「今週の相場の焦点」by Joe Tsuda (津田 穣) ...
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さて、前回は「胎教」について私の思うところを書いてみたが、ママたちの教育熱はもちろん胎教に留まらない。
特に日本では、今や幼児英才教育ビジネスが花盛り。少子化の影響で、たとえ子どもを産んでも一人しか産まない
女性は多く、その大切な一粒種に賭ける意気込み、お金、期待、願望は留まる所を知らない。
オーストラリアでは日本ほどの熱気は無いようだが、それでも昔に比べたら随分教育熱心な親が増えてきている
のではないかと思う。1歳すぎの赤ちゃんの頃から絵や文字のフラッシュカードを見せて言葉を覚えさせたりする
のはかなり極端なほうだと思う。
けれども、そこまでは行かなくても、普通は赤ちゃんの頃から絵本くらい読み聞かせたりするし、3歳頃になれば
ピアノやヴァイオリン、お絵かき教室などの「芸術系」、体操教室や水泳などの「運動系」など、お稽古事を始める
親はたくさんいる。日本人の親なら公文式や日本から取り寄せる幼児教育教材などで早くから「学習系」の
幼児教育を始める人も多い。
我が子を「一歩でも早く」先に進めたいという親の願望の現われなのだが、私も4歳くらいからピアノを
習わせ始めた親の一人として、体験から話をさせてもらうと、「天才児」というのは作られるものではなく、
やはり天から授けられるものではないかということである。どんなに早く何かを始めたからといって、
どんな子でも、どんなことでも才能が伸ばされるとは限らない。親がやらせてみたことが、たまたまその子の
持って生まれた才能とぴったりと幸運な符号をした場合に、驚くべき伸びを示して「あの子は天才では?」と
思わせるようなケースが出てくるのは確かだが、そういう例は残念ながら稀である。
普通は、人よりちょっと早く何かが出来るようになる(ピアノが少し弾けるとか、ひらがなや漢字が書けるとか、
ちょっとした計算が出来るようになる、とか)としても、そのアドバンテージは他の子がみんな始めだすと、
少し才能のある子にあっという間に追い越されてしまう程度のものだったりする。
だから、赤ちゃん時代に、部屋にこもってビデオばかり見せ、学習教材でひらがなを覚えさせたりするのは
どれだけ効果のあることか、と疑問に思うのだ。それよりも、外に連れ出して草花のにおいをかぎ、
童謡を歌って聴かせ、光や風に触れさせて自然や地球の環境に親しませることこそ大事なのではないか。
公園でブランコに乗せて揺らしたり、砂場で自由に砂遊びさせる。そんな赤ちゃんらしい遊びの中にこそ、
本当の「生きる力」となっていく学習効果が含まれているのではないだろうか?
文字や計算などは、しかるべき時期がくればみんな誰でも学習することなのだ。
赤ちゃん時代は赤ちゃんらしく。それが一番だと思う。
(さかな)
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