私の子供たちが「母乳大好き!」でなかなか離乳が進まず、手作りも市販の離乳食も失敗して、
結局乳離れするのに2歳くらいまでかかってしまった話を前回2回に分けて書いてきた。
子供たちの頑固さにさじを投げた私は、「離乳食導入」にやっきになることをやめ、親と同じ食べ物を
食卓の上でちょっとつぶしたり、お白湯で薄めたりのばしたりして、気楽にやることにした。
あれこれ苦労してせっかく赤ちゃんのために作った離乳食が受け入れてもらえなかったり、わざわざ
そのために買ってきた市販のものなどが「無駄」になってしまうと、母のガッカリ度は大きい。
その点、自分たちの食べるものの中からちょっと分けて食べさせるやり方だと、無駄にする食べ物も
労力も少なくてすむので、気持ちがとても楽になった。
幸い、日本食というのは赤ちゃんに食べさせやすい食事だ。
まずごはん。お米は最もアレルギーを起こす心配がなく、味もマイルドで赤ちゃんに受け入れられやすい。
これを柔らかく煮ておかゆ状にしておけば、まずは一安心。おかずにしても、柔らかく煮物にしたにんじんや
かぼちゃ、大根などの野菜をつぶしたり、味噌汁に豆腐や野菜を入れて柔らかく煮れば、それも離乳食となる。
また、日本人が良く食べる魚は良質なタンパク質で、動物の肉と違って身がもろくて柔らかいので、煮魚や焼き魚を
ほぐして食べさせることができる。
一方、私のマザーズ・グループにいたオーストラリア人ママたちの離乳食を見ていると、マッシュポテトやひき肉、
柔らかく煮たパスタ、ポリッジ、ヨーグルト、バナナなどの柔らかい果物などであった。
いかんせん、野菜が少ない、という感じが否めない。
もう少しして歯がしっかり生えていろんな食べ物を咀嚼できるなってくると、
野菜スティックを導入する人が多いが、硬い生野菜は子供によって好き嫌いが分かれる。
でも、民族はみなそれぞれ自分たちの食べ物で身体を作って成長してきたわけだから、彼らにとっては
乳製品や動物性たんぱく質中心の離乳食でも何の問題もないのだろう。
むしろ、「身体を大きく」するために、乳製品や動物性タンパク質の導入には非常に熱心なように見受けられた。
一方、日本人は歴史的に野菜や魚中心の食事をしてきた民族だから、いきなり動物性たんぱく質ばかりの離乳食では
アレルギーも心配だ。その点、煮野菜が食卓の一品に並ぶことの多い日本食中心の食事を親も心がけていれば、
赤ちゃんの食事も自然と野菜や魚中心となる。野菜が柔かくて食べさせやすく、かつ栄養のバランスが取りやすい
食事でよかった!と日本食文化に感謝したのであった。
ところで、赤ちゃんが好き嫌いなくいろんな食べ物を食べてくれるのが理想だが、
赤ちゃん自身の嗜好の問題に対する日豪の違いを最後に少し述べておこう。
日本では、にんじん嫌いな子供ににんじんを食べさせようと、すりおろしてスープに入れたり
細かく刻んでハンバーグに混ぜたり、と何かと創意工夫をする親が多い。
オーストラリアではそこまでして子供を「ニンジン好き」にしようと頑張る親は皆無である。
「好き嫌い」も自己主張のうちであり、基本的に本人の意向を尊重する主義だからである。
この「自己主張の尊重」についてはまたいつか章をあらためて書いてみたい。
(さかな)
サンシャインコースト大学(University of the Sunshine Coast)は、オーストラリアのクイーンズランド州サンシャインコースト…