病気・怪我をした際の行動

体調不良・怪我の対処

日本では病気や怪我の症状に合わせて病院を選びますが、オースラリアでは医療の仕組みが異なります。まず一般開業医(GP = General Practitioner)のいるクリニックやメディカルセンターで受診し、GPが必要だと判断した場合のみ、専門医のいる病院や総合病院へ紹介されます。

英語に不安がある場合は、電話医療通訳を利用したり、受診時に日本語医療通訳に立ち会ってもらうことも可能です。都市部には、日本語対応のGPがいる病院やクリニックもあります。

一般的にGPは、夜間や週末の診療を行なっていません。しかし、一部のGPのいるクリニックやメディカルセンターでは、時間外に受診可能な施設もあります。万が一の時に慌てないよう、普段から通える最寄りのGPを調べておくと安心です。

大きな病気や怪我をしてどこの診察を受けるべきか迷った場合は、総合病院の救急外来(Emergency Department)へ向かいましょう。

JAMS.TVでは病院探しや日本語対応のクリニックに関する記事も掲載しています。併せてご参照ください。

GPと専門医の違い

自分で動ける怪我や風邪など、それほど緊急を要しない場合、入院施設のないGPでまずは受診してください。

GPでは風邪、小児科全般、湿疹、アトピー、皮膚のかぶれ、鼻炎、中耳炎、咽頭炎、喘息、高血圧、軽い怪我や骨折、膀胱炎、膣炎、婦人科検診、結膜炎など、広範囲な分野にわたって患者を診ています。個人で開業しているドクターからグループで大きなクリニックを営業しているところもあり、ほとんどの場合は予約制です。特に前もって登録しておく必要はなく、医師を変えるのも自由です。

もしGPの手に負えないような病気や怪我の場合、専門医を紹介されます。この際、GPからの紹介状を持っていかないと、専門医での費用をメディケアでクレームすることができません。通常、紹介状は1年間有効です。ただし、時間的にGPから紹介状をもらっている余裕がない場合、直接病院の救急外来に向ってください。

専門医に通う場合、1年に1度、GPに紹介状を更新してもらう必要があります。専門医でひと通りの治療が済み、病気が安定している場合は、GPに戻って検診を続けることが一般的です。

専門医の選択は診察を担当したGPに任せることがほとんどですが、人から勧められた専門医に紹介してもらいたければ、その旨を一般開業医に伝えましょう。

入院治療が必要な場合、各専門医が使用している私立病院に入院することになります。

緊急時の体調不良・怪我の対処


出典元:South Western Sydney PHN

緊急の処置が必要な場合、GPから専門医のいる病院へ優先的に予約してもらい、手術や入院が必要な場合は専門医から総合病院へと紹介されます。GPからの紹介がないと、オーストラリアの病院の診察料は医療保険適用外になる可能性があるので注意が必要です。

加えて、大きな総合病院であれば、24時間受診できる緊急病棟(Casualty Department)があります。緊急病棟では、命に関わるような緊急事態から風邪のような軽症まで受け付けています。

もしも重傷を負ったり、ひどい胸痛、腹痛、喘息、吐血など緊急の手当てが必要となる場合は、全国共通の緊急連絡番号「000」に電話をして救急車を呼べば、最寄りの救急外来(Emergency Department)に運んでくれます。電話の際は、自分の居場所と今の症状に関する情報を、できるだけ正確に伝えてください。

救急外来では、看護師があなたの状態を評価して緊急度を判断します。GPの紹介なしで総合病院にて治療を受けますが、この場合は保険還付の対象となり、治療費は後日請求することができます。その後、救急外来の医師または専門看護師が診察し、緊急病棟に入院して治療を続けるか、地域の医療機関による治療を受けるか、他の病院への転院を勧めます。

以下のような重症または事故などで怪我をした場合も、緊急として救急外来を受診する必要があります。

  • 心臓発作や脳卒中
  • 胸の痛みや締め付け感
  • 突然の脱力感、しびれ、何らかの麻痺
  • 呼吸困難
  • 意識障害または意識の喪失
  • 突然倒れる、または原因不明の発作
  • コントロールできない出血
  • アレルギー反応
  • 重度の精神疾患
  • 事故・暴行・転倒による大きな怪我
  • 薬物の過剰摂取や中毒
  • 重度の火傷
  • 妊娠中の緊急事態
  • 発熱が続く乳幼児

 

また、病院の救急外来から遠く離れた地方や遠隔地にお住まいの場合は、「Royal Flying Doctor Service」で、近くのサービスとの連絡方法を確認することができます。

地域によっては、夜遅くまで診療しているメディケア急病診療所(Medicare Urgent Care Clinics)があり、咬傷、刺傷、発疹、軽い切り傷など、命に別状がない怪我や病気の治療をしてくれます。


出典元:Australian Government Department of Health

どうしたらよいかわからない場合は、24時間対応の「Healthdirect」に電話すると、アドバイスを受けることができます。

医療費について

オーストラリアの医療費は高額です。ビザ取得時に保険加入が必須でない場合でも、できる限り保険に入ることをお勧めします。

入院時の費用については、退院時に一括して払うことはほとんどありません。外科医、内科医、麻酔医の費用、検査費などは退院後、それぞれ別に請求書が送られてきます。退院の際に支払うのは、入院費や手術室や分娩室の使用費などのみとなります。

