事故発生時の行動
動物による事故
オーストラリア国内の病院で治療を要した動物事故の件数は、1位が家畜、2位が野生動物、3位がペット、4位が海洋動物となっています。
野生動物に関連した負傷者数は年々減少傾向にあるものの、スズメバチ・ミツバチなどによる負傷(蜂アレルギーを含む)、ヘビをはじめとした毒性のある動物による負傷などは少なくなく、南SA州ではハチ関連のアナフィラキシー、QLD州ではヘビによる咬傷、TAS州ではトビキバハリアリ(Jack jumper ant)のアナフィラキシーが多く報告されています。
オーストラリア特有の動物と特徴
カンガルーと保護動物
カンガルーとワラビーは、オーストラリア全土に生息しています。カンガルーやワラビーが生息している場所に立ち入ったら、餌や水は与えずに、できるだけ距離を置くようにしましょう。
もし身の危険を感じた場合は、できるだけゆっくりと安全な場所に移動してください。目を合わせないようにして、頭を下げた状態で腕を体に密着させたまま離れることで、自分を小さく見せることができます。カンガルーに背を向けたり、走ったりはしないでください。
また、カンガルーは「Nature Conservation Act 1992」により保護されている野生動物なので、許可なくカンガルーを傷つけたり殺したりすることは犯罪です。
カンガルーと車の衝突事故
道路上で車によって発生する野生動物の死亡事故を「ロードキル」と呼びます。野生動物が道路上に出没する危険が高い道路には、ドライバーへの注意喚起のために「動物が飛び出す恐れあり」を意味する黄色地の警戒標識が、日本でもオーストラリアでも設置されています。
そこに描かれている動物マークはシカをはじめ、タヌキ、シカ、キツネ、クマなどですが、オーストラリアのロードキル数は、カンガルーが最多。毎年400万頭の有袋類がロードキルの犠牲になっています。他にも、コアラやポッサム、ウォンバット、エミュー、コトドリ(Lyrebirds)など、さまざまな野生動物のサインを見かけますが、動物との衝突事故のうち10件中9件はカンガルーです。
カンガルーは周囲の草木によく溶け込み、怯えると走行中の車の前に飛び出す傾向があります。アカカンガルー(Red Kangaroo)の中には体重90kgになる個体もいて、時速約70kmで走るため、小型車がぶつかると廃車になるほどのダメージも考えられます。
街中よりも速度が速くなるアウトバックや高速道路などでは、動物との衝突や回避時に被害が大きく、深刻な事故につながる可能性が高くなります。都市部から離れた慣れていない地域では、夜間から早朝にかけての運転を控えましょう。どうしても運転が必要な場合は、スピードを落として慎重に運転してください。
カンガルーと衝突した際の対処
運転中は動物のサインに注意し、もし野生動物に遭遇しても急ハンドルは避けてください。ブレーキで回避できない場合、よほどの大型動物でない限りまっすぐ衝突するしかありません。
野生動物との衝突は、物損事故になります。車がカンガルーなどと衝突してしまったら、以下の対処を心がけてください。
- 道路から離れ、ハザードランプを点灯する。
- 動物が死亡している場合、動物に素手で触れずに、交通の妨げにならないよう路肩へと移動させる。
- 動物が生きている場合、衛生面や安全面から素手で動物に触らないよう注意して、WIRES(Wildlife and Information Rescue Service)に連絡する(1300 094 737)。カンガルーのような有袋類は、袋の中に赤ちゃんがいることもある。
- ドライバーや同乗者の負傷、車・道路の破損、後続車との衝突などが発生した場合、「000」に電話して警察に連絡する。
- 任意保険(Animal Collisionsのカバーがある場合)に入っている場合、保険会社へ連絡する。
ディンゴ(Dingo)
QLD州のガリ(旧フレーザー島)には、野生のディンゴが生息しています。ディンゴは犬に似ていますが、実際は絶滅の危険性が高いオオカミの亜種であり、人間に飼われている犬とは異なります。
