事故発生時の行動
火災事故
出典元:Department of Fire and Emergency Services, WA
オーストラリアでは毎年1,000件超の家財火災保険金が請求されており、特に冬場は火災事故が多くなります。
家庭内での火災の主な原因は調理に関連するもので、全体の4分の1が台所使用中の製品の欠陥によるものか、使用後のコンロやオーブンの放置によるものです。次いで、エアコン、ヒューズボックス、暖房器具・暖炉といった家電製品が続きます。
特に冬場に焚き火やキャンドルを使用する際などは、十分注意しましょう。電気製品・暖炉・暖房器具は、定期的に点検してください。また、煙探知機のテストも忘れずに。
火事にならないように注意すること
日ごろから火事にならないように以下のことについて注意しましょう。
- 暖房器具の上や直に衣類を置いて乾かさない。
- カーペット・カーテン・壁など、火事になりやすい場所の近くに暖房器具や火元になるものを置かない。
- 調理器具を使用中に放置しない。
- 調理中は子どもがキッチンに入らないようにするか、安全な場所で遊ばせておく。
- 直火・鍋ストーブ・ガス火・電気ストーブは、ガードで囲い、ガードを壁に取り付ける。
- 使用中のトースターから離れない。
- 火災報知器の近くで喫煙しない。
- 火災報知器の近くでエアゾール缶スプレーを使用しない。
- 電化製品を使用していない時、特に家を出る際には、忘れずに電源を切る。
- 衣類乾燥機の周りに空気の流れがあることを確認し、乾燥機を「クールダウン」させる。
- 衣類乾燥機は、使用するたびに糸くずを取り除く。
- 故障の兆候がある電気製品は使用せず、安価な電気製品の使用にも注意する。
- 故障している電化製品や古くなった電化製品、コードがほつれた電化製品はすぐに交換する。
- コンセントの増設をする際には、電気工事業者に依頼し、電源ボードや二重アダプターの使用を避ける。
- BBQをする際は、設備に火を点ける前にボンベの有効期限を確認する(ボンベのホースの接続がしっかりしているか、漏れがないか、ホースにひび割れ・損傷・摩耗の形跡がなく良好な状態であるか)。
- BBQ設備の上に可燃性の液体を置かない。
- BBQの調理が終わったら設備の電源を切る。
- アイロン台にアイロンを伏せて置かない。
- タバコは必ず火を消してから捨てる。
- 使用済みのベイプは、乾電池やバッテリーを取り外して不燃ごみに捨てる。
リチウム電池の火災に注意
リチウムイオン電池を搭載した製品から出火する火災が近年多発しています。リチウムイオン電池は、繰り返し充電・放電できる電池。主に小型で大量の電力を必要とする製品に使用され、他の二次電池と比べて高容量・高出力・軽量という特徴があります。電解液として可燃性の有機溶剤を使用しているため、衝撃などにより出火することがあります。
モバイルバッテリーから出火した火災が最多で、次にスマートフォン、掃除機、電動工具と続きます。他にも、ポータブル電源、ノートパソコン、タブレットなどがあります。出火要因は、分解、衝撃、充電方法の誤りなど使用者の不注意によるものが多いので、次のことに注意して使用しましょう。
- 衝撃を与えないよう適切に取り扱い、むやみに分解しない。
- 製造メーカーが指定する充電器やバッテリーを使用する。
- 充電電圧を確認せずに使用しない。
- 膨張、充電できない、バッテリーの減りが異様に早い、充電中に熱くなるなどの異常がある場合、使用をやめて製造メーカーや販売店に相談する。
- 不用品を処分する際は、地域のごみ回収方法をよく確認する。
火災が起きた・巻き込まれた時の対処
身の危険を感じる規模の火災が起きた場合は、躊躇せずに「000」に通報して消防隊を呼んでください。
できるだけ早く室内から屋外に出ましょう。他の人に注意を促し、手助けをしながら全員が素早く家の外に出ることを優先してください。煙から逃れるために身を低くし、床を這って近くのドアから外へ出ます。通り抜けた際、ドアは火の勢いを抑えるため閉めるようにしましょう。行方不明者がいる場合は、消防隊員に、「行方不明者の身元」「どこで見つかる可能性が高いか」を伝えてください。燃えている建物には絶対に再突入してはいけません。
ただし、火災発生中はエレベーターを使用してはいけません。窓を開けても脱出できない場合、窓ガラスを割って窓枠を毛布などで覆います。上階に閉じ込められた場合、ドアや換気口の周囲を布団や衣服で塞ぎ、消防隊に見つけやすい窓際に留まります。
普段からもしもの時の火災に備えて、家庭用消火器と毛布をキッチンの出入り口付近に置いておきましょう。ドライケミカル消火器(1kg)が、小さな家庭の火災の消火に適しています。消火器は粉末が沈殿しないよう、時々振ってください。消火器や消火ブランケットは、心身ともに「安全に使用できる」と感じている場合にのみ使うことをおすすめします。
