西シドニー大学のシドニーシティキャンパスに行ってきました!
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♦わかってない社長♦
先日テレビでアンダーカバーボスというテレビ番組がやっていた。
ちなみにどんな番組かというと、超大手企業の社長さんが新人スタッフの振りをして、 前線となる現場で仕事を体験し、数日後に "実は私はこの会社の社長なのでーす!“ と公表し、実体験した我社の課題点を改善していくといった内容である。
というよりは、そのはずである。
先日テレビでやっていたのは、皆さんもご存知のドミノピザの社長さんで、とても感じのよさそうな社長さんであった。
彼は郊外のドミノピザの店舗で、“新人アルバイト“として実際に働きながら業務を体験していくのだが、仕事を教えてくれる先輩達との会話が “どうも不自然だなー” と思ったのが、私のまず一番最初の感想である。
勤務初日のアルバイト男性のはずなので、とにかくピザを作る事に専念しないといけないはずなのに、“5年後のあなたのゴールは?”と面接風な質問をしてみたり、先輩スタッフのご家族の私情を掘り下げて質問してみたりとあまりにも不自然な気がしたのは私だけだろうか。
これが一般企業ならば、“フレンドリーなのはいいですが、無駄話が多すぎますね”とか、“新人ですから、とにかく早くピザの作り方だけを覚えてください” などと言われてしまいそうである。
ちなみに、私が一番驚いたのは、数日後に先輩達を社長さんのオフィスに呼びだし、 "実は私はドミノピザの社長なのでーーす!“と公表した時である。
このショーの醍醐味であるこのシーンでは、先輩たちが驚きを隠せず、“ひぃーーーっ、嘘でしょー?!”とドッキリ状態になるのだが、問題はここからである。
その日社長さんはドミノのお店で3人の先輩スタッフとお仕事をした。
1人は15歳の時に家庭環境に問題があり、それ以来ドミノで勤務しながら生計を立てている若い男性で、将来はパイロットになる為に飛行レッスンを受けようと貯金している男性。
もう一人はハリケーンの被害で住む家が無くなってしまい、キャラバンで生活を強いられている働き者の女性。 そして3人目はインドではお偉いさんだったのだが、息子達の将来を優先してオーストラリアに移民し、現在は言葉のせいもありドミノでデリバリーを担当している中年インド人男性だ。
そんな厳しい生活環境や家庭環境にショックを受けた社長さんは、それぞれを彼のオフィスに呼び出し、先ずは自らの正体をあかし、彼らを“あっ!”と言わせ、その後“えっ?“と言わせる解決策に踏み切ったのである。
先ず社長さんは、パイロット希望の男性に飛行レッスン費として1万ドルの小切手を手渡したのだ。
その後キャラバンでの生活を強いられている女性に家を建ててあげると約束し、そしてインドの男性にはメルボルンで開催されるクリケットの試合に家族全体を紹介し、急に本社勤務へと昇進を申し出た。
3人の先輩達は涙を流して喜んでいたし、彼らとっては本当良いお話なので、テレビを見ている視聴者も“良かったねぇー“と言える瞬間である。
しかし一企業の社長として、これが正しい解決法かどうかは謎である。
言いかえれば、今回の3人の先輩はラッキーだったわけであるが、他にも数千人のスタッフがいる事を忘れてはいけない。
“今回の体験を通じて、ドミノスタッフ全員の労働環境や業務内容を改善する事が彼の任務や目的じゃないの?”
そう感じたのは私だけであろうか。
一企業の一社長として実際に現場を体験する事は大賛成だし、たまたま選ばれた3人のスタッフに金銭的なヘルプをしてあげたい気持ちはとても理解できる。
ただそこで得た実体験を、OOさんが可愛そう、XX君の家庭はね・・・じゃ、公私混合もいい所である。
”3人のプライベートな事情を手助けをする事が彼の任務ではなく、彼らの生活の軸となるドミノピザでの業務内容やワークコンディションを整えていく事が社長の先行すべきことじゃないの?” と困惑させられた。
社長さんの優しい気持ちはよーく理解出来るけれど、これでは本末転倒だし、下手したら売名行為だとの声も上がるかもしれない。
“一攫千金でーーす!” みたいな行為は、オプラショーのオプラや竹豊さんあたりに任せておけばいいのだ。
“結局社長ってわかってないよな・・・。” そんな声がドミノスタッフから聞こえてきそうな夜だった。
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