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韓国日記 パート2 ~韓国のダンス社会のすごさ~

さて今日は、「韓国のダンス社会」についての考察、今回の旅行から学んだことを書きたいと思います。

昨日の日記でも触れましたが、韓国国内でのダンスの認知度が他の国に比べてすごく高いという事を書きました。テレビを始めとするメディアへの露出、公演やイベントへの出演、アーティストのコンサートやライブへの出演など様々な所でダンサーやビーボーイを見かけます。

他の国と比べ何が違うのかと言うと、メジャーなシーンでの活躍がすごいです。また、そこまで活躍できるほど社会的地位が高いと言う事です。

(ここでは、どのシーンで活躍したいかの好みは別の話しとします。。)

日本では、アンダーグラウンド~ミドルグラウンドが主な活動の場、メジャーな世界で活躍しているのは、ほんの一握りです。

台湾しかり、他のアジア諸国、オーストラリアなんかでは、メジャーな世界はあまり発展していません。ダンス人口も他と比べ全然少ないですね。

アメリカは世界の先端を走るだけあり、また、国の人口の多さも比例し、巨大なシーンを持っています。が、ここは例外としましょう。

基本的に、ダンスなど若いエンターテイメントの世界では、アンダーグラウンドのシーンが発展し、メジャーなシーンへと成長します。両世界では、別々の活動の場があります。アンダーグラウンドのシーンが発展してるからメジャーなシーンが発展しているとは限りません。メジャーな世界というのは、プロとしての世界でもあり、社会的に認められたビジネスの世界のことを指します。全てのエンターテイメントに対してではないですが、ミドルグラウンドとして新しい中間層のビジネスの世界も発展しています。

日本でダンスのアンダーグラウンドのシーンの始まりは約40年前ぐらいでしょうか。メジャーなシーンが出来たのは約10年ちょっとと言ったところでしょうか(自分なりの推測ですが・・)。韓国のダンス社会のこの急激なメジャーの発展は、2002年からだとも言われています。なぜここ5年ほどの時間でそこまでメジャーになれたのか。

この答えに対しては、「韓国の国柄」、それと関係する「ビーボーイの強さ」、そのための「確固たる意志」が絡んでいるように思えます。

まず、最初に理解しておかなければならないのは、韓国の国柄、儒教国家であるということ。

儒教の観念では、親の言う事が絶対であり、家族は親を筆頭にピラミッド式の関係が出来上がります。社会でも同じように年配者やリーダーを筆頭にピラミッドが形成されています。そうした先輩後輩、縦の関係がすごく大事にすることが一般的とされます。

また、韓国での一般の親は、教育にすごく力を入れます。子供は英才教育を施され常に勉強を強いられます。親は子供がいい大学に入っていい仕事に就ける事を最優先とします。

韓国最大手のプロダクション、SMエンターテイメントのジョンアさん曰く、「韓国のビーボーイがなぜそんなに強いのか?」という質問の答えは、「それだけ一生懸命努力しているから」だそうです。一番シンプルな答えであり、やっぱり、といった感じです。

韓国でビーボーイをやること、ダンスをやること、それを続けることは親の意思に背く事になりかねます。それだけ命掛けでやらなければならない、という事です。親から勘当されたり、誰からも援助されなくなる状況の中で、好きなダンスを続け生きていくことがどれだけ大変か。何年も練習をして人に認めてもらえるレベルになるまですごく過酷な環境の中で経験を積んでいかなければなりません。現在でこそ、ビーボーイの社会というものが確立し、メジャーへの道、生きていく道が見えているからこそ昔ほどは風当たりが弱まったかもしれませんが、その前の時代、まだお金にならない時代を経験してきたファースト・ジェネレーションのビーボーイたちは本当にすごい、という事を言われていました。

やはり、韓国でも最初に切り開いて行った人たちというのは尊敬される存在の人たちです。

ビーボーイのみならず、ポッパーやヒップホップダンサーたちにしても同じ事が言えます。

そこまでの意思を持っているからこそ、毎日練習を8時間とかこなせるんですね。8時間と言えば普通の仕事並、というか最初から仕事にするためにそれだけやる事が普通な感覚だったのかもしれません。

韓国のダンサーたちも他の国のダンサー同様、ビデオを見て、研究をして、自分たちで努力して成り上がって行った、という事です。2002年のバトル・オブ・ザ・イヤーというビーボーイの世界大会で韓国チームが初優勝してからというもの、韓国は常に世界のトップに顔を出しています。その人口も増え続け、今ではすごく大きなピラミッドが幾つも出来上がり、分厚い層で構成されるまでになっています。現在でも変わらぬ儒教国家の中での活躍は、先輩ビーボーイ、ダンサーたちの教えが下まで伝わっているからでしょう。

