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五月の蝿と書いて「うるさい」。ハエはほんとに困りもの

先日、タクシーに乗っていた時、ドライバーの携帯電話が鳴りました。もちろんドライバーは何の躊躇もなく電話に出ました。片手で運転しながら何やら話し続けています。カーブになっても器用に運転します。おいおい、大丈夫か?と思いながら、ちょっとヒヤヒヤしました。

車を運転中に携帯電話が鳴ったとき、あなたはどうしますか?

(1)もちろんすぐ携帯を手にして応答する

(2)警察がいないか周りを見てから応答する

(3)ハンドフリーをつけているので、すぐ応答する

どの答えもブー!です。(1)(2)は論外ですが、(3)でも危険なんですね。運転中に電話で会話をするのは、いくらハンドフリーでも、気が散って非常に危険なんです。

ということで、いま、連邦政府と各州政府では、車を運転中の携帯電話の使用を全面的に禁止しようとしています。2020年までに交通事故を30%減らそうという交通政策の一環です。調査によると、ハンドフリーも含め、携帯電話使用時の事故の確率はかなり大きいんですね。

NSW州では、初心者免許以外、ハンドフリーの機器は使用が許されているんですが、それも禁止しようというものです。そりゃ、事故が多いのでそうするべきだとは思いますが、結構反対が強いんです。

業界団体が強く反対しています。電話で仕事をしている多くの人にとって、運転中とはいえ、ビジネスチャンスである電話の応答は必須だというんですね。

特に配管工や電気工事、修理業者や施工業者などの人たちは、その仕事の多くを電話で受けています。ハンドフリーの使用も禁止されると、商売にならないというわけです。

24時間対応の緊急サービスを提供している業者にとっては、まさにそうですね。「もしほとんどの電話が、運転中はメッセージコールになった場合、仕事場や会社に戻ってメッセージを聞いたんでは遅すぎる。仕事にならない」と怒っています。

ハンドフリーよりも、携帯でテキストを送るほうがよっぽど危険だ、という人もいます。そりゃそうですが、そんなことを言えば、運転中にメイクをする女性は危険じゃないのか、地図を見ながらの運転はよっぽど危険だ、いや居眠り運転だ、脇見運転だ、と際限がありません。

携帯電話に限らず、運転に集中しないで、ほかの動作をするのはもちろん危険ですね。調査によると、普通に運転に集中している場合と比べて事故になる確率は、メイクをしていると3倍に、地図を見ながらでは3.4倍に、居眠り運転は4~6倍に、脇見運転は2~3.7倍に高まります。携帯電話の使用は1.3倍です。ハエがまとわりついた場合は9倍となります。絶対に車の中にハエを入れないように!

携帯電話も、会話中はそんなに危険が大きくはないのですが、携帯電話をとろうとしたり、番号を押そうとしたり、ハンドフリーを装着しようとしたり、イヤホンを付けようとしたり、そんな動作の際が一番危険です。5~6倍に危険度が上がります。

そこで車自体に危険防止の仕組みができないかと、いろいろ研究がされています。例えば会話中にカーブに来た時は、自動的に会話を遅らせて送受信して、運転に集中できるようにしたり、脳の働きを分析してどの程度集中しているのか判断したり、右折するのはかなり集中力が高まるので、そのときにかかって来た電話は自動的にボイスメールにしたり、そんなハイテク機器の装着で安全運転をさせようとしています。なかには、車を動かすと自動的にラジオにロックがかかり聞こえなくする装置もあるそうですが、これはちょっと行き過ぎのような気がしますが。

とにかくオーストラリアでは、特に郊外のドライブでは絶対にハエを車の中に入れないこと! これが最善の事故防止のような気がしますが。

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