少し前からコールスやウールワースといったスーパーの入り口で、「もうすぐレジ袋廃止するよ~」という張り紙を見かけていました。そうか、と思いつつ特に気にもしないでいましたが、先日ウールワースでいつものように買い物を済ませてレジに行くと、本当にレジ袋がない!気が付けばレジ袋廃止の初日(6月20日)でした。その日はパソコンやら資料やらでいっぱいのバッグに、無理やりまとめ買いした商品を詰め込んで帰るハメになりました。
思えば2年ほど前、東京からシドニーに移り、スーパーで買い物をしたときに、レジ袋が有料でないことに驚きました。東京にいた時は、近所のスーパーでレジ袋がすでに有料化され、エコバッグを片手に買い物する主婦をよく見ていたからです。私もそれに触発されて、コンビニではレジ袋を断ったり、スーパーにもエコバッグを持って行っていたことを思い出します。それが今では、シドニーのレジ袋が無料で使える環境に慣れてしまって、いざ廃止されると「ちょっと不便だな…」と思う始末。反省しなければなりません。
オーストラリアの2大大手スーパーであるウールワースとコールスは、2018年6月30日までに、シドニーのあるNSW州に加えて、VIC州とWA州の店頭でのレジ袋配布を禁止することを発表しています。ウールワースは当初の計画より10日早い、6月20日に廃止に踏み切ったようです。これからは買い物袋を持参するか、忘れた場合は1枚15セントの再利用可能なビニール袋を買うことになります。
そもそも自然が豊かで環境に対する意識が高いオーストラリア。国レベルでも日常生活レベルでも、いろいろな取り組みがなされているように思います。タバコもおおっぴろげには販売されていないし、環境にやさしいオーガニック製品も多いし、日本の感覚で長時間熱いシャワーを浴びていたら、オーナーからは注意されるし……
確かにレジ袋も環境に悪いのは分かります。でも、オーストラリア人のレジ袋に対する環境意識は、日本人のそれとは少し違うようです。日本でいえば、エコバッグを持ち歩くのには、資源削減やごみ処理問題といった理由が一番に挙げられるかもしれません。学校でも、「石油はあと何年で~」だとか、「ダイオキシンが大気を汚染して~」と教えられてきました。一方、ありあまる土地とユニークな動植物を持つオーストラリアでは、資源やごみ処理の問題のほかに、ポイ捨てされるビニールから固有の動植物や生息地の環境を守ることも、レジ袋廃止を進める大きな目的になるそうです。
土地柄によって考え方は違えど、大手企業が環境保全に向けた動きを見せるのは、私たち消費者の意識改革にもなりますね。今まで2枚3枚と重ねて使っていたり、無駄に持ち帰っていたりしたレジ袋とおさらばして、私も常にマイバッグを持ち歩くようにしたいと思います。
文・村上紗英