その他の緊急時の行動
渡航した家族が行方不明・音信不通になった場合
海外出国者が増加するにつれて、海外で事件・事故に遭遇する日本人の数も年々増加しています。
日本の外務省や現地の総領事館には、家族の安否確認を求める相談が寄せられています。海外で家族が行方不明や音信不通になった場合に寄せられる主な相談内容は以下の通りです。
- 現地で大きな事件・災害が発生したらしいが、本人と連絡がとれない。
- 定期的に連絡をくれる本人から電話連絡がない。
- 帰国予定日を過ぎても本人が帰らない。
- 日本にいる家族が危篤になり、何度も連絡をしたが本人から返答がない。
- 本人が今どこにいるのか全く分からないので探してほしい。
しかし、そのほとんどが滞在国のどこにいるかは具体的にわからない、事件・災害のあった国に行ったらしい、といったあいまいな情報であるため、安否の確認は困難を極めます。少なくとも、何時ごろ、どの国のどの町に滞在していたといった情報がない限り、どこにいるかわからない人を捜すことは外務省でも非常に難しいとのこと。
外国で日本人が事件や事故に巻き込まれて重傷を負ったり、不幸にも亡くなった場合は、現地警察から連絡を受けた在外公館から日本の家族へ速やかに連絡があります。
オーストラリアなど海外に滞在する際、本人の場合は、海外での事件・事故のニュースを見て自分の安否を案ずる家族や友人がいることを忘れないようにしましょう。特に、大きな事件や災害が世界のどこかで起こったときは、自分の身は全く安全でも、家族の居場所のわからない身内にとっては、惨事に巻き込まれているかと心配でしょうがないもの。大事な人たちに心配をかけないよう、出国前には、滞在日程と滞在先の情報を残しておき、また、海外でも気軽に通信できる携帯電話とメッセージアプリを用意するなどして、安否を確認する手段を確保しておくことが必要です。
日本にいる家族の場合は、渡航する家族の滞在日程と滞在先の情報、緊急の連絡先を共有してもらっておくことが大事です。ただし、海外生活における時差や環境の変化も考え、すぐに返信がなくてもしばらく連絡を待ってみる気持ちの余裕も忘れないようにしましょう。
オーストラリアに渡航した家族・友人と音信不通にならないための注意
海外に出ても連絡手段はLINEやメールだけで、滞在先はおろか、どこに行っているのかも知らないという日本の家族は多数います。実際に安否を照会されている本人が事件・事故に巻き込まれていた例はまれで、家族が当人の連絡先を知らないために心配になり、在外公館や外務省に相談するケースがほとんどです。
渡航者側が注意すること
オーストラリアに3カ月以上滞在する場合、現地の在外公館に「在留届」を提出することが義務付けられています。「在留届」を提出しないと、自然災害や事故などの際に、自分の連絡先や住所がわからず、現地での安否確認や連絡が取れません。
オーストラリアの滞在が3カ月未満であれば「在留届」の提出は不要ですが、「たびレジ」への登録をしておきましょう。「たびレジ」とは、外務省からの最新の安全情報を日本語で受け取れる海外安全情報無料配信サービスです。
JAMS.TVウェブサイトでは、「在留届」に関する情報も掲載しています。併せてご参照ください。
オーストラリアに滞在中は、こまめに家族と連絡を取るようにしてください。滞在先を家族間で共有するとともに、相互に連絡がとれる手段を必ず確保しておくことで、音信不通を防ぐことができます。また、普段の生活状況を家族に伝えておくと、万が一事件などに巻き込まれた際の手がかりになることもあります。
総領事館には、日本の家族から渡航者の安否を気遣う連絡が寄せられます。このような際にも、「在留届」が提出されていないと当人と連絡が取れません。家族に定期的に連絡して、最新の連絡先や今後の予定を知らせておくようにするだけでも、もしもの時に双方が安心です。
日本の家族側が注意すること
渡航者が現地の生活に慣れてくれば、自然と連絡の回数も減ってくるものです。また、小旅行などで滞在地から離れている場合、何かと連絡の機会を逃す場合も多いでしょう。長期間の返信がないようならば、再度連絡を取るようにしてください。親しい間柄であれば、家族に関する何かしらの情報や、音信不通になっている原因を知っているかもしれません。
また、個人旅行の場合、急に旅程を変更するケースも多く、格安航空券ではフライトが遅延・取消になることも少なくありません。予定の航空機に乗れないことも良くあるため、しばらく連絡を待ってみても良いでしょう。
渡航者のクレジットカード会社を把握しておくと、クレジットカードの使用記録がある場合、ある程度の行動を掴むことができます。そのカード会社に問い合わせることもひとつの方法です。
