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高級まくらの寝心地・・・

 

 
 Sydney Creative Photography

♦高級まくらの寝心地♦

 

先日デービッドジョーンズの寝具セクションをウロウロしていると、“機能性まくら”が目に入った。

 

どうやらこの機能性まくらというのは、中央部分に低反発素材が使われていて、その周りには高級エジプトコットンが使用されており、頭の形や重さによって心地よい程度にふんわりと沈んだり、適正と思われる高さにふんわり押し上げたりと、安眠が約束されていると優れものだという。

 

それだけでも優等生なまくらだと言うのに、“夏でも冬でも風を良く通し、ダニなどの虫やダストフリーで、喘息フリー”と、喘息アソシエーションだか何だかのロゴステッカーまで貼られていた。 まさにまくら界のエリートさんと言えよう。

 

私はさいわい喘息持ちでもなければ、ダニにかまれて寝付けないわけでもないのだが、

“こんな優等生なまくらに出会えたのも何かの縁かもしれない、私の安眠が約束されるなら、ちょっとくらい奮発してやろうじゃないか“

 

私はそう思い、早速値段を確認しようと、まくらをひっくり返すと “SALE“のステッカーが張ってあった。 

 

“おぉーっ!” 私は通常この単語で一声をあげることが多いのだが、今日は驚愕の一声をあげた。

 

 

“セール価格で$250、通常価格350ドルーーーっ!”

 

 

“機能性のエリートさんといえど、高すぎるじゃないか。 IKEAで買った$60のまくらでも休みの日は昼まで寝れるし、IKEAのまくらを4つ買ってもお釣りが来るじゃないか。” 

 

一度はそう思ったが、機能性まくらの魅力に負けた私は、なくなく$250をカードで支払い、エリートさんを手に入れた感激と、大きな出費との複雑な思いを胸に帰宅した。

 

家に帰宅したのは夕方だったが、私はエリートさんを早速試したかったので、夕方過ぎだというのに無理矢理ベッドに入り、早速エリートさんを試してみた

 

“んーー、なかなかいいな。さすがエリートだな、250ドルだしな~、いや本当は350ドルだぞ”

私は“まくらの心地よさ”と“金額”を天秤にかけながら、眠りにつこうとしたが、眠れなかった。そりゃそうである。 世間様はまだ夕方だ。

 

こうして、私はエリートさんのセカンドチャンスを夜まで待ち、やたらドキドキしながらその夜エリートさんをもう一度使ってみた。

 

“うぅーっ・・・。なんか寝付けない・・・。 ちょっとまくらの高さが違うなぁ・・。あとちょっと硬いかなぁ?気のせいかな・・。なんか跳ねるよなぁ・・。 でも250ドルだしなぁ・・・。 エリートだしなぁ・・ んーーーっ・・・。”

 

私はこうして1週間悩み続け、結果ロクに安眠する事も無いまま、エリートさんは押入れの奥にしまわれることとなった。

 

そんな出来事があった事さえすっかり忘れていた先日、クレジットカードの明細だけがしっかり届いた。

 

 私のエリートさんはエリート出身のサラ金取りと化し、容赦なく250ドルを引き落としていったのだった。

 

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