また、もう一つのメジャーでの成功の要素には、プロダクションという存在が大きなものに感じます。

プロという世界で活動をするには、個人での契約よりも法人に対しての契約が優先されます。会社として、団体として活動することが社会に対しての信用にもなるからです。その分、ダンサーやビーボーイたちはプロ意識を持って仕事として活動をしなければなりません。

韓国のダンサー、ビーボーイは鼻が高い、という意見も聞くことがありますが、今を創っている、切り開いてるダンサーたちはある程度そうなっても仕方がないのでは、とも思います。それだけ、自負しているという事ですから。

また別の言い方をすれば、趣味でダンスをしている人たちよりも、プロを目指してダンスをしている人の方が多いようにも見えました。

プロダクションが所持するダンススタジオ、というのが幾つもあります。プロダクションが抱えるアーティスト、ダンサー、ビーボーイたち専用に持っているスタジオです。今回、DJ Schedule 1という個人で「Entrap」というレーベルを持つプロデューサーに会い、彼が契約しているプロダクション「Master Plan」が所持している音楽&ダンススタジオ「The Park」を見学させてもらいました。ダンススタジオの他に、レコーディング・スタジオ、リハーサルルーム、インターネットルームなど、アーティストたちに必要な設備が全て整っています。プロダクションに契約しているビーボーイたちはそこで毎日何時間も練習に励むわけです。シンガーとダンサーたちはそこで毎日リハーサルを繰り返し、バンドもそこで練習からレコーディングまでやれるわけです。

韓国ではプロダクションが多数存在しており、ピラミッドを形成し、そのほとんどがそういった施設を持っています。ビーボーイやダンサーという存在がしっかり認められ活躍しています。

公演などを開催するプロダクションは、また別の存在になります。ナイトクラブなどを運営する会社も別です。

各プロダクションや会社が関係を持ち、繋がって一緒に仕事をするようになれば、街の中では至る所でエンターテイメントが起こるわけです。

今回は、一つの公演を見る機会も頂きました。ワールドカップサッカーの韓国のオープニングイベントで水を弾きながらドラムを叩いてたドラマーの方(すみません、名前を忘れました)が主宰するイベントプロダクションの「アリラン・パーティ」という公演です。定期公演であり、内容はあまり変わらず、会場や出演者を少し変えたりして1回の公演で約1カ月半、数年間開催している公演です。

公演の内容はというと、武舞(格闘技を使ったパフォーマンス)、ドラム、タップ、韓国舞踊、ビーボーイによる90分のパフォーマンス。喋りあり、笑いあり、お客さん参加型パフォーマンスあり、息も付かせぬパフォーマンスの連続です。会場は150人席ほどの小ささで、お客さんの目の前で様々なパフォーマンスが繰り広げられます。残念だったのは、言葉が分かればもっとおもしろかっただろうという事です。笑いに乗り遅れてました。。

個人的な感想としては、ものすごくおもしろかったです。武舞のレベルの高さ(身体能力の高さ)とドラムのカッコよさ、韓国舞踊の神秘さと、出演者の演技力の高さ、すごく印象に残っています。この武舞は是非ともオーストラリアに持ってきたいと思いました。

リーダーである、武舞歴20年、韓国各地でパフォーマンスをされている、ものすごい筋肉のフンジンさんに公演後話しを聞かせてもらいました。「大韓民国、民族全員に見てもらうまで辞めない。」ものすごい熱いです。1年間毎日公演をされてて、1日も休まないと言われていました。本当にすごいです。今は、他にも大学で新しく「アートとしてのマーシャルアーツ」という学科を大学教授と一緒に開発されてるらしいです。

長くなってしまいましたが、以上の事から、なぜ韓国でダンスがそこまで認められているか、他の国とどう違うのか、という所が見えてくるような気がします。

どの国のやり方が一番良いのかというのは、各国の歴史を見、人柄を見て、それ相応のやり方で進めないといけません。オーストラリアでも特長を活かした社会形成が出来ていけば、と願います。

写真1:沢山の韓国アーティストのCDが入ったバックを頂きました。えー、これを聞いて勉強します。。

CD bag from SM Ent

写真2~4:The Parkのビーボーイ用ダンススタジオ。フロアーの下にはマットが敷き詰められています。これはいい。

The Park Dance Studio at the Park floor at dance studio

写真5~7:公演のポスター、会場入り口。公演の様子。

Arirang Party poster Life Theatre entrance Performance

写真8~10:引き続き公演の様子。プロダクション社長の挨拶。フンジン氏、マサキ君、ルーシーと一緒に。

Performance2 Korean famous drummer Mr Fung-jin

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