【入学時期はいつ?】日本は4月が新学期スタート。オーストラリ...
南半球の国・オーストラリアは、日本とは季節が反対であることで知られています。では、オーストラリアの学校は、いったい何月…
♦こんにゃくと親善大使♦
突然だが、現在私は某雑誌の撮影で東京に来ていて、その上渋谷の某高級ホテルに宿泊させて頂いている。
窓からは東京の素敵な夜景が見え、もしこれが熱々カップルであれば、ロマンチックにシャンペンでも飲みながら肩などを抱き合い、夜空をみあげたりするのだろうが、そんな素敵な時間を東京で過ごす私はいない。
ブラウン管の奥では、ダウンタウ松っちゃんが”がははははーーーっ!!”と大笑いし、そんな松っちゃんに”笑いすぎやー!”と彼の頭をピシャリとひっぱたく、バラエティ番組をなんとなく見ていたのだ。
そんな私が先程コンビ二で買ったばかりのおでんを食べようと、割り箸でつまんだところ、群馬コンニャクがつるっと滑り、カーペット落っことしたわたしに、もう夜景は映っていない。 見えるのは何千人もの人に踏みたくられたベージュのカーペットと私の歯型がくっきりついた群馬コンニャクだけだ。
これが我が家ならば、”ちょっと洗って、もう一回煮れば消毒されるさー”と無駄が嫌いな私を押し通すのだが、ホテルのお部屋だと、そういうわけにもいかない。
そう思いながらも食べ物をゴミ箱に捨てるのはとても気が引けるので、(現在)夜中の1時40分に思いついたのは、アフリカやカンボジアの子供たちに対して、この群馬コンニャクに1分間の黙祷(もくとう)を捧げることにした。
カーペットに落ちた悲劇の群馬こんにゃく様を小皿にのせ、せっかくのなので色合いを良くする為に、残っカラシまで塗ってあげた私は、群馬コンニャク様が私からの些細な詫びの気持ちを察して頂くべく、群馬県の方向らしき方角にイスを向きかえ、早速黙祷を始めた。
ただ目を瞑っているだけでは、まるで座りながら寝ているようででこんにゃくさまに失礼な気がした私は、ついでにお祈りとお詫びの気持ちを唱える事にした。
”群馬のコンニャク様、さっきは落としてしまって本当にごめんなさい。 本当は大根さんよりも卵さんよりも楽しみにしていたのですが、こんなことになってしまって、本当にスイマセン。ついでに群馬でコンニャクを栽培した皆様、そしてコンニャクを作ってくださった皆様、そしてコンビニでありながらも素敵な味に煮てくれたコンビ二の人、そして飢えに耐えているアフリカやカンボジアの皆さん、本当にごめんなさい。”
1分間の黙祷はあまりも早く過ぎ、時計をちらちら見ながらの一分だったので、”ちらちらの時間”を足すために、一応1分15秒位黙祷しておいた。
無事に黙祷が終了した私は、群馬コンニャクさんに失礼があってはいけないので、渋谷駅付近で配布していティッシュに綺麗に包み、そっとゴミ箱の下に置いたのである。
”どうして私はこんなにご丁寧で紳士な男性なのだろう・・・ 私のような男性が政治家や親善大使になれば、この世の中は救われるかも知れない・・・”と、どこからか素敵な妄想が降ってきた。
政治家と私・・・ 親善大使・・・ ・・・・・・・・・。 黒柳徹子・・・
何だか急に親善大使になりたくなってきた。 ”よぉーーーーし!”という掛け声と同時に、親善大使のなり方をグーグルすることにした。 いろいろ調べてみたが、どのサイトを見ても”親善大使のなり方”というものは無いようだ。 さてはて”親善大使専門学校”などは無いのだろうか。 そういえば”親善大使になりたいあなた、今すぐドシドシ募集!”といったような募集広告も見たことがない。
それとも黒柳徹子さんあたりに弟子入りするのがベストな方法かもしれない。 ”辛口な彼女だが、素晴らしい人に違いない。 親善大使になるには、どうやら年齢やみたくれは関係無さそうだ。 ”超男前でなくても、18歳のピチピチ青年でなくても、あたまに玉ネギが乗っかっていてもいいならば、私でもなれるかも知れない。” そう思い立った私は、こうして入られないと、黒柳徹子さんの居場所を突き止める事に決めた。 ”幸いな事に私は現在東京にいるではないか。 これもきっと神様の仕業か、何かの縁だろう。”
こうして私は人生の転機を感じ、即実行しようと思ったが、夜中の2時ではフジテレビも毎日テレビもあいていない。 明日の朝、黒柳さんにお会いして、眠そうな顔だと失礼にあたるので、取り合えず寝る事にした。
そんな希望の光が見えた私は、”よーし!未来の親善大使様ねまーす!”と取り合えず一喝し、眠りについた。
翌朝、夜更かししたせいで、とても体がだるくぼんやりした私は、半分眠りながらりんごを丸ごとかじった。 その瞬間、りんごがつるっと滑り落ち、私のりんごは昨日の群馬コンニャクと同じ所に着陸した。
一晩にして、昨日の群馬こんにゃく様にシェアメイトが出来てしまった。ティッシュにふんわり包まれたお二方は、”なんんだよぉーっ”と狭いゴミ箱の中で重なり合う羽目となったのである。
こうして私の一夜の夢はあっさり終了し、いつものように重いカメラ機材を肩にホテルをチェックアウトする事にした。 私は宿泊代を支払おうとクレジットカードを出した瞬間、フロントデスクのカウンターから視線を感じたので、そちらの方向に目を向けてみると、フロントデスクのカウンターにに”ユニセフの募金箱”があり、そこに黒柳さんのどアップ写真が私の方向を見てにっこり笑っていた。
悲鳴をあげそうになった私をよそに、ホテルのフロントのスタッフのお姉さんは”宜しければ募金にご協力お願いしますね”と、まるで黒柳さんの名声が乗り移ったかのように私に向かってニヤリと笑った。
私は早速100円玉を取り出し、募金箱に入れると、上から見降ろした黒柳さんの顔がとても不服そうに見えたので、もう200円追加して一歩下がった。
どうやら今度は満足したようで、黒柳さんは私にニッコリ微笑んだ気がした。
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