犯罪被害時の行動

シェアハウスでトラブルにあった場合の対処

オーストラリアでは、不動産賃貸を巡る法律や慣習が日本とは異なります。シェアハウスの契約は、家主やそのシェアハウスで暮らしている住民と直接交渉する場合が多くなります。留学生やワーキングホリデーの滞在者からは、そうしたシェアハウスを巡るトラブルに関する報告が多く寄せられています。

インターネット上の住まい情報では詐欺被害が増えております。よくある例としては、日本やオーストラリア国内から、そのシェアハウスの内見に行かないまま家主とやりとりをし、入居を決めて事前に支払いを済ませたのに、実際には部屋が空いていなかった、物件そのものがなかった、といったトラブルです。

シェアハウスでは、シェアメイトとの軋轢やお金のやり取り、ハウスルールや文化の違いなど、さまざまなトラブルがあります。起こりうる事態を知っておき、トラブル回避に役立てましょう。

JAMS.TVが運営する住まいのクラシファイドでも、詐欺被害や金銭トラブルが発生しています。関連記事もあわせてご参照ください。

シェアハウスの敷金・予約金について

シェアハウスの入居時には、ボンドと呼ばれる保証金/敷金を家主に支払うことが多いです。ボンドの金額は、家賃の2週間〜1カ月分程度とシェアハウスによって異なり、基本的に退去の際にオーナーから全額返金されます。

入居するまでの期間の契約が決まった部屋をキープしておくために、家賃1〜2週間分程度のデポジットと呼ばれる予約金を請求されることもあります。デポジットは通常、入居時に全額返金されるか、最初の週の家賃に充当されます。 どちらもトラブルを避けるためにも、必ず領収書をもらって保管しておきましょう。

シェアハウスの内見(インスペクション)

シェアハウスの広告からオーナーにコンタクトを取って、実際に部屋を下見しに行くことを「インスペクション」と呼びます。

日本では当たり前のことだと思って確認しなかったために、引っ越しをしてから思わぬトラブルが起こることがあります。オーストラリアでシェアハウスを探す際は、必ずインスペクションに行くことをおすすめします。インスペクションに行くうちに比較対象も増えて、どのようなシェアハウスが自分に合うか判断しやすくなってきます。

シェアハウス探しは早く家を見つけて安心したいという気持ちから、焦って部屋を決めてしまう人も多いですが、自分で何を優先するか順位を決め、条件と実際の部屋とをうまく折り合いをつけて決めていくことが大切です。

インスペクション時に確認する内容などは以下の記事をご参照ください。

シェアハウスの詐欺にあわないための注意点

シェアハウスを選ぶ際には、可能な限りその物件、家主、物件がある地域の環境などをきちんと調べた上で選ぶようにましょう。そして、物件を決める前に、実際にインスペクションへ行き、家主・物件・周辺環境を入念に確認し、可能であればシェアメイトと直接会った上で判断しましょう。

契約に際しては、 家主と正式な契約書・合意書を交わし、その契約の内容をしっかり把握・保管しておくことが重要です。契約違反があると退去させられたり、違約金の請求をされる可能性もあります。デポジットやボンドの支払いについて、日付とサインの入った領収書を発行してもらいましょう。支払いは現金ではなく銀行への振り込みを利用し、その都度の支払いの記録が残るようにすることも大事です。不明な点は妥協せず、きちんと質問して契約内容をきちんと把握しましょう。

支払ったボンドの返還を巡るトラブルを避けるため、入居時に施設や設備の状態を写真を撮って記録するなどしておき、契約時にすでにある瑕疵(かし)は家主と確認しておくなどの対策を講じておくことをおすすめします。

