自然災害発生時の行動
落雷・雷雨
出典元:オーストラリア気象局
オーストラリアでは度々雷が発生しますが、通常は雨を伴うため「雷雨(Thunderstorms)」として報道されます。より激しい雷雨は「激しい雷雨(Severe Thunderstorms)」と呼ばれます。乾雷(雨を伴わない雷)は、オーストラリアの山火事の原因のひとつとなっています。
雷雨が最も多いのはNT州のダーウィン周辺です。NSW州とQLD州は、暖地と冷地の両方で雷雨の発生頻度が高いです。VIC州・TAS州・WA州南部・SA州の発生頻度は低いです。雷雨は通年発生しますが、9月から3月にかけては特に発生頻度が高くなります。
また、オーストラリアでは雹(Hail)も発生します。雹の直径は5~50mmまたはそれ以上で、ほとんどの雹は25mm以下ですが、航空機・家屋・車などのインフラや家畜・人に被害を与えることも。直径2cm以上の大きな雹を降らせた場合、激しい雷雨に分類されます。激しい雹害は、保険損害額においてオーストラリアで最も高額な自然災害のひとつです。
オーストラリア南部のいくつかの地域では、火災積雲(Pyro-cumulus)という火災などの煙の中で発生する雷雨があります。場合によっては噴煙の中で発生した落雷によって、新たな火災が発生することもあり危険です。
雷雨警報(Thunderstorm Warnings)
出典元:Department of Fire and Emergency Services
オーストラリア気象局は、雷雨情報を含む悪天候警報を観測し、深刻な災害が予想される場合に警報を発令します。そのうち、 雷雨警報(Thunderstorm Warnings)は通常12~24時間前に発表され、最大6時間まで有効です。警報のカテゴリは以下のように分けられています。
- 詳細警報(Detailed Warnings):激しい雷雨が都市のレーダーの範囲内で観測された場合に、その都市と周辺地域に対して具体的な情報を提供します。
- 州全体の広範警報(Broad-based State-wide Warnings):影響を受けるオーストラリア各州に対して発表され、今後3時間以内に激しい雷雨が発生する可能性のある広範な地域を示します。
オーストラリア各州の激しい雷雨警報は、全国警報概要(National Warnings Summary)から確認することができます。
雷雨発生時の対処
外出中の場合は、激しい雷雨の恐れがある時点で速やかに屋内に避難してください。ペットや動物も避難させ、安全を確保しましょう。雷雨に見舞われたら、屋外に安全な場所はありません。屋内にとどまり、窓やドア、天窓から離れた場所に避難して、雷雨が通り過ぎるまで外出しないようにしましょう。雷鳴が聞こえなくなってから30分間は安全な場所に待機してください。
稲光を見てから音が聞こえるまで間隔があったとしても、雷雲の大きさは数十キロあるので、既に雷雲の下にいるケースは少なくありません。雷鳴が聞こえたら建物の中など安全な場所へすぐに避難しましょう。
海水浴・水泳・サーフィンなどをしている場合は、すぐに水から離れてください。ボートに乗っている場合は、できるだけ早く陸に上がって避難してください。
避難する場所
建物の中
鉄筋コンクリートのようなしっかりした建物内にいると、雷が建物に落ちても電気が壁を伝って地面に逃げるため、安全に保たれます。木造建物も基本的には安全です。外で雷に遭遇した際は、できるだけ早く近くの建物に避難しましょう。
車やバス、電車などの乗り物
車、バス、電車などの乗り物も、通常は安全な場所です。窓をしっかり閉め、金属部分には触れないように注意してください。
周囲に避難場所がない場合
雷に遭遇した際に周りに避難できる建物がない場合は、しゃがんで身を守る姿勢をとりましょう。
両足を揃えてかかとを上げ、膝を曲げて低く構えることで、地面との接触を最小限に抑えます。また、両手で耳をふさぐと鼓膜を守ることができます。
さらに、電線の下は避雷針の役割を果たすため、電線の下にいることでリスクを軽減できます。
建物内で注意すること
鉄筋コンクリートの建物内にいれば、万が一雷が建物に直撃しても、電気が壁を通じて地面へ流れるため、基本的に安全です。木造建築もほぼ安全とされていますが、電話、電気器具、水道の蛇口などの金属部分に触れると感電する恐れがあるため、注意が必要です。
どの建物内でも、雷が近くに来た際は、電気器具、壁、天井から1メートル以上離れるよう心がけましょう。建物内や車内で感電した事例もあり、室内でも100%安全とは限りません。
また、雷による電化製品の被害額も大きいため、パソコンやその他の電子機器を守るために、コンセントやLANケーブルを外すようにしましょう。
雷雨被害で緊急に救助が必要な場合には「132-500」(SES)、怪我など生命の危険 に関わるような場合は「000」(警察)にすぐに電話してください。