ガリの国立公園内では野生のディンゴが観光客、中でも17歳未満の子どもを襲う事件が毎年発生しています。特にオーキッド・ビーチ近郊では、食べ物を求めて群れで人々に近づくようです。ディンゴに接近したり、餌をあげたり、触れ合ったりすることは危険な行為です。ディンゴに餌付けしたり故意に気を荒立たせたりすると、罰金が課せられる場合もあります。
ガリの国立公園ではレンジャーの忠告を聞き、キャンプをする場合は、ディンゴ防止フェンス(Dingo-deterrent Fencing)内に留まるようにしてください。ディンゴ防止フェンスはガリの全商業地区、ワディ・ポイントやコーンウェルズなど複数のキャンプ場周辺に設置されています。また、プラスチック袋や箱はディンゴが噛みきれるため、食べ物などは密閉容器に保管するようにしましょう。
野生のディンゴに遭遇したら、走って逃げようとするとディンゴに刺激を与え逆効果になるため、目線をディンゴと合わせたまま、ゆっくり移動し、車や囲いなどの中に移動するようにしてください。
家畜
オーストラリアのアウトバックには柵のない広大な牧場が多々あり、牛・羊・馬などの家畜が道路に迷い込むこともあります。大型動物との衝突事故は危険で、人身事故の恐れもあります。
特に、多数の大型哺乳類が道路を歩き回っているアウトバック地方での運転には、注意が必要です。常に車道の警戒標識には注意し、家畜が横切る場合には一時停止をして、道を譲るようにしてください。
牧草地帯やアウトバックなど家畜動物を見かけるエリアは、ゆっくりと慎重に運転しましょう。
ヘビ(Snake)
オーストラリアには、約100種類の毒ヘビがいますが、死に至るような傷を負わせる可能性があるのは、わずか12種類です。毒ヘビに噛まれたことによる死者は、毎年2名ほど出ています。攻撃的で気性が荒いイースタン・ブラウン・スネーク(Eastern Brown Snake)や、世界で最も危険と言われるインランド・タイパン(Inland Taipan)など、猛毒を持つヘビの大半はオーストラリアに生息しています。
ヘビに噛まれた場合、まれに重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こしたり、毒により生命を脅かす可能性があります。必ず救急医療機関を受診してください。
アナフィラキシーの症状には、以下のようなものがあります。
- 呼吸困難または呼吸音
- 話しにくい、声がかすれる
- 舌の腫れ
- めまいや虚脱感の持続
- 喉の腫れや締め付け感
- 顔色が悪く、体がだるい(幼児の場合)
- 喘鳴や咳が続く
ヘビによる咬傷には、傷口から毒が注入されなかった乾性の咬傷(Dry Bites)と、毒が注入された咬傷(Venomous Bites)がありますが、ヘビに咬まれた場合はすべて緊急医療として扱うべきです。
ヘビの毒が体内に入ったことを示す症状には、以下のようなものがあります。
- 患部の激しい痛み(発症までに時間がかかる場合がある)
- 患部の腫れ・あざ・出血
- 呼吸困難
- 頭痛・錯乱・めまい
- 目のかすみ
- 吐き気・嘔吐
- 腹痛
- 不整脈
- 筋力低下・麻痺
ヘビに咬まれないための注意
ヘビに噛まれる原因の多くは、ヘビを殺そうとしたり捕獲しようとした時に起こります。ヘビに出くわしても慌てず、安全な距離まで後ずさりしてその場を離れましょう。ヘビは邪魔をされると逃げたくなる習性があります。
ブッシュウォーキング中、特にヘビが活発に活動する夜間は、歩く場所や手を置く場所に注意しましょう。ブッシュの中を歩く時には、懐中電灯を使い、音を立てたり足を踏み鳴らしたりして、ヘビに自分の存在を知らせながら歩きます。また、ジーンズやブーツなど厚手の衣服を着用するとよいでしょう。
ヘビに咬まれた時の相談は、National Poisons Information Centre(131 126)でも受け付けています。
ヘビに咬まれた際の対処