オーストラリアでの救急車の利用は有料かつ高額です。民間医療保険に加入している場合は、保険が適用されます。

軽度の体調不良・怪我の対処


出典元:Primary Health Networks

緊急性の低い問題については、かかりつけのGP、緊急医療センター、薬剤師、Healthdirectに電話する方法があります。

以下のような症状には、かかりつけのGPを利用しましょう。

  • 捻挫
  • 挫傷
  • 骨折
  • 風邪やインフルエンザなどの感染症
  • 皮膚疾患、アレルギー
  • 頭痛
  • 耳痛
  • 下痢や便秘
  • 睡眠障害
  • 軽い目の異変
  • 軽度の頭部外傷
  • 軽度の火傷
  • 継続的な病気・怪我のメンテナンス

市販薬を利用する

オーストラリアで風邪や頭痛などの症状を和らげる市販薬には、パラセタモールやイブプロフェンなどがあります。ごく軽い症状であれば、市販薬の利用も検討してみましょう。ただし、咳止めや風邪薬には、パラセタモールやイブプロフェンが含まれていることが多いので、ラベルを確認して、同じ成分を含む他の薬との二重服用を避けることが大切です。

解熱と鎮痛:パラセタモール

パラセタモール(Paracetamol)は、オーストラリアでは一般的な市販の解熱剤・鎮痛剤です。大人と生後1ヶ月以上の子供の痛みや発熱に使用可能。過剰摂取は危険なので、子どもの年齢と体重に合った強さのものを用意しましょう。ラベルに記載されている用法・用量に従ってください。わからない場合は、医師または薬剤師に確認してください。

解熱と鎮痛:イブプロフェン

日本でも市販されているイブプロフェン(Ibuprofen)は、大人と生後3ヵ月以上の子どもの体重に応じて、痛みや発熱を和らげるのに役立ちます。過剰投与は危険なので、子どもの年齢と体重に合った強さの薬を用意しましょう。
ラベルに記載されている用法・用量に従ってください。わからない場合は、医師または薬剤師に確認してください。喘息がある場合、服用の可否を医師に尋ねてください。

鼻づまり緩和:充血除去薬と点鼻薬

市販の鼻の充血除去薬「Nasal Decongestants」(錠剤、カプセル、シロップなど)が、鼻づまりを緩和するのに役立ちますが、医師または薬剤師が継続するよう助言しない限り、3日以上続けて使用しないでください。数日以上使用すると、かえって鼻づまりが悪化する可能性があります。また、プソイドエフェドリン、フェニレフリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリンを含む薬は、6歳未満の子どもには使用してはいけません。

周りの人が怪我をした場合の対処


出典元:日本赤十字社

もしも周りの人が重傷を負ったり、ひどい胸痛、腹痛、喘息、吐血など緊急の手当てが必要となる場合は、全国共通の緊急連絡番号「000」に電話をして救急車を呼べば、最寄りの救急外来(Emergency Department)に運んでくれます。

電話の際は、助けたい人の居場所と今の症状に関する情報を、できるだけ正確に伝えてください。

救急車を待つ間は、応急手当ができる人がいると安心です。救急隊が到着するまでの間、AEDなど救助を必要とする人に対してできる範囲の処置をしておける知識と技術がある人は、積極的に応急手当を申し出ましょう。

怪我や病気の予防について

怪我や病気の予防になり、低下した運動機能の改善・維持のために、オーストラリアではフィジオセラピーが利用されています。フィジオセラピーでも、一部の海外旅行保険と国民健康保険が適用されます。

フィジオセラピーは日本語で「理学療法」と呼ばれるもの。さまざまな要因によって低下した身体・運動機能を根本的に改善・維持させていく身近な治療法です。

関節痛・筋肉の緊張・肩こりなど身体の不調から、機能障がいや呼吸器系疾患にも効果があるので、身体の状態によってはGPではなくフィジオセラピスト(理学療法士)に相談することもできます。

仕事や学校で長時間同じ姿勢が多い人はもちろん、スポーツやパフォーマンスなどで筋肉を酷使しがちな人も、自分で応急処置をするよりも、フィジオセラピーでケガの治療をしておきましょう。フィジオセラピストが身体のどの部分に負担がかかっているかをチェックし、癖になることの多い捻挫など、その症状の悪化を防ぐマッサージやストレッチを施すことができます。

JAMS.TVでは、オーストラリアの最新ニュースや生活情報、防災・防犯情報を
ニュースレターで無料配信しております。

ニュースレターを受け取る

免責事項

本サービスは、災害や防犯に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の状況に対する具体的な行動を指示するものではありません。情報をご利用の際は、必ず他の信頼できる情報源と併せて確認し、ご自身の判断で行動してください。

災害時の対応について
災害が発生した際には、政府機関や各自治体が発表する公式情報に十分注意を払い、必要に応じて速やかに避難するなど適切な行動を取ってください。本サービスで提供する情報は、参考としてご利用いただくものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。また、情報は公開時点での内容であり、最新の状況と異なる可能性がありますのでご了承ください。

防犯について
防犯に関しては、周囲の状況に注意を払い、不審な人物や行動を発見した際には速やかに警察や関連機関に通報するなどの適切な対策を行ってください。また、普段から防犯意識を高め、事前に安全対策を講じることをお勧めします。本サービスで提供する防犯情報についても、他の情報源と併せて確認してください。

免責事項
本サービスの情報を基にした行動によって生じた損害について、JAMS.TV PTY LTDおよび情報提供者は一切の責任を負いかねます。情報の利用は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。

なお、本サービスで提供される情報の正確性や詳細に関するお問い合わせには、JAMS.TV PTY LTDでは対応できかねます。予めご了承いただけますようお願い申し上げます。

JAMS.TVでは、オーストラリアの最新ニュースや生活情報、防災・防犯情報を
ニュースレターで無料配信しております。

ニュースレターを受け取る