オーストラリアに渡航した家族が行方不明・音信不通になった場合の対処
オーストラリアの在外公館は、在豪邦人のさまざまな相談を受け付けており、その解決に向けて支援や助言をしてくれます。
外務省では、海外安全に関する情報とサービス提供をしています。また、現地の在外公館にある資料をもとに行方不明・音信不通になった家族を調査する「所在調査」という行政サービスも用意されています。
- 海外安全相談センター:03-3581-3749
- 海外安全テレフォンサービス:03-3592-3940
- 海外安全ホームページ
外務省の所在調査
「所在調査」とは、海外で所在不明となった日本人について、外務省を通じて現地の日本領事館などの資料を調べてもらい、所在を調査する制度です。海外に住んでいる可能性が高く、長期に渡って所在が不明となっている日本人の住所・連絡先などを、在外公館にある資料をもとに調査する行政サービスです。
調査対象者は日本国籍で生存が見込まれる人物、申請人は三親等内の親族に限られます。対象国(地域)を1カ所だけ指定する必要があります。ただし、調査対象者の所在は分かるものの単に連絡をしていない、連絡可能なすべての親族や知人に所在確認をしていないといった事情がある場合は、申請が認められません。
「所在調査」に必要な書類は以下のとおりです。
- 申請書(調査対象者・申請人の情報、調査の目的、所在不明と判断した理由など)
- 戸籍謄本(調査対象者と申請人の関係を証明するもの)
- 調査対象者の戸籍の附票
- 遺産相続等の場合で、申請人と調査対象者との関係が分かりにくいときは、その関係を表す相関図
- その他、住所の手がかりとなる資料
- 回答書を送ってもらうための返信用封筒・切手
提出した書類の原本は戻ってきません。申請すると、外務省から依頼を受けた在外公館が所持している資料を調べます。その調査対象者の記録が見つかった場合、在外公館から電話または手紙で本人に連絡を取ってもらえます。
ただし、在外公館が調査対象者と連絡を取れた場合であっても、本人の同意が得られないときは、連絡先の回答はできません。
渡航者側の対処
何らかの緊急事態に巻き込まれた場合、自分が無事であることを日本の家族に伝えることも忘れないようにしましょう。
事件・災害の被害に遭った場合や、病気で入院した場合、逮捕・拘禁された場合などの緊急事態には、関係当局と連絡を取り、日本の家族・親族に対して概要を通報してもらえます。携帯電話での通話やメッセージの送信以外で、日本にいる家族にいち早く自分の状況を伝えるには、当事者からオーストラリアの日本大使館・総領事館に連絡する(拘禁されている場合は要請する)ことが重要です。
特に自然災害、騒乱や大規模な事故が発生した場合、在外公館はただちに日本人の被害について確認に努めます。万一被害に遭遇したら、たとえ無事であってもできるだけ早くその旨を在外公館に連絡してください。「在留届」を提出していると、公館側からの連絡もスムーズです。
日本にいる家族側の対処
海外にいる家族と連絡が取れない場合、事件や事故に巻き込まれた可能性も考えられます。他にも、現地の環境になじめず、引きこもってしまっているケースや違う土地に移動してしまうケースも少なくありません。時間とともに調査対象者の状況は変化し、所在を突き止めることが困難になります。
通常、海外にいる日本人が、所在の調査に関する親族の自助努力にもかかわらず、概ね6カ月以上音信が途絶えている場合、在外公館は親族から外務省への依頼に基づき、その所在確認のための調査、「所在調査」をします。この場合、現地事情にあった捜索の方法、現地警察への照会、捜索願いの提出方法に関して助言をもらえる他、万が一犯罪に巻き込まれている可能性がある場合には、現地関係機関に対して捜査の申し入れもしてくれます。
ただし、在外公館はオーストラリア国内であっても行方不明者の捜索活動を直接すること、諸費用を負担することはできません。また、在留国の行政機関への届出代行はできないため、外務省への「所在調査」申請などは家族自身で進める必要があります。外務省に「所在調査」を依頼することによって、現地の警察や行政機関、出入国管理事務所の出入国審査官などによってその足跡がもたらされる場合もあります。
家族・親族が現地に向かう場合は、外務省から住所地の都道府県パスポートセンターへ連絡し、できるだけ早く現地へ出発できるようパスポートの緊急発給の要請もしてくれます。
不幸にして死亡事件・事故となった場合は、遺族に対して必要な援助を行い、遺族の意向に従って遺体を日本に送る手続き、または適切な処置などについて支援・助言をしてくれます。
内部リンク