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【子育て】 シドニー共育日記(第2回)「Expect the unexpected」(出産は予想通りにいかない)〜その2〜

初めて妊婦になった人は、この新しい事実を知った日から、喜びばかりではなくて、いろんなことを考える。

自分の身体がどんな風に変わっていくのか、という不安がまずあって、出産は痛そうだし怖い。

第一自分自身がつい昨日まで子供だったのに、どうやって子供を産み育てていったらいいのか?

私もご多分に漏れず、妊娠・出産関係の情報を本や雑誌に求め、少しでもこの「未知の体験」の不安を

知識で鎮めようとやっきになった。実際、自分の身体の変化と赤ちゃんの成長とを月別に分かりやすく

図解して示してくれる本には随分助けられたし、「このころやっておくべきこと」などの懇切丁寧で有難い

アドバイスも多々あった。

でも、この手の情報に頼りすぎることの落とし穴もあることを、知っておいて欲しい。

なぜなら、えてして本や雑誌の情報というものは平均値に基づいた書き方がされており、一方、

妊娠・出産はどちらもその体験は非常にパーソナルで、感じ方も人それぞれだからだ。

だから、あまりにも情報を信じ込んで「こうなるはず・べき」という思い込みを強くすると、そうでないことが

起こった場合パニックになる。一人一人の身体には個人差があることをよく認識した上で、

何か不安があれば一人で思い悩まず医師に相談すること。

一方、妊娠・出産後にあっという間に元のスリム体型を取り戻す芸能人などの影響を受け、

それがファッショナブルであるとばかり、妊娠中に不自然なダイエットをしたりする人がいる。

また、これは日本での傾向だが、医師が「安産のため」と称して産道に脂肪をつけさせないよう、

体重増を7Kg程度にまで抑えるよう指導することが多い、と聞く。

いわゆる「小さく生んで大きく育てる」という大義名分なのだが、これも近年、そのような指導を受けて

妊婦が「ダイエット」した結果、生まれてきた赤ちゃんに低体重児が多く、その後の成長や健康に

問題がある場合が増えている、という研究報告があった。オーストラリアでは幸い妊婦の体重指導は殆どなく、

バランスのよい食事と適度な運動を心がけてさえいれば20kg太ろうが文句を言われることはないようだが、

だからと言って際限なく太ってもいい、というわけではないだろう。実際、太りすぎが妊娠中毒症や難産の

元になるのは事実だし、出産後に相変わらず「妊婦体型」を保っているオージーも多い。

栄養バランスに気を配りつつ、食べたいものを適度に食べて、10kg前後の体重増が理想、と言ったところか。

けれどももちろんこれも個人差なので、たとえ15kg以上増えても赤ちゃんが順調に育ち、自分が健康ならば問題はない。

私は妊娠中、蕎麦が無性に食べたくなり、毎週蕎麦屋さんに通ったものだが、いわゆる妊婦の

「craving:クレービング(何かを無性に欲しくなること)」は、結局「自分の身体が必要としているものを

食べたくなる」ということらしい。だからその自然の要求に逆らわないようにすることが大事だと思う。

(さかな)

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