24 April to 25 October, 2009 @ State Library of Victoria
古代より人はその土地特有のコミュニケーション方法を持っていた。
そうしたコミュニケーションツールから派生し、土地特有の活字文化の興隆を説明したエキシビジョンがState Libraryで現在開催されているThe Independent Type Books and Wiriting in Victoriaである。ここオーストラリアでも、アボリジニが洞窟絵画や儀式、口語などのコミュニケーションツールを持っており、彼らは20世紀に入るまでの長い間、文字による意思疎通を行ってこなかった。このエキシビジョンは彼らの伝達文化の中でも特にユニークなポッサムスキンより始まる。オーストラリアの文学文化がスタートするのはヨーロッパ大陸よりそれらが持ち込まれてからになる。そのため、“オーストラリア文学”というものが生まれるのはイギリス的な感覚が薄まってきてからであった。
オーストラリア文学の興隆の流れを見ていく中で、日本人である私達が特に共感を覚えるのは、the Realist Writers Groupの活動が活発になる1900年代初期あたりではないだろうか。日本でも1910年代後半から大正デモクラシーの流れとマルクス主義思想に立脚してプロレタリア文学が盛んになる。だが1910年の大逆事件による社会主義弾圧にみられるように、国家による抑圧が強化されて1930年代半ばには消滅し、民主主義文学運動の流れへと繋がっていく。時同じくしてオーストラリアでも1930年代頃から連邦の校閲が厳しくなり、表現の自由を奪い、出版社や書き手を悩ませることとなった。連邦の検圧が緩んできても、まだ州政府からの弾圧は激しいままで、ローカルのライターや多国籍出版社などの小さなグループは現在もなお、法を破っては自分達のメッセージを表現する風潮が続いている。これらグループのメインの活動場所は、現在はインターネットに移行しつつあるようだ。
そういったライター同士のグループや小規模出版社の活動が盛んなメルボルンは、雑誌やフリーペーパー等の出版物が多いことでも有名だ。Meanjinはオーストラリアのなかでも3本の指に入る歴史的に重要な文学雑誌である。8ページからスタートしたこの雑誌は32ページに増え、最終的には4,000人の購読者を抱える規模となった。メルボルンのRialist Writers GroupによるOverlandも、Communist Party of Australiaによるスポンサーの下、最も急進的で息の長い文学雑誌として有名となった。
こうした雑誌世界の動きが活発なメルボルンでは、街中の小さな本屋でもそういった同人誌的な雑誌を購入できるところが多いため、ローカルの本屋はそれぞれがとても個性的だ。メルボルンの本屋に立ち寄る海外セレブも多く、Sonic Youthのサーストン・ムーアも「NYでは見つからない面白い本が沢山ある!」と太鼓判を押すほどだ。VILLAGE VANGUARDなど、超が付くほど個性的な本屋やコミックマーケットが盛んな日本に住んでいた私達にはこうした共通点は面白い。
映像メディアの発達が進み、活字離れが叫ばれる中、今一度その土地特有の歴史や文化を文学的な観点から辿るのも面白いかも知れない。街中のおしゃれなカフェやショップで気軽に手に入るフリーペーパーが多数出版されているメルボルンに住んでいる今こそ、そういった活字文化に触れるチャンスだ。
State Library of Victoria
公式ページ :http://www.slv.vic.gov.au/index.html
詳細:THE INDEPENDENT TYPE BOOKS AND WRITING IN VICTORIA
FREE EXHIBITION (開催期間:4月24日~10月25日)
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