ヘビに噛まれた場合、必要に応じて心肺蘇生法(CPR)を含め、必ず応急処置を行ってください。噛まれた人が元気そうに見えても、医療機関で診察・治療する必要があります。
落ち着いて、以下の手順に従ってください。
- ヘビから離れる。
- 安静にさせる。
- 患部を洗わない(皮膚や衣服に毒が残っていると、ヘビを特定するのに役立つため)。
- 傷口を切らない。
- 毒を吸い出そうとしない。
- 「000」に連絡し、救急車を呼ぶ(繋がらない場合は「112」に連絡する)。
- 圧迫固定包帯(Pressure immobilisation bandage)を巻く。圧迫固定包帯が使えない箇所であっても、しっかりと患部を圧迫すること。止血帯(血流を止めるためのひも)は巻かない。
クモ(Spider)
オーストラリアには、3種類のクモが生息しています。その中で危険なクモは、オーストラリア東部の湿潤な森林地帯に生息するジョウゴグモ(Funnel-web Spider)。黒く背甲には光沢があり、雌の体長は約4〜5cm、雄の体長は約2.5〜3cm。黒くて大きなクモと覚えておきましょう。ジョウゴグモは、夜行性で枯れ木や石の下の割れ目などを住処にし、例年であれば夏の間に活発になります。
ジョウゴグモに咬まれると、10分以内に、 悪心・ 嘔吐・腹痛・発汗・流涙などの症状が現われます。重篤な例では、全身痙攣をきたし、呼吸困難に陥ることも。過去100年で十数人が死亡しています。
その他、アカグモ(Redback Spiders) は咬まれるとかなりの痛みを感じるものの、命に別状はありません。
人によってクモに咬まれるとアナフィラキシーを起こすことがありますが、オーストラリアに生息するその他のクモは一般的に無害です。
ジョウゴグモに咬まれた際の対処
ジョウゴグモに噛まれた場合、必要に応じて心肺蘇生法(CPR)を含め、必ず応急処置を行ってください。
落ち着いて、以下の手順に従ってください。
- クモから離れる。
- 安静にさせる。
- 「000」に連絡し、救急車を呼ぶ(繋がらない場合は「112」に連絡する)。
- 圧迫固定包帯(Pressure immobilisation bandage)を巻く。圧迫固定包帯が使えない箇所であっても、しっかりと患部を圧迫すること。止血帯(血流を止めるためのひも)は巻かない。
クラゲ(Jellyfish)
オーストラリアの海には、クラゲが多く生息しており、触ると痛みを感じたり、反応を示したりすることがあります。ほとんどのビーチには、注意すべき海洋生物の標識があるので、あらかじめ確認しておきましょう。
オーストラリアのビーチでよく見かけるのは、青い長い触手と青い風船を持つブルーボトルクラゲ(Bluebottle Jellyfish)です。その触手が皮膚に触れると、痛みや炎症を引き起こし、場合によっては皮膚がかぶれることもあります。
QLD州とWA州の一部を含むオーストラリア北部に生息するハコクラゲ(Box Jellyfish)やイルクナジ(Iruknadji)、モーブ・スティンガー(Little Mauve Stinger)などは、刺されると命の危険性もあります。
クラゲに刺された場合、以下の対処をしてください。
- 海水(淡水ではない)で患部を洗う。
- 刺された場所をこすらない。
- 刺された部位を温水に20分間つける。
- 局所的な痛みが温水で緩和されない場合や温水が利用できない場合は、保冷剤か袋に入れた氷を当てる。
- 痛みが持続し、刺された範囲が広い、または敏感な部分(目など)がある場合は、「000」に連絡した上でライフガードに助けを求める。
- 必要に応じて心肺蘇生を行う。
サメ(Shark)
オーストラリアには、メジロザメ、ホオジロザメ、シュモクザメ、イタチザメなどさまざまなサメも生息しています。ビーチだけでなくオーストラリア全土の川や運河にもいます。
しかし、サメに襲われることは非常にまれであり、ビーチの標識やライフサーバーの指示に従うことでその危険を回避できます。赤と黄色の旗の間の海水浴エリアでは、ライフガードが常にサメを警戒しています。万が一サメが見つかった場合は、サイレンを鳴らすかベルを鳴らして赤と白の旗を立て、すぐに海から出るように指示してくれます。必ず、迅速に指示に従ってください。
