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ホームレスが販売員『BIG ISSUE』ってどんな雑誌?

 

シドニーの街中を歩いていると、ホームレスの人が路上で雑誌を売っている光景を見かけませんか? 彼らが販売しているのは『BIG ISSUE』。月2回発行の情報誌です。
 
『BIG ISSUE』は1991年、ロンドンから始まり、オーストラリアでは1996年、メルボルンを拠点としてスタートしました。発売以来の発行部数は440万部を突破し、オーストラリア出版業界において、もっとも急速に成長し、成功を収めている雑誌のひとつとされています。国内外の時事問題を幅広く扱い、映画やDVD、音楽などエンターテインメント情報も満載、さらに社会問題を鋭く突いたコラムが充実している、というのが読者をつかんでいる理由でしょう。また、俳優からホームレスまで、多様な人生観を取り上げているのも、この雑誌の魅力と言えます。
 
現在、オーストラリア国内では3000人を超すホームレスの人々が、この『BIG ISSUE』の販売に携わり、生計を立てていると言われています。というのも、売り上げの半分がホームレスの人々の収入になるからです。1冊5ドル、その半分の2.5ドルがそのまま販売員の手元に残ります。そもそも『BIG ISSUE』は、ホームレスや長い間仕事を持っていない人々に仕事を提供し、自らの足で健全な社会生活に戻れるよう支援するために設立された出版事業。チャリティー(救済事業)ではなく、自立を応援することがポイントで、これまでたくさんのホームレスがこの雑誌販売で得た収入を足がかりに、社会的自立を成し遂げました。
 
この『BIG ISSUE』、日本版が存在することをご存知ですか? 東京や大阪などの主要都市では、同じようにホームレスの人が街頭に立ち、雑誌を販売している光景を見ることができます。システムは同じで、販売価格300円のうち160円が販売者の収入になります。日本以外にも、発祥地であるイギリスをはじめ、南アフリカ、ケニア、エチオピアなど世界に7誌あります。それぞれ独立した雑誌ですが、記事や情報交換などで協力しあい、国際的なネットワークを作り上げています。
 
 シドニー市内では、シティ中心部の駅周辺やQVBのバス停付近、ハイドパークの入り口、ピット・ストリートのショッピング・モールなどで、黄色いジャケットを羽織ったホームレスの人々が『BIG ISSUE』を販売している姿をよく見かけます。購入するのはちょっと勇気が要りますが、内容とコスト・パフォーマンスを考慮しても、買って損はないと言えます。おもしろい記事が読めて、社会貢献もできる『BIG ISSUE』、一冊購入してみてはいかがでしょう?
 
 
広告が少ないため、コンパクトで洗練されている印象。リピーターが多いというのもうなずけます。
 
こちらが日本版『BIG ISSUE』。

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