スノートラベルエキスポ
日本をはじめ世界10ヵ国から、50以上のスキーリゾートが出展!
日時:5月17日(日)9am〜4pm
場所:Sydney White Bay Cruise Terminal, Balmain
世界中のスキーリゾートや旅行業界関係者が集結する、毎年恒例のスキー観光の展示会「SNOW TRAVEL EXPO」が、今年も17日にシドニー、24日はメルボルンと、二都市で開催される。
シドニーでは5月17日(日)、バルメインにあるホワイトベイ・クルーズターミナルを会場に開催された。これまでシドニー市内ダーリングハーバーのエキシビション・センターを会場に開催されていたスノーエキスポだが、ダーリングハーバーの再開発工事のため、昨年から会場が変更となり、新会場で今年は2回目の開催となった。
ダーリングハーバーは市中心部から徒歩圏内で、週末は多くの観光客や家族連れで賑わう場所だったが、新会場は市内からは車がないと行きづらい場所にあるため、昨年は集客が非常に懸念された。結果的に例年並の賑わいとなり、心配するほどのこともなく会場は多くの来場者で熱気に包まれた。
今年も昨年同様、かなりの人出となり、やはり予めスキー情報を得ようとする人たちしかここまで足を伸ばして来ないため、来場者は皆熱心に早くも来シーズンに向けて予約の問い合わせをしたり、具体的なツアーの照会をするなど、各出展ブースは賑わいを見せていた。
会場には、オーストラリア国内はもとより、日本をはじめ、アメリカ、カナダ、スイス、イタリア、フランス、オーストリア、ニュージーランド、インド、韓国など世界のスキーリゾートやホテル、旅行代理店などが出展ブースを構え、各地のスキーリゾートの特徴や宿泊施設、スキー用具など、スノーレジャーの最新情報を提供していた。
また、スキーウェアのファッションショーや各地のスキーリゾートを紹介するスライドショーの上映、国内有数のスキーリゾート地、スレドボから本物の雪を運んできて、子ども向けの遊び場を設営したりと、趣向に富んだスノーエキスポとなった。
日本のスキーリゾートには多くのオーストラリア人スキー客が訪れていることから、ここ数年、オーストラリア人スキー客が全体としてのオーストラリア人訪日観光客の伸びを牽引している。そのため日本の各リゾート地では来シーズンもこれまで以上の集客数の伸びを期待し、来場者への説明に力を込めていた。
日本からは、長野・新潟の白馬、志賀高原、妙高、野沢温泉、斑尾高原など、東北からは八甲田、安比、蔵王のスキーリゾートが出展ブースを構えたほか、今回初めてまたは単独ブースとして、石川県や湯沢町、小谷村、全日空、プリンスホテル、星野リゾートトマムが出展した。なお、北海道は今年はシドニーでの出展を取り止め、メルボルンでの出展となった。
会場ではいくつかのリゾートが、注目を得るために着ぐるみのキャラクターで子どもたちと記念撮影をするなどしていたが、日本の出展者も、着ぐるみや侍姿など人目を引く姿で趣向を凝らして、パンフレットやキャラクターグッズを配布して売り込みに励んでいた。
(トマムのマスコットNIPO) (蔵王は天狗の衣装でPR)
各ブースではスキー情報や観光パンフレット類が多数用意され、来場者に渡されていたが、JAMS.TVが発行するオーストラリア人向け英語情報誌「G'Day Japan!」も配布され、日本やスキーリゾートの案内誌として多くの来場者が手にしていた。
増加するオーストラリア人訪日観光をさらに継続して行きたい
日本政府観光局(JNTO)も出展ブースを構え、日本観光のプロモーションに努めていた。JNTOシドニー事務所の鍬本浩司所長に聞いた。
「今回はシドニーの会場には北海道からの参加がトマムだけですが、石川県や全日空が初めて参加されたり、単体でのブース出展が増えたりと、全体的に日本が大きなスペースを占めています。このような出展ブースの配置も、主催者が近年の日本へのオーストラリア人の動向を知って、期待されているのだなと感じています。この機会に良いプロモーションができればと思います。
オーストラリア人スキー客が全体の訪日オーストラリア人観光客を牽引していて、冬のシーズンの訪日客数が一番多いです。オーストラリアにとってサマーホリデーに北半球に旅行に出るなかで、スキーを中心に日本のシェアがかなり増えています。
日本のスキーリゾートでも新しく湯沢町や、白馬の小谷村が出展されたりと、さらにオーストラリア人を取り込もうとする広がりを持った新たな動きが出てきています。
これを機会にオーストラリア人の訪日スキーの人気度を将来にも継続していきたいですが、日本全体の観光情報を発信して、通年を通じたキャンペーンを行なって日本観光をアピールしていきます。」
(写真中央)
日本の出展ブースも大きな賑わいを見せていたが、長野・東北地区の観光協会関係者に反響や意気込みを聞いた。
■信州・長野県観光協会 吉味秀明さん
