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シドニーってそんなに住みやすいの?

オーストラリアに住んでいると、日本のお友だちによく羨ましがられます。「オーストラリアっていい国でしょ?」「住みやすいんでしょ?」「いいなぁ、快適な生活で」などと言われるんですね。

「だからこそ住み続けているのよ」と言いたいのですが、なんだかケンカになりそうで、そうは言いません。「日本のほうがいいわよ。おいしいものがいっぱいだし、テレビも面白いし、便利なものがたくさんあるし…」などと言ってごまかしています。

よく、世界の国や街を比較したランキングで、オーストラリアやオーストラリアの都市が上位に選ばれますね。それほど人気の高い国に住んでいるんだなと思いますが、確かにいまでは、日本に行って戻ってくるとホッとする自分がいます。オーストラリアでの生活に慣れたからなのか、実際に快適な生活だからなのか分かりませんが、こんな生活イヤ〜!ということはありません。

先月発表された「住みやすい都市ランキング」でも、1位にバンクーバー(カナダ)が、2位にメルボルンが選ばれました。しかも上位10都市にはオーストラリアの州都4都市が入っています。(英国の経済誌「エコノミスト」の調査部門による「Liveability Ranking 2011」から)

【住みやすい都市ベスト10】

(1)バンクーバー(カナダ)

(2)メルボルン

(3)ウイーン(オーストリア)

(4)トロント(カナダ)

(5)カルガリー(カナダ)

(6)ヘルシンキ(フィンランド)

(7)シドニー

(8)パース

(9)アデレード

(10)オークランド(ニュージーランド)

こうしてみると、オーストラリアとカナダの都市が上位を占め、世界でもっとも住みやすい国になっているようです。ちなみに日本の都市は、大阪が12位で東京が18位でした。(日本からはこの2都市だけが対象になっています。)その他の都市では、パリが16位、ロンドンが53位、ホノルルが30位、ロサンゼルスが44位、ニューヨークが56位となっています。

じゃ、もっとも住みにくい街はどこ?

【住みやすい都市ワースト10】

(131)コロンボ(スリランカ)

(132)ダカール(セネガル)

(133)テヘラン(イラン)

(134)ドゥアラ(カメルーン)

(135)カラチ(パキスタン)

(136)アルジェ(アルジェリア)

(137)ラゴス(ナイジェリア)

(138)ポートモレスビー(パプアニューギニア)

(139)ダッカ(バングラディシュ)

(140)ハラレ(ジンバブエ)

この調査は、世界140都市を対象に、(1)政治・経済・社会の安定性、(2)医療サービス、(3)文化・環境、(4)教育、(5)インフラの5分野で30以上の項目を評価して、その街の「住みやすさ」を明らかにするというものです。各項目に1から100までのポイントを与えて、80〜100ポイントは「生活上の困難が極めて少ない」、逆に50ポイント以下は「生活するうえで多くの制限がある」としています。得点配分からみると、特に安定性と文化・環境に重点が置かれ、教育はそれほど得点配分が多くありません。

では、ここで問題です。(解答は一番下にあります)

(1)ピッツバーグ、ダブリン、東京が同じランクの項目はどれでしょう?

(a)安定性の項目 (b)教育の項目 (c)インフラの項目

(2)次の都市のうち文化・環境項目で一番得点の高い都市はどこでしょう?

(a)アルジェ (b)ダカール (c)テヘラン

オーストラリアのメルボルン、シドニー、パース、アデレードの4都市を比較すると、シドニーは安定性の項目がほかの3都市に比べて低い得点になっています。生活する上で、治安も含めて、安心できない暮らしになっているということですね。

7位だからといって安心してはいけません。シドニーは2000年のオリンピック開催で州予算をかなり投資したのですが、その結果、教育や医療など、他の分野に予算を割り振りできず、そのつけを今日までずっと引きずっているんです。

州政府の事なかれ主義が大事なことをどんどん先送りしたり、道路・交通網などインフラ整備を行なうにしても、コンサルタントや調査経費に莫大な予算を使い、結局何も進まないという悪循環ばかりです。

そのため今月26日の州議会選挙では与党労働党の惨敗が予測されています。

政権交代が実現して、「安定性」の項目で高得点を獲得して、シドニーが名実共に「住みやすい街」になるのかどうか、期待してみましょう。

(問題の答え:いずれも(b)です)

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