事故発生時の行動

交通事故

オーストラリアでは、毎年1,000人以上の交通事故死者が出ています。交通事故の原因の多くがスピード違反であり、飲酒運転と薬物運転がこれに続きます。また、広大なオーストラリアは長距離運転の機会も多く、疲労運転も原因のひとつとして挙げられます。

日本では1杯でもアルコールを摂取すると運転が禁止されますが、オーストラリアでは血中のアルコール濃度が0.05%以下は運転が可能です(フルライセンスの場合)。しかし、アルコールに対する耐性は人種や体質、体調によって大きく異なるため、法律の範囲内であっても飲酒後の運転は避けるべきです。

オーストラリアで交通事故を起こした場合、負傷者(その加害者・被害者ともに)は、加害車両をカバーするCTP保険(Compulsory Third Party Insurance)会社を通じて経済的支援を受けることができます。

外国の免許証で運転する場合の規則は、お住まいの州によって異なります。隔週の免許に関する規則は、以下のウェブサイトから確認できます。

保険の種類

CPT保険(Compulsory Third Party Insurance)

車両登録をする場合に加入が必須の保険です。日本の自賠責保険に当たるもので、自動車事故で他人(同乗者など)が負傷した際に、車の持ち主や運転者の法的責任をカバーしてくれます。

車の運転により他人を負傷させてしまった場合、怪我をした人はその車をカバーしているCTP保険会社から賠償金を受け取ることが可能です。怪我をした人が、事故を起こした運転者を直接訴えることは認められていません。

オーストラリアのCTP保険は、車両のダメージについては一切カバーされないので、注意が必要です。

対物賠償保険(Third Party Car Insurance)

事故相手の車や物だけを補償する保険。 自分の車や物に損害があったとしてもカバーされず、保険金は支払われません。任意保険ですが、オーストラリアで運転する以上は、最低限この保険に加入することをおすすめします。

総合自動車保険(Comprehensive Car Insurance)

日本の車両保険に当たるプランも含まれた総合自動車保険です。オプションでレンタカーやロードサービスが選択できるため、パンクやバッテリー上がりなどのトラブルにも対応してもらえます。

車の運転で注意すべきこと

オーストラリアは日本と同じ左側通行で、交通ルールも一部を除いて大きな違いはありません。無保険での運転は避け、必ずルールを守りましょう。

飲酒の上での運転に関しては、規制値以上の飲酒量でなくても十分に気をつけてください。運転者の血中アルコール濃度は、0.05まで。教習許可証(L)または仮免許証(P1・P2)を所持している人の血中アルコール濃度は、0.00です。事故を起こした場合、薬物を使用していたり飲酒していたりすると、厳しく処罰されるとともに事故に関する保険のカバーも適用されません。

日本と違って天候が急激に変化したり、カンガルーなどの野生動物が飛び出してきたりと、交通環境は厳しい面もあります。特に、動物に対する注意標識が表示してある地域は、速度を控えるなど細心の注意が必要です。動物に衝突して車のコントロールを失い、他の車や建物、人を巻き込んでしまうことがよくあります。また、地方では平坦な道が長く続くので、眠気を感じたら車を止めて仮眠をとることも重要です。

制限速度は厳守してください。標識がない場合、都市部での制限速度は時速50km、郊外では時速100kmです。学校の近くでは下校時間帯に時速40kmの規制があります。その時間帯以外でも、子どもの道路横断や飛び出しには常に注意を払ってください。日本に比べ制限速度はかなり厳しく、少しでも制限速度をオーバーすると罰則・罰金が科されます。

休暇シーズンは交通事故が増加するためダブルデメリット制度があり、減点数・罰金額が倍になります。取り締まる警察官の数も通常より多くなるため、交通標識・信号・周囲の交通状況に注意し、普段以上に安全運転を心掛けましょう。

オーストラリアで車を運転する際は、他にも次のことに注意してください。

  • 運転技術に自信のない場合は運転しない。
  • 急ハンドルや急ブレーキ、急発進を避ける。
  • 運転者と同乗者全員がシートベルトを着用する。
  • 信号待ちの停車時でも、運転中は携帯電話を使用しない。
  • 薬物を使用して運転は絶対にしない。
  • 法律の範囲内であってもの飲酒運転は避ける。
  • 長距離運転をする場合は、必ず休憩時間を取る。
  • 都市部では歩行者の信号無視が目立つので、信号に従って走っていても周囲の状況には常に注意を払う。
  • 郊外の道路は対面2車線で速度110kmの道路も多いため、無理な追い越しをしない。
  • 夜間の田舎道では、急に飛び出してくる野生動物に注意する。
  • レンターカーを借りる場合、きちんと保険を掛ける。
  • 自動車を購入した場合、顔見知りからの購入であったとしても必ず名義変更の手続きをしておく。