サメの危険から身を守るために、以下のことに注意してください。
- サメが最も活発になる夕暮れ後、夜間、夜明け前は泳がない。
- ひとりで泳がない。
- 出血中やペットと一緒に泳がない。
- 濁った水、河口、運河、魚の群れの近くで泳がない。
- 周りに人がいないビーチでは泳がない。
サメに噛まれると、ダメージが大きく、大量に出血します。
万が一サメに襲われた場合は、安全が確認でき次第、水から引き上げて「000」に連絡して救急サービスを呼んでください。患部を圧迫して止血し、必要に応じて心肺蘇生を行う必要があります。
ヒョウモンダコ(Blue-ringed)
ヒョウモンダコは非常に小さく、触手を伸ばしたときの大きさは最大で20cm、淡褐色か濃い黄色をしていますが、興奮すると急速に色が変わり、青い輪が全身に現れます。
世界で最も猛毒を持つ動物のひとつで、オーストラリア全土のタイドプールや浅いリーフに生息しています。毒は唾液に含まれており、咬まれると体内に侵入して麻痺や呼吸抑制が起こります。通常痛みはなく、噛まれた最初の兆候は唇と舌のしびれから始まります。小型のタコには触らないようにしましょう。
万が一噛まれたら、「000」に電話してください。噛まれた部位には圧迫固定包帯を巻き、できるだけじっとしています。患者が呼吸を止めた場合、医療援助が到着するまで心肺蘇生を続けてください。
ワニ(Saltwater/Estuarine)
ワニは、オーストラリア北部(WA州北部・QLD州、NT準州全域)の川や淡水の沼地に生息しています。移動が好きなワニは、100kmほど内陸に入り、ビーチを訪れることもあります。
ワニの標識があるところには近づかず、常に水際から十分に離れておきましょう。また、ボートの側面から腕や足を出さないようにすること。ワニを見かけたら、遠目でも近づいたり、触ったり、餌を与えたりせず、目撃情報はすべて「1300 130 372」に通報してください。
ワニに噛まれると大きなダメージを受け、大量に出血します。万が一ワニに襲われた場合は、安全が確認でき次第、水から引き上げて「000」に連絡して救急サービスを呼んでください。患部を圧迫して止血し、必要に応じて心肺蘇生を行う必要があります。
ウミヘビ(Sea snakes)
QLD州をはじめ、熱帯の海の珊瑚礁や干潟に生息し、内陸160kmまで繁殖しています。
速効性の毒を持ち、吐き気・めまい・頭痛・嘔吐・筋肉痛を引き起こし、呼吸筋に影響を与えることがあります。
ウミヘビは好奇心旺盛ですが、通常は人から距離を保ちます。見かけたら落ち着いてゆっくりと離れてください。
ウミヘビに咬まれた場合の対処は、毒ヘビによる咬傷と同じです。すぐに「000」に電話した上で、咬傷部位に圧迫固定包帯を巻きます。患者にできるだけ動かないよう指示してください。
ウミヘビの種類には、黒と黄色、灰色、淡い茶色、黒と白などさまざまな色の組み合わせがあります。
イモガイ(Cone shells)
アイスクリームコーンのような形の複雑な模様がある殻を持つ貝。オーストラリア全土の浅瀬と干潟、岩礁に生息しています。銛のような歯から麻痺性の毒を出すことができ、吐き気・脱力感・しびれを引き起こす他、肺の働きを止めて死に至らせることもあります。
普段から、海岸に打ち上げられている貝殻でも、円錐形の貝殻は拾わないようにしましょう。
万が一噛まれたら、「000」に電話してください。噛まれた部位には圧迫固定包帯を巻き、できるだけじっとしています。患者が呼吸を止めた場合、医療援助が到着するまで心肺蘇生を続けてください。
ミノカサゴ(The lionfish)
赤・茶色・オレンジ・黄色・黒・白の縞模様で覆われ、大きな毒棘を隠す長い羽のようなヒレを持つ魚。通常、サンゴ礁や洞窟や隙間、特に浅瀬に生息しています。ミノカサゴにはには13本の鋭い毒棘があり、刺されると激しい痛みを引き起こし、最悪の場合、頭痛・嘔吐・腹痛の他、腕・足・肺・心臓が正常に働かなくなることもあります。