「今年3月14日に北陸新幹線が金沢まで開通しました。新しく飯山駅ができて、そこから野沢温泉に行けますので、新幹線で野沢温泉ということが可能になりました。
長野・新潟地域では、白馬・志賀高原・野沢温泉・妙高のスキーリゾートがありますが、ホテルの客室不足が大きな課題です。それを4つの地域で共同して受け入れを図っていますが、最近ではホテルの参加もかなり増えてきました。受け入れ客数も増えてきていますので、みなさんのご要望に応えることができるかと思います。特に志賀高原が訪日外国人に力を入れるという方向で、今回参加されていますし、小谷村も来られています。
これまで人気が出てきているのは、雪の量と質が認められてきたということがあります。スキー客に「雪の量と質を保証しますよ」ということが次第に浸透してきたと感じています。その結果、スキー客数は過去最高の数字を3年連続で更新していますから、今後も期待していますが、1月は満杯状態ですので、今後は12月から2月、3月に広げていくプロモーションを行なって、全体の底上げをしていきたいですね。」
■東北観光推進機構 日下彩子さん
「やはり東日本大震災は大きなニュースでしたので、ご心配されている方がいまだに多くいらっしゃるということは聞いています。ただ、現地としては安全ですし、以前と変わらない生活をしていますので、観光としても問題なく来ていただけると思います。特にオーストラリア人の方は、震災前よりも増えています。
今年も東北からは、青森の八甲田、岩手の安比、山形の蔵王の各スキーリゾートが出展しています。この3つのエリアはインバウンドに力を入れていますし、オーストラリア人のスキー客も増えているところです。やはり樹氷原の中を滑り降りるという体験は魅力のあるものですね。
東北はすごく雪質も良いですし、スキー場も多くあり、良いものを持っていると思いますが、もともとあまり名前が知られていなく、震災の影響もあったため、伸び悩んでいましたが、もう心配はありません、安全ですよということをアピールするために、今回出展をしています。北海道や白馬とともに、日本全体として一緒になって日本のスキー場は素晴らしいということを皆さんに知ってもらいたいです。」
今回のエキスポに初めて参加されたところがいくつかあるが、担当者に初参加の意気込みや狙いを聞いた。
■全日空マーケティング室 徳田智昭さん
「現在、オーストラリアには路線を持っていないのですが、日本にスキーで来られるオーストラリア人のかなりの方が、日本国内で私どもを利用されていますし、この機会に日本国内、北海道から沖縄まで、全路線1万800円という割安価格でご利用できますということをアピールし、また、ANAは日本の航空会社だということを知ってもらいたいと考え、出展しました。
2001年にシドニー路線を撤退しましたが、皆さんからいつ再開するのかと要望されています。残念ながら決まっていないのですが、今回のようなプロモーションを続けていけば、今後、路線再開となった場合にもすぐに対応ができるのではないかと考えています。
毎年、このウェブ特別運賃のチケットは三倍で伸び続けています。最近はLCCなどの格安航空で日本に来られる方が増えていますので、その先、日本国内もということで、このウェブ特別運賃は認められてきていると実感しています。
残念ながらオーストラリア人の方にはまだ知られていないようですので、今回のエキスポ出展を通じて、オーストラリアの方にもぜひ、この運賃を知っていただき、ANAをご利用していただきたいと期待しています。」
■星野リゾート 相内 学さん
「北海道ではニセコが一番有名ですが、今回はトマムとして単独での出展を行い、オーストラリア市場に強力なプロモーションをしていこうと考えています。
オーストラリア人全体の訪日数も増えていますし、日本への航空機の席数も増えていますので、期待はしていますが、一方、北陸新幹線の開業で長野・北陸地域が注目されています。でも、来年は北海道・函館まで新幹線が開通しますから、今からしっかりとプロモーションを行なっていきたいですね。
それに一昨年から昨年のシーズンは3倍の伸びを示していますので、今後もこの伸びを続けていきたいです。
トマムは安全に楽しめる「ファミリー・フレンドリー・リゾート」としてアピールしています。ニセコは割合若者が多いようですが、各スキーリゾートを家族で移動するのに少し大変なところがありますので、私どもとしてはトータルリゾートとして、「家族と一緒に安全に楽しめる」をキーワードに、オーストラリア市場に訴えていきたいと考えています。
■石川県国際観光課 北口義一さん
「オーストラリア人スキー客は長野に大勢来られていますし、多くの方がリピーターです。そして観光も楽しみますが、スノーモンキーや善光寺などに行かれてしまった後、ほかに何があるの?となった場合、それ以上見せるものがないと他のリゾートに行ってしまいます。そこで金沢がありますとアピールしたいですね。