自転車に乗る場合でも、夜間走行する際には必ずライトを点灯し、反射ベストを着用したり、自転車に反射材を装着して、安全に走行するようにしましょう。

以下のウェブサイトは、オーストラリアの各州政府が提供しているもので、道路規則・通行料金・交通状況に関する総合的な情報が掲載されています。

交通事故に巻き込まれたときの対処

事故車がそのまま道路に残っていると、後続車が衝突して二次被害を引き起こす可能性があります。車が動かせる場合は、速やかに安全な場所や路肩へ移動させましょう。もし移動が難しい場合は、ハザードランプを点灯し、発炎筒や三角表示板を使って後続車に注意を促します。三角表示板は別途購入が必要ですが、発炎筒は通常、助手席の足元に設置されていますので、事前に確認しておくと安心です。

日本ではどんな事故でも警察に一報する必要がありますが、オーストラリアでは車同士の衝突など軽い物損事故だけの場合、警察に届け出る必要がありません。事故現場によっては重複事故を防ぐため、ハザードライトを点滅させるなどして現場周辺のドライバーに注意を促してください。

まずは、直ちに車を停車して安全確認をしてください。事故相手を含め、負傷者がいないか確認をします。

負傷者がいない場合

負傷者がいない場合、事故相手とお互いの連絡先・氏名・自動車の詳細・登録ナンバーを交換してください。目撃者がいれば、その連絡先も聞いておくべきです。お互いの車が走行可能であれば、そのまま運転して構いません。事故相手とトラブルになりそうな場合は躊躇せず警察に通報しましょう。落ち着いたタイミングで、自分が加入している保険会社に報告しましょう。

負傷者がいない場合であっても大きな事故の場合には直ちに警察に通報します。

負傷者がいる場合

警察・救急車・消防隊への連絡はすべて「000」です。

怪我人が出た場合、警察に通報してください。すぐに治療が必要な怪我の程度であれば、同時に救急車も呼んでください。車から出られない人がいる場合、消防隊への連絡も必要となります。警察への第一報は、「発生日時」「発生場所」「事故形態」「負傷者の有無」「現場措置」を連絡すれば足ります。

自分と相手の状態を確認し合った後は、事故現場から離れず、以下の手続きを進めます。

事故現場で手続き

  • 相手の運転手と以下の情報を交換し、現場の写真やビデオを撮る。
    相手の名前・免許証番号・住所・生年月日・電話番号・車の車種とモデル・登録番号・持ち主の運転免許証の写真・相手の保険会社の名前・目撃者の名前と住所と電話番号
  • 事故当時の状況をメモに残しておく。
  • 救急車を呼ばない場合でも、早めに医師の診察を受ける。
  • 自分が加入している保険会社に報告する。
  • 弁護士に連絡して賠償の手続きを進めてもらう。

事故相手とのやり取りで注意すること

  • 現場では不用意に謝らない。
  • 現場で示談交渉はしない。
  • 誰の過失であるか口外しない。
  • 相手が飲酒運転などの疑いがある場合、相手との交渉は相手を車から降ろしてから。

交通事故に巻き込まれてケガをした場合、怪我の賠償金は個人ではなく、事故を起こした自動車をカバーしているCTP保険会社が支払うことになります。保険会社に対する手続きとなるため、過失を犯した個人に支払い能力があるかどうかは問題になりません。

診察・治療・入院・リハビリ・薬代、通院のための交通費など、領収書は必ず保管しておきましょう。手続きの途中でも費用が発生した時点で、保険会社から返金を受けることが可能です。最終的な賠償金の査定は複雑なので、オーストラリアでCPT保険の賠償請求を進めることになった場合、弁護士などの専門家に相談する人がほとんどです。

当て逃げされた場合

なるべく相手の登録ナンバーを控え、その車の特徴(車種・色)も記録しておいてください。運転手の特徴や事故の目撃者についても確認して内容を控え、できる限りすぐに警察へ届け出てください。捜査が開始しされると、担当の警官より捜査についてや保険請求について説明されます。

交通事故から生じるストレスやトラウマがある場合、GPに相談したり、交通外傷支援サービス(Road Trauma Support Services)の利用を検討しましょう。

帰国に際しての車の取り扱いについて

日本帰国に際して、オーストラリアで使用していた車を友人に譲ったり処分を依頼したりするケースが散見されます。後日のトラブル防止のために、名義の変更や使用契約の解除などは自分で済ませた上で帰国することをおすすめします。

車を友人に売却し、名義変更もその友人に依頼して帰国したところ、売却相手の友人が名義変更をせずに使用して駐車違反やスピード違反を繰り返していた事案が報告されています。その場合、日本に帰国した売主に罰金の支払いの督促がなされます。

このようなトラブルは自己責任で解決しなければならず、帰国してからトラブルが生じた場合、その問題を解決するために多くの時間と手間が必要になります。

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