自然災害発生時の行動

大雨・サイクロン


出典:オーストラリア気象庁

オーストラリアの多くの地域は、熱帯低気圧の影響を受けます。日本の台風に当たるサイクロンは、通常、海面水温が26.5℃以上のときに形成され、数日〜数週間も続くことがある上、不規則な経路をたどることもあります。そして、陸地または涼しい海上に移動すると消滅します。

オーストラリアのサイクロンのシーズンは、11月から4月までで、他の時期にサイクロンが影響を及ぼすことは稀です。毎年平均11個のサイクロンが発生し、そのうち平均4個がオーストラリアに上陸します。

サイクロン内は数百kmに及ぶ範囲で時速90kmを超える強風が吹くことがあり、中心付近で最も強い風が吹いています。大波が海岸浸食や建物への負荷など危険な影響を引き起こします。

また、サイクロン上陸後に内陸部で大雨が降り続くと、河川の氾濫を引き起こします。サイクロンの移動速度が遅いほど、累積降雨量が多くなる傾向があり、洪水の危険性が高まります。海岸に近い土地や低平地の広い範囲では浸水が起き、時に1km以上内陸に及ぶこともあります。日本に比べ、海や川の近くに建てられている家が多いので注意が必要です。

サイクロンの季節予報・注意報

オーストラリア気象局は毎年10月にサイクロンの季節予報(Tropical Cyclone Seasonal Outlooks)を発表しています。特にその影響を受けるWA州北西部、NT準州カーペンタリア湾、QLD州コーラル・シー諸島では、独自のサイクロンの季節予報も発表されます。

オーストラリア上空で時速62km(強風域)を超える風が吹く可能性がある場合、その沿岸地域にサイクロン・アドバイス(Tropical Cyclone Advices)が発令されます。 これはサイクロンの進路上にある各地域に注意報または警報を発表し、いつ影響を受けるかを知らせるもので、日本の台風注意報・警報に当たります。

  • サイクロン注意報:48時間以内に強風の発生が予想
  • サイクロン警報:24時間以内に強風の発生が予想、または既に発生

その後もサイクロンの脅威が残っている間は、注意報は6時間ごとに、警報は3時間ごとに更新されます。沿岸に接近するサイクロンがレーダー監視下にある場合、状況によっては1時間おきに警報が発表されることもあります。

熱帯低気圧の強さは、1(最も弱い)から5(最も強い)まで、最大平均風速に基づいたカテゴリーで表されます。

  • 1(Damaging):最大平均風速63〜88km/h、最大風速〜124km/h 家屋への被害は軽微。農作物、樹木などに被害。船は係留物が引きずられる可能性。
  • 2(Destructive):最大平均風速89〜117km/h、最大風速164km/h 危険。家屋に軽微な被害。標識、農作物、樹木などに大きな被害。停電の可能性あり。小型船舶の係留場所は破損の恐れ。
  • 3(Very destructive):最大平均風速118〜159km/h、最大風速224km/h 非常に危険。屋根や構造物にも被害。停電の可能性あり。
  • 4(Very destructive):最大平均風速160〜199km/h、最大風速279km/h 大規模な屋根の損壊と構造的にダメージ。危険な飛散物や広範な停電のリスク。
  • 5(Very destructive):最大平均風速200〜km/h、最大風速280km/h 大規模かつ広範な破壊を伴う極めて危険な状態。

参考:Tropical Cyclone Advices

大雨・サイクロン事発生時の対処

カテゴリー1のサイクロンが1日でカテゴリー3のサイクロンになることもあります。サイクロンが接近していないように見えても、その衝撃に備えておく必要があります。また、普段から自然災害に備えて、以下の事項も確認しておきます。

  • 防災グッズの準備
  • 水道・電気・ガスの供給を止める場所と方法
  • 家財保険や自動車保険への加入の有無
  • 重要な個人書類や保険書類の保管(復旧や保険金請求が容易になります)

サイクロン発生中は、地面の砂を勢いよく飛ばし、物が飛散するため、屋外にいると危険です。サイクロン警報が発令された場合は、屋内にとどまること。建物の中に待機し、横殴りの雨がドアや窓の隙間から侵入するのを防ぐために雨戸を閉め、ブラインドやカーテンを引きます。隙間にテープや板を貼ることも効果的です。

自宅の庭にある物はすべて固定し、可能であれば、車は屋根の下に駐車しましょう。路上駐車する場合は、木・電線・水路から離しておきます。

また、水道管に影響が出た場合に備え、流し台・容器・風呂などに清潔な水を入れておきます。

急に風が弱くなった場合は、サイクロンの目に入ったということかもしれません。強風はすぐに戻ってくるため、緊急サービスからオールクリアが発表されるまで外出は控えてください。命にかかわる緊急事態には、迷わず「000」に電話してください。

自治体の指示があった場合

近隣住民と共に速やかに避難を始めましょう。地元の自治体や緊急機関が、避難のための最善の方法を教えてくれます。

自宅を出る際には電気・ガス・水道を止め、すべての電気器具のプラグを抜いておきます。防災グッズを持ち、ドアに鍵をかけ、避難計画に従って行動しましょう。

旅行中や外出中の場合は、注意報の時点から速やかに避難してください。警報直前からの避難は、予定していたルートが倒木や急流に阻まれる可能性があり、非常に危険です。

車を運転している場合

車での移動は控えるべきですが、どうしても運転しなければならない場合は、速度を抑え、昼間でもヘッドライトを点灯してください。山沿いや海沿い、川沿いの道は避け、地形や状況の変化に細心の注意を払いましょう。前方が見えないほどの雨風の場合は、木や電線、水路のない場所に駐車し、運転可能になるまで車内で待機してください。

大雨・サイクロン被災後の対処

被災後は、電線や樹木の倒木、下水管や水道管の破損、屋根シートのゆるみ、その他のがれき、ガス漏れの可能性に注意しましょう。電気技師が点検するまで、電気や電化製品の電源は切っておき、ソーラーパネルが破損している場合は電源を入れないでください。ガス器具は使用前に点検してもらう必要があります。

また、被害状況を写真に撮っておき、できるだけ早く保険会社に連絡することで、保険金請求の査定が早くなります。賃貸物件の場合も、家主と家財保険会社にできるだけ早く連絡しましょう。

木製とプラスチック製の食器など、浸水したものは捨ててください。安全に洗浄する方法はありません。缶詰を含め、洪水に接触した薬・食品・飲料水、電気が通っていない冷凍食品・冷蔵食品は捨ててください。水道水は安全を確かめるまで、飲んだり調理したりすることを避けます。自治体からの煮沸消毒の指示に従ってください。金属製のフライパンや調理器具は、清潔な水で煮沸消毒してください。

2日以上濡れていたものは、通常カビが生え、洪水後の家には細菌や虫がいるかもしれません。カビが大量に発生している場合、専門業者に頼んでカビを掃除してもらいましょう。

がれきを安全に片付ける方法については、地元の自治体に問い合わせましょう。家とその中にあるすべてのものを乾燥させ、きれいにする必要があります。清掃の際には必ず防護服を着用し、アスベスト・セメントの破片を扱う際には特に注意が必要です。

緊急時に大切な人と離れ離れになった場合に備えて、赤十字が全国的な登録・照会サービス「Register.Find.Reunite」を運営しています。被災した大切な人と連絡が取れない場合も利用することができます。


参照:オーストラリア政府ホームページ

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