犯罪被害時の行動

詐欺にあった場合の対処

オーストラリアでの詐欺は年々複雑になり、年間の被害額も以下のように増大し続けています。

  1. 投資詐欺:13億ドル
  2. リモートアクセス詐欺:2億5,600万ドル
  3. 国際ロマンス詐欺:2億110万ドル
  4. フィッシング詐欺:1億3,740万ドル
  5. 支払いリダイレクト詐欺:9,160万ドル

携帯電話の通話・SMSからの振り込み詐欺の誘引行為も多数報告されており、警察や政府機関を装ったものや公式サイトに酷似したウェブサイトを用いたものなど、手口が非常に巧妙化しています。留学生の間で多いのは、SNS上に掲載されていた求人情報・賃貸物件を巡る詐欺被害、ATO(国税庁)を装った未納税金の振り込み詐欺被害などです。

SNSなどのインターネットは便利な反面、匿名性が高いため、個人情報の提供・契約行為・金銭取引は、顔の見えない相手が信頼できることを確認した上で慎重に進めることが重要です。

以下で、オーストラリアの在豪邦人に多い主な詐欺について説明します。

【一般】フィッシング詐欺

オーストラリアの配送事業を装い、顧客の情報を狙うなど、フィッシング詐欺被害は国内で多く寄せられています。フィッシング詐欺は、銀行・郵便・配達業者・国税局(ATO)などの送信者を詐称したメールやSMSを送りつけ、貼り付けたリンクをクリックさせて偽のページに誘導することで、被害者のクレジットカード番号やアカウント情報などの個人情報を盗み出す仕組みです。

多くの企業では、電子メールなどで顧客の個人情報を要求することはありません。利用したことがあるサイトや会員登録をしたページを装ったメールにも十分ご注意ください。

オーストラリアの政府機関・銀行・郵便では、以下のことは顧客に対して求めないと呼びかけています。

  • パスワード、クレジットカード情報、口座情報など、個人情報や金銭的な情報を求める電話、テキスト、電子メール
  • 支払いを要求する電話、テキスト、電子メール
  • 荷物の引き換えのためのラベルの印刷、電子メールのリンクのクリック

フィッシング詐欺の中でも、学生ビザ保持者に多いのが、罰金通告(Fine Notice)名目での詐欺です。入国管理当局者などを装い、留学生に対してビザの労働条件違反の罰金という名目で、現金を送らせてだまし取ろうとする詐欺事件が発生しています。

政府職員が個人のお金の管理に関する指示をすることはありません。政府機関を名乗りかかってきた電話でも、スプーフィングと呼ばれる方法で政府機関を装うことが可能なので、電話番号だけですぐに信用しないようにしてください。

詐欺の被害に遭わないために、以下のことに注意してください。

  • 少しでも不審な電話と感じたら、時間をおいて自分から相手にかけ直すよう努め、一度通話を終了する。
  • 折り返し電話をする前に、警察・家族・友人に助言を求める。
  • メールや電話番号などの差出人の詳細をよく見て、加盟店や配送業者と照合する。
  • むやみにリンクをクリックしない。
  • 個人情報や銀行情報を提供しない。
  • パスワードを変更し、自分のアカウントの安全を確保する。
  • 普段から銀行送金の際に、スクリーンショットなどで送金記録を取っておく習慣をつけておく。
  • 詐欺に遭った場合、金融機関に連絡するとともにNational Anti-Scam Centreに報告する。対処が早ければ早いほど、損失を取り戻せる可能性が高くなる。

【一般】寸借詐欺

被害者の親切心を利用した悪質な詐欺。街頭で通りがかった人の親切心につけこみ、「後で必ず返すから」などと言葉巧みに現金を騙し取る手口です。他にも、「生活費の足しにするから」などと物品や食品を購入させようとする手口もあります。

街頭で知り合ったばかりの人に、高額の現金を貸す・支払うようなことのないようにしてください。

【仕事】在宅ワーク詐欺

在宅で簡単にできる仕事との触れ込みで、SNSを通じて希望者を募り、ウェブサイトから仮想通貨アプリへの課金を行わせる手口による詐欺被害が報告されています。

SNSを通じてオンラインや在宅の仕事をうたう求人情報(日・英文)を掲載し、そこに連絡すると先方から、勤務内容は「オンライン上の旅行のプロモーション活動」や「ショップのレビュー投稿」であることを説明され、続いて特定のウェブサイトに登録、仮想通貨アプリをダウンロード、仮想通貨で同ウェブサイトに課金するよう指示されます。

在宅ワーク詐欺の仕組みは、最初の課金を通じて、初回は課金額の数倍の金額が被害者に振り込まれるため仮想通貨で利益が戻りますが、そのまま続けると次の対価を得るまでの課金が膨大な額になることから、最終的に課金を続けることがむずかしくなり損失を被るというものです。被害額は、1人当たり数10万~数100万円にのぼります。

リモートアクセス詐欺の被害に遭わないために、以下のことに注意しましょう。

  • インターネット・SNSなどのツールは便利な反面、リスクもあることを忘れずに利用する。
  • 連絡先・所在地・他の利用者の評価など、相手方(事業者・個人)の情報を自分でしっかりと確認する。
  • 一般的に判断して、過度に安価(高価)であったり、好条件であったり、支払い期限が非常に短く考える猶予を与えないなど、詐欺の可能性がないか十分に注意する。
  • 金銭の支払いを伴う場合、少しでも不審点・疑問点があれば明らかにした上で対処する。
  • 万が一の場合に備えて、相手の情報ややりとりなどを保存しておく。
  • 詐欺に遭った場合、金融機関に連絡するとともにNational Anti-Scam Centreに報告する。対処が早ければ早いほど、損失を取り戻せる可能性が高くなる。