家庭用消火器の使い方
油・電気・油脂による火災の消火には、絶対に水を使ってはいけません。家庭用消火器を使用する際は、他の人が近くにいないことを確認した上で、火元に向けて消火器を使います。消火器を使い終わったら、「000」に通報して消防隊を呼んでください。家庭用の消火器は1回しか使えないように設計されているため、使用後は新しい消火器を準備してください。
消火ブランケット(Fire Blanket)の使い方
消火ブランケットは耐燃性の素材で作られた簡易消火用具で、火に被せて使います。調理油の火に被せたり、衣服に引火した人を包んだりすることもできます。
料理中の鍋が燃えたなどの場合、消火ブランケットを鍋と火の上に注意深く置きます。放り投げないようにしましょう。熱源を止めても消火ブランケットは鍋にかけたままにします。その後、「000」に通報して消防隊を呼んでください。
オーストラリアの火災報知器(Automatic Fire Alarm)について
出典元:Department of Fire and Emergency Services, WA
オーストラリアでは、家の各階に少なくとも1台は火災アラームを設置することが法律により義務付けられています。火災報知器は、住居タイプに関わらず、すべての住居の居住エリア(廊下・寝室を含む)の壁から30cm以上離れた天井に設置する必要があります。
火災報知器は、毎月その電池が切れていないことを確認しましょう。9ボルト電池の火災アラームを使用している場合、1年ごとに電池を交換してください。少なくとも年に1回は火災報知器の外カバー周りのホコリを取ってください。どの火災報知器も10年ごとに交換する必要があります。
火災報知器に関しては、不要警報(Unwanted Alarms)のトラブルが報告されています。NSW州消防隊は、2023年に約50,000件の火災報知器の作動に対応していますが、その約98%は不要警報でした。
このように、火災やその他の緊急事態が発生していないにも関わらず、火災報知器が作動することがあります。オーストラリアの消防隊は法律に基づき、すべての火災警報に対応する義務を負っているため、火災報知器の誤作動には注意が必要です。
また、火災報知器の誤報により、建物の所有者・管理者に対して消防隊から料金を請求される場合があります。ただし、暴風雨やその他の自然災害の場合など、その火災警報が所有者の制御の及ばないものであった場合には料金は請求されません。
火災報知器の中には非常に敏感なものがあり、シャワーから出る蒸気、食べ物を焦がした煙、消臭剤やヘアスプレーなどのエアゾール缶のスプレーでも作動することがあります。料理やシャワーをする前には、換気扇や換気口、可能であれば窓が開いていることを確認しましょう。
火災報知器の誤作動の主な原因には、以下のようなものがあります。
- 換気不良
- パンなどが焦げた煙
- 調理中の煙・蒸気
- 消臭スプレー
- タバコ
- キャンドル
- 清掃や修理の際の細かな異物の混入
- ホコリの混入
- 昆虫の侵入
- 火災報知器の汚れ
- 火災報知器内のアラームの破損やシステムの故障
- 火災報知器の整備不良・不十分
オーストラリアの火災保険
オーストラリアでは、火災による損害や損失から家屋と家財の両方をカバーしたい人のために、多くの保険会社がセット保険(バンドル保険)を提供しています。また、保険に加入してから保険金を請求できるようになるまで、通常72時間程度の待機期間が設けられています。
オーストラリアの火災保険には、以下のようなタイプがあります。
住宅保険(Home Insurance)
物件の所有者が加入できる保険。所有の建物や外構、備品の損害・損失をカバーします。大きく分けて保険金額を補償する「Sum-insured Cover」と総取り替え補償の「Total Replacement Cover」の2種類があります。
家財保険(Contents Insurance)
家財道具や身の回りの品など、個人の所有物の損害や損失をカバーします。家具・衣類・電子機器・電化製品・工具・宝飾品などが含まれます。
賃貸人保険(Renters Insurance)
物件の賃貸者が加入できる保険。賃貸中の家財の損害・損失をカバーします。家屋への偶発的な損害や誰かが敷地内で怪我をした場合の訴訟費用もカバー可能ですが、通常の家財保険よりも免責事項や限度額が多くなります。
住宅家財保険(Home and Contents Insurance)
火災による損害や損失から、家屋と家財の両方をカバーしたい人のためのバンドル保険。火事による損害のほとんどをカバーするプランや、炎による損害のみをカバーして水や煙の損害はカバーされないプランなど、細かいカバー内容は保険会社によって異なります。プランにどこまで含まれているのかは、加入前によく確認しておきましょう。