$10,500 ‐ これは、シドニーのカフェにオーストラリアの労働基準監督署であるフェアワークの調査が入った後、オーナーに支払いが命じられた、3人の日本人ワーキングホリデー・スタッフに対する未払い賃金(2015年時点の然るべき報酬)の総額です。
ワーキングホリデーで来豪し、カフェでアルバイトをしていた3人の日本人女性。オーストラリアの法律で定められている最低時給に満たない、あるいは夜間・休日などの勤務に対して上乗せされるペナルティ・レートを無視した違法賃金で働いていました。本来は時給20ドル以上であるべきところ(夜間・休日などはさらにプラス)、時給14ドルしか支払われていなかったのです。
オーストラリアの最低賃金は日本に比べて高く設定されていますので、日本から来たばかりでしたら、その高さにびっくりして「もらいすぎ」と感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、考えてみてください。物価を含め一般的な生活に必要なコストも、オーストラリアは日本に比べて高いですよね?
フェアワークってなに?
フェアワーク・オンブズマンという言葉を聞いたことがあるでしょうか?連邦政府下の機関でオーストラリアで働く労働者(つまり、国籍は関係ない)を守るため、日本の労働基準監督官のような役割を果たしています。日々、労働者の公正・公平のために活動するオンブズマンは、現代社会のヒーローかもしれません(弁護士も、ですが)。
カフェの話に戻りますと、フェアワークの調査 によって、カフェのオーナー(日本人)が違法賃金(低時給)でスタッフを雇っていたことは単なるミスであったことが判明しました。
カフェのオーナーは、フェアワークによる調査に全面的に協力し、過ちを認め改善を誓ったことから、それ以上の罰を免れました。
これは数年前のケースですが、その後もオーストラリア全土において、継続して同じような違反(低賃金でワーホリを雇用)が起こっています。
ワーキングホリデーでオーストラリアに来たみなさん!仕事に就く前に、従業員の権利についてよくおさらいしておきましょう。あなたには、オーストラリア人スタッフと同等の権利が与えられています(ビザに付随する条件は別)。
違法賃金だと感じたらなにをすべき?
1. 法律をチェック!
直ちに行うべきことは、リサーチです。あなたの職種において、オーストラリアの法律が決めている最低賃金を調べましょう。最低賃金は特定の業界、業種ごとに異なりますが、これらはオンラインで調べることが可能です。
仕事に就く前にぜひ一度、フェアワークのウェブサイトwww.fairwork.gov.auをチェックしてみましょう。こちらで、あなたが従事する仕事で得るべき時給、最低賃金、ペイスリップと呼ばれる給与明細のテンプレートが確認できます。
2. 最初に雇用主との間で解決を試みてください
リサーチによってあなたの権利(正当な報酬額など)について確認できたら、その証拠を携えて直接雇用主にアプローチしてみましょう。もちろんあなたには、雇用問題について雇用主と話し合う準備が必要です。
被雇用者は、雇用問題の解決をフェアワークに正式にリクエストする前に、第一ステップとして雇用主との間で直に解決するのが望ましい、とフェアワークはアドバイスしています。雇用主が単に悪意のないミスを犯しているというだけなら、問題を明らかすることで、改善・解決(例えば、適正賃金の支払い)に至る可能性があるからです。フェアワークが入ることなく雇用主との間で問題解決できれば、時間を無駄にすることもありませんし、雇用主の評判を落とすこともないでしょう。
3. フェアワークに問題解決を依頼する
もし雇用主に、適切な賃金(修正後の追加払いも含めて)についてあなたと話し合う気持ちが一切なかったり、あなた自身が雇用主と話し合う行為自体を恐れている場合には、フェアワークに連絡してみましょう。
なお、フェアワークは不当賃金に関する問題だけでなく、解雇や職場での差別、休暇などその他の雇用・職場での問題にも対応しています。
雇用主側も被雇用者側もそれぞれ、フェアワーク(電話番号13 13 94)から無料アドバイスを得ることが可能です。上述のフェアワークのウェブサイトには、たくさんの情報が掲載されていますので活用してはいかがでしょうか?
また、13 14 50への電話で無料通訳サービスを受けることも可能です。フェアワークのウェブサイトは26の言語で情報を提供していますので(www.fairwork.gov.au/languages)、日本語で情報を得たい方は、https://www.fairwork.gov.au/language-help/japaneseにアクセスしてみてください。オーストラリアで働くなら、こちらのページは必見です!
オーストラリアで事故に遭い怪我をしてしまった!でも近くに頼れる人がいなくて困っている方はいませんか?
MBA法律事務所は日本とオーストラリアの法律、医療、保険制度の違いに戸惑う日本の方に対して、日豪制度間の"かけはし"となり、有益かつ強固なリーガルサービスを日本語で提供しています。