家主やシェアメイトから体を触られるといったわいせつ行為をされた場合には、その場で相手に明確に拒否の意志を伝え、場合によっては躊躇せず警察に通報してください。

シェアハウスでよくある詐欺例

  • インスペクションをしないまま、取り敢えず予約金を振り込むと、家主とその後の連絡が取れなくなり、そのシェアハウス自体が実在しなかった。
  • 家主が不明瞭な理由で水道や電気代を過剰に請求してきた。
  • 契約時に知らされていたのとまったく違う部屋に入居させられた。
  • 退去時に大家から室内の家具を傷つけたと難癖を付けられ、高額な賠償を請求された。
  • 退去時に返金の約束があったにも関わらず、ボンドが振り込まれなかった。
  • 家主が規定以上の人数を住まわせており、違法シェアハウスとして急に退去しなくてはならなくなった。

賃借人の権利と義務

賃借人組合「Tenants’ Union」に、賃貸人の権利が記されているので確認しておくと良いかもしれません。

組合は、各州の住宅賃貸法に基づいてローカル機関から電話で法的アドバイスを提供しています。各地域によって問い合わせ先やサービス内容が違うので、ホームページから自分の地域を検索してみましょう。賃貸人向けの無料の法律相談も受け付けています。

シェアハウスでよくあるトラブル

シェアハウスでは、はっきりと自分の意思を伝えることが非常に重要です。複数人が共同生活を送る環境では、異なる価値観や生活習慣がぶつかることがよくありますが、これを放置すると小さな不満が大きな問題に発展しかねません。自分の考えや要望を明確に伝えることで、他の住人が状況を理解しやすくなり、誤解や摩擦を避け、早期に解決策を見つけることができます。

また、日本の常識内で考えず、海外で生活している意識を持ち、相手の文化は尊重するようにしましょう。

よくあるトラブル例

  • 節水や節電などの過剰なルールを設ける家主だった。
  • 契約書などの内容を理解しないまま署名してしまった。
  • シェアメイトとの文化的の違いから、掃除や騒音、食事の匂いなどで対立が生じた。
  • 共有スペースの清掃ルールを守らず、常に散らかっている。
  • キッチンなどの使用後に後片付けがされていない。
  • 冷蔵庫のスペースが限られている中、特定のシェアメイトがスペースを占領してしまう。
  • 許可なくシェアメイトが友人や恋人を頻繁に泊まらせる。
  • 夜遅くまでテレビや音楽を大音量で流している。
  • 自分のシャンプーや調味料などが頻繁に盗まれる。
  • シャワーを長時間独占され、自分が使用する際にお湯が出なくなる。
  • シェアメイトが無断で部屋に入ってくる、または勝手にドアを開けられる。
  • 家電や家具が壊れていても大家が修理に対応せず、不便が続く。
  • 明らかに不衛生な環境で、大家に訴えても相手にしてもらえなかった。

シェアハウスで詐欺・トラブルにあった際の対処

シェアハウスの詐欺トラブルに対しては、警察はあまり助けになってくれないというのが実情です。不当な金銭トラブルは契約書や領収書の準備ができれば、家主を訴える際の大きな公的支援になります。家主もしくは家主の代理人と、いつどのようなやり取りがあったかメモも残しておきましょう。

シェアメイトとのトラブルでは、自分が文化の違いや生活リズムの違いを受け入れるべき部分もあるでしょう。自分の努力次第ではどうにもできない場合は、別のシェアハウスに移るか、オーストラリアの消費者センターに相談してみると解決に近づくかもしれません。

当事者同士での解決がむずかしい場合、オンライン上で消費者センターに申請すると、段階を踏んで話し合いや調停手続きを進めてくれます。通訳サービスもあるので、英語で状況説明をするのがむずかしいという方でも安心です。

各州に政府機関や消費者センター、賃貸トラブルに関する専門機関があるので、まずは以下のようなホームページを見て情報を集めるところから始めてみましょう。

万が一、身の危険を感じるようなことがあった場合、すぐに荷物をまとめて信頼できる友人宅やホテルなどに避難しましょう。

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