても、燃えさしの飛来や熱などにより山火事が新たに発生する場合がありるので、移動には危険が伴います。
最寄り避難所は管轄区域によって名称が異なりますが、一般に「エバキュエーション・センター(Evacuation Centre)」または「レリーフ・センター(Relief centre)」と呼ばれます。数は多くありませんが、宿泊場所・飲食料・衣類・トイレなどの支援が可能な比較的規模の大きい施設なので、しばらく家に戻れない場合は避難所を利用することも検討しましょう。
他にも「シェルター(Shelter)」「セーファー・スペース(Safer Space)」「レフュージ(Refuge)」などあるものの、多くは支援の整った施設ではなく山火事やサイクロンといった災害を一時的にしのぐための建物となっています。
煙への対処
ブッシュランドから500m以内に位置する家庭で、屋根に蒸発式エアコンを設置している場合、山火事の際に風に運ばれてくる燃えた樹皮や葉などの燃えかすによる火災のリスクが高まります。
燃えかすがエアコンの中に入り込み、屋根の隙間から火が出て家全体に急速に燃え広がることがあるので、蒸発式エアコンを設置している家は以下の対処をしてください。
- エアコンを運転し、フィルターパッドを水で濡らします。
- 煙が上空を通過したり、家の周りに灰が降り始めたら、エアコンを切ります。
- 可能であれば、ファンを止めた状態でフィルターに水をかけ続けます。
- 危険が去るまで、エアコンや家の周辺に燃えかすによる点火がないかチェックし続けます。
緊急時に大切な人と離れ離れになった場合に備えて、赤十字が全国的な登録・照会サービス「Register.Find.Reunite」を運営しています。被災した大切な人と連絡が取れない場合も利用することができます。
参考:オーストラリア気象局