【仕事】送金先変更詐欺

継続的に取引をしている企業などの担当者のメールと非常によく似た/同じメールアドレスから、「自社の銀行口座が変更されたため、振込先を変えてほしい」と連絡を受け、取引代金を搾取される手口です。指定された口座に送金するも、実際の取引先からは入金がなされていない旨の連絡があり、支払代金詐取が発覚します。入金直後に送金額全額を引き落とされてしまうため、回収はほぼ不可能です。

メールアドレスが酷似している原因には、以前にウイルスメールを開いてしまい両者のやり取りを抜き取られたケース、取引先のメールサーバーがウイルスを通じ乗っ取られたケース、もしくは内部犯行などが想定されます。送金先の変更といった「重要な変更事項」は、メールではなく相手のサインのある書面での確認や実際の取引先担当者へ電話で確認をとるようにしてください。

Australian Cyber Securityに連絡をすると、サイバーセキュリティの専門家によるアドバイスとサポートを受けることができます。

  • Australian Cyber Security Hotline:1300 292 371(24時間年中無休)

【仕事】職業斡旋詐欺

ワーキングホリデーに仕事を紹介するための紹介料として、事前に代金を振り込んだ後、実際に現地に行ってみると作り話であったという手口です。

また、ワーキングホリデー(特にセカンドビザ)を狙った職業斡旋“手数料”の詐欺も報告されています。インターネット掲示板などでファームの仕事があると募集し、実在する農場や宿泊施設の名前を挙げて信用させた上で、その紹介料として100~150ドル程度を振り込ませる手口です。実際に現地に行って初めて作り話であることが判明します。

このような被害に遭わないためには、紹介者が信用できる人物か十分に確認するとともに、斡旋先に直接問い合わせて事実関係の確認をすることが必要です。身元のはっきりしない業者や個人から職業斡旋の話を聞いたら、斡旋先が実在するのか、斡旋先が承知している話なのか、直接その斡旋先へ確認を取るようにしてください。

【住まい】賃貸物件詐欺

インターネット掲示板に架空の賃貸物件や、実際には無関係の実在の物件の情報を掲載し、賃料の前払いなどと称して送金させて現金をだまし取る手口です。特に、海外居住の家主を装って海外送金させるケースが多く発生しています。物件の内見なしで「早く振り込まなければ他の人に貸す」と急かしてくるケースは、詐欺の可能性を疑ってください。

また、オーストラリアでは家主の権限が広く認められていますが、家主から法外な要求をされたり、家主がその義務を果たさないなどのトラブルも発生しています。

賃貸契約に際しては、次のことを参考にしてください。

  • 信頼性の高い不動産業者やマッチングサイトを利用する。
  • 現金を振り込む前に、物件や相手方の確認を十分にしておく。
  • 契約開始時の家の状態をしっかりと確認し、傷などは写真に撮っておく。
  • 壁に穴を開けるなど、現状を変更する場合は事前に文書などで業者に問い合わせて承諾を取り付けておく。
  • 契約書やトラブルに関する文書は保存しておく。
  • シェアメイトが男性だけの場合、例え「すぐに別の女性が入居する」などと言われても信用しない。
  • トラブルが発生したらすぐに公的専門機関に相談する。

賃貸詐欺に関しては、JAMS.TVウェブサイトでも詳しく紹介しているので、併せてご参照ください。

詐欺被害にあった際の対処

詐欺を見かけたり、詐欺の疑いがある場合は、National Anti-Scam Centreの「Scamwatch」にアクセスして詐欺行為を報告してください。または、オーストラリア競争消費者委員会情報センター(ACCC Infocentre)へ連絡してください(1300 302 502)。

詐欺によって情報や金銭的損失を被った場合は、直ちに銀行または金融機関に取引を報告してください。警察、またはインターネットを介した詐欺の場合はAustralian Cyber Security Centreへも、被害内容を報告してください。

詐欺師との連絡はすべて止め、 やりとりに使用したソーシャルメディアやその他のプラットフォームのパスワードは変更します。

詐欺師に個人情報を入手されたと思われる場合、直ちに金融機関に連絡して金融口座の安全を確保してください。また、個人情報を使用するその他のサービス(ATOやServices Australiaなど)にも連絡して口座の安全を確保する必要があります。

オーストラリアとニュージーランドのIDおよびサイバーサポートサービスに「IDCARE」があります。「IDCARE」に相談すると、被害を最小限に抑えるための計画を立てるサポートを無料で受けられます。

個人情報の盗難やサイバーセキュリティの脅威などを含め、詐欺の被害に遭った際は、Services AustraliaまたはmyGovでも同サービスアカウントに関する公的サポートを受けることができます。

  • ヘルプデスク:1800 941 126

また、後追い詐欺に注意してください。詐欺の被害者の3人に1人は、2回以上詐欺に遭っています。詐欺でお金を失った後に「お金を取り戻す手助けをする」と唆してくる詐欺に気をつけましょう。

万が一、詐欺被害によって借金を背負ってしまったら、秘密厳守の無料サービスで、家計を立て直すサポートを受けられるファイナンシャルカウンセラーもいます。

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