今回、北陸新幹線が開業したことで、金沢を身近に感じてもらいたいですし、それも長野からだけではなく、ANAのウェブ特別運賃を利用されると、北海道からもほぼ同料金で来られるんですよ。オーストラリア人を長野からだけではなく、北海道からも取り込みたいですね。
金沢はもともと外国人観光客は多いのですが、オーストラリア人も結構来られています。年間の観光客数では、オーストラリア人はフランス人と並んでトップなんです。ただし、四季のうち春・夏・秋、特に桜の春と紅葉の秋が多いのですが冬はかなり少ないです。そこで冬のスキー客にも長野から新幹線で足を伸ばしてもらったり、北海道から飛んできてもらったりということで、増えてくれることを期待しています。」
■斑尾高原リゾート 北村明史さん
(写真左)
「3年前からオーストラリアへのキャンペーンをはじめていますが、徐々にリピーターが増えたり、旅行会社とのネットワークが広がって来ましたので、少しずつ効果が現れてきました。
全体の中でオーストラリア人はまだまだ少ないですが、着実に増えてきています。スキー場自体はそれほど大きくはないのですが、雪質は良いですし、特に林の中を滑ることができます。スキー場によってはゲレンデコースのみで、それ以外のエリアを規制しているところが多いのですが、私どもでは規制をせずに滑ることができますので、非常に人気があります。
オーストラリア人の方には、日本のスキー場は格安で利用できると評判ですし、その分アフタースキーを楽しむ方が多いようです。今後もリゾートの良さを知ってもらい、大いに楽しんでもらいたいですね。」
■湯沢町観光協会 上村信男さん
「今回エキスポに初めて参加させて頂きました。オーストラリア人スキー客は、まだ数はそれほどでもないのですが、伸び率は各国でトップランクですね。昨年が前年比214%と大きく伸びました。
ここ数年、旅行業者との商談会や、旅行会社の方を招聘して現地視察を行なうなど、積極的に活動してきた結果が現れているのかなと思います。
また、湯沢は首都圏からのアクセスが圧倒的に有利ですから、その点も結果につながっていると思います。それに最近ではオーストラリア人スキー客は、ニセコ、白馬、妙高などのエリアから新しいエリアを求めているのかもしれませんね。そんな状況にうまくアプローチできた成果かも知れません。
外国人ではこれまで圧倒的に東南アジアの方が多いのですが、オーストラリア人を新しいターゲットとして、ここ数年力を入れているところです。」
■プリンスホテル事業企画部 木内陽介さん
■プリンスホテル営業部 神田泰寿さん
(写真右が木内さん、左が神田さん)
「これまでは共同出展をしてきましたが、今回初めて、ホテル単独での出展となりました。最近ではインバウンドのお客様が非常に伸びています。その中でこれからも伸びてくる可能性が高いのが、スキーを目的にした、それもアジア系というよりはオーストラリアの方々です。
日本国内に9つのスキー場を擁していますが、オーストラリア人では北海道の富良野が一番集客が多いですね。苗場・神楽も人気です。オーストラリア人スキー客は滞在日数も長いですし、かなり早い時期から予約を入れていただけますので、ホテルにとっては嬉しいですね。
スキーリゾートとしては、どうしてもニセコや白馬が先行していますが、積雪量や規模、施設面やアクセスで弊社のスキー場は決して負けてはいないと思っています。また、私どもでは東京に9000室の部屋を持っていますので、東京を起点に各地のリゾートにつなげるということが可能です。例えば品川プリンスホテルから苗場プリンスまでライナーバスを運行していますので、プリンスのネットワークを十分活用して頂きたいですね。
また、ご家族向けに「わくわくファミリースノーランド」や「パンダルマン」という施設を設けています。オーストラリア人のご家族には結構人気があり、みなさん喜ばれています。」
■小谷村副村長 荻澤 隆さん
(写真右が荻澤さん。左は小谷村観光連盟事務局長の菊原昭一さん)
「これまでは白馬を中心に売り込んできましたが、最近では、小谷エリアにもオーストラリア人スキー客が来られるようになってきました。白馬と小谷の間にシャトルバスを運行していますから、白馬に泊まって小谷でスキーをされる方が多くおります。
小谷は白馬よりも新雪が多く降るため、パウダースノーで新雪を楽しむことができるということで、特に新雪が降るとドッと白馬から小谷に来られてスキーをされています。また、ゲレンデのほかにも、林の中を滑ることができますので、スキー場自体人気があります。そのため独自にプロモーションを行なっていこうということになり、今回の出展となりました。
今後は外国人対応のできる宿泊施設を増やしていき、白馬だけではなく小谷にも宿泊していただきたいということで、小谷村のプロモーションに力を入れていきます。」