触れたり、脅かしたり、からかったりしなければ、ミノカサゴに怪我をさせられることはまずありません。見かけたら安全な距離まで離れましょう。
万が一刺されたら、手や足を温水につけ、医療機関を受診してください。
他にも、日本でも見かけるウニやアカエイ、オコゼなどもオーストラリア全土の海中に生息しているので注意しましょう。
マグパイ(Australian Magpies/Magpie-lark)
オーストラリアでよく見かける鳥に、マグパイ(Australian Magpies/Magpie-lark)がいます。黒と白の羽と赤い眼、メロディックな鳴き声が特徴のマグパイは、危険を感じると侵入者を急襲する習性があります。頭部の負傷、眼球の損傷、鳥を避けようとしての転倒など、深刻な被害も毎年少なくありません。
マグパイの奇襲は繁殖期の冬の終わりから春中までで、9月にピークを迎えます。特に、巣から50m以内では攻撃活動が活発になります。
奇襲するマグパイは全体のわずか10%で雄のみですが、個人を狙う傾向があり、逃走は攻撃を助長するので避けるべきです。
繁殖期は巣のそばを避け、自転車に乗る際はヘルメットを、攻撃の恐れがある地域ではつばの広い帽子やサングラスを着用したり、傘を差すなどしましょう。また、マグパイから身を守る方法として、マグパイと目を合わせないこと、巣の近くで自転車から降りて迅速に逃げることを覚えておくといいでしょう。
近所での特定のマグパイによる攻撃は、地元のカウンシルまたは各州の公園・野生動物サービスに報告してください。
昆虫
オーストラリアにはさまざまな昆虫も生息していますが、刺傷によるアナフィラキシーの最も一般的な原因は、ハチ(Bee)、スズメバチ(Wasp Stings)、キバハリアリ(Australian Jack Jumper/Bullant)に刺された場合です。
特に、スズメバチは一般的にハチよりも攻撃的で、食べ物や甘い飲み物に寄ってきます。屋外で飲食をする際には、容器や蓋を開けっぱなしにして放置しないようにしましょう。
ハチなどに刺された場合の対処
刺された針がまだ皮膚に残っている場合、爪やカードのような固いものの端で、刺された部分を横から擦って取り除いてください。ピンセットで刺し傷を抜かないように。ピンセットを使うと、針からさらに毒を皮膚に絞り出してしまう可能性があります。
刺された部分を取り除けたら、患部を石鹸と水で洗い、やさしく乾かしてください。痛みが続いたり、刺された部分の赤みが強くなったりする場合、医師の診察を受けてください。腫れを鎮めて感染症を治療するための処方薬が必要なケースもあります。
マダニ(Ticks)
藪の中で外出中に、マダニが皮膚に付着することがあります。マダニは体長3mm~10mmにも及ぶ大きいダニで、日本にもオーストラリアにもどこにでも生息しています。
ブッシュウォークの際には、虫除けスプレーをかけたり、戻った後にはマダニが付着していないか、後頭部・首・股・脇の下・膝の裏をチェックするようにしましょう。
ダニと同様、肌の柔らかい場所に移動し時間をかけて吸血しますが、麻酔作用がある唾液を注入するため、刺されていることに気づかないことも多くあります。
マダニに咬まれた場合の対処
咬まれていることに気づいたら、マダニを無理に取り除かないこと。傷つけるとアレルゲンを含む唾液をさらに注入する可能性があるため、そのままにして医師の手当てを受けてください。
マダニは吸血自体が怖いわけではなく、媒介する感染症に注意を払う必要があります。
ペット
オーストラリアではペットによる事故も多いです。全世帯の約40%が犬を飼育していることから、自然に生息するヘビやトカゲに襲われるよりも飼育犬による負傷の確率の方が90%高くなっている状況です。
特に、15歳未満の子どもはペット関連の負傷の13%弱を占めているため、ペットとはいえ子どもとの触れ合いの際にはくれぐれも注意しましょう。