今日のニュースに、オーストラリアの家計支出がこの1年で7.5%上昇し、インフレ率2.7%を大きく上回ったと報道されました。住宅ローンや食料品やガソリンの値上げなどで家計が圧迫されているということです。特に、洪水やサイクロンの被害を受けたクイーンズランド州では、8.3%の上昇と最大値を示しています。ちなみにニュー・サウス・ウエールズ州は6.3%でした。ただし、雇用確保と失業率は安定していて、長期的に見ると状況は改善の方向にあるようです。
その一方で、オーストラリア人の個人資産の平均が26万6,600ドルと、世界金融危機前に発表されたこれまでの最高額25万5,000ドルを超え、オーストラリアの景気は完全に回復して、個人資産も最高になったとの見方も出ています。
これは財務省と統計局の調査によるもので、2010年12月時点での数字です。資産には、銀行口座残高、所有株式、不動産などを含みます。一世帯当たりの平均資産額は約70万ドル。また、政府以外の民間資産総額は6兆ドルです。個人や企業の借り入れは11%も減少しているので、相対的に史上最高の資産額となっています。
家計が苦しいのか、これまでにない資産額になっているのか、いったいどっちなの? と思いますが、民間金融機関の調査では、消費者の購買意欲が9%減退しているとか、家計の余裕度が11%減少したとか、今後の経済拡張予想も14%減少しているなど、悲観的な見方も出ています。
そんな状況を知っているのか、知らないのか、「いまが家財を購入するよい機会」と考える人は4.5%増えているのを見ると、やはり景気は良いのでしょうか。背景にはオーストラリア・ドルが米ドルに対して強くなったことがあります。買い物客の6割が「大きな買い物をするのは今だ」と考えているようです。
これまでオーストラリア人は貯蓄が少なく、クレジットカードの借入額が大きくて、個人破産する人も多いという傾向が見られましたが、最近では貯蓄傾向が見られ、借金返済に努力しているようです。世界金融危機以降の消費者の意識の変化があるようで、クレジットカードや個人ローンの利用に慎重になっているとも言われています。
そんな中、「生活資金が突然不足したらどうするか?」という調査に、「借りない・貯金しない・使わない」と答えるオーストラリア人が多いというのは興味深いですね。これは「Money Matters in Times of Change」(Brotherhood of St Laurence)という調査結果によるもので、以外に堅実な方法を身につけているように思えます。なかには、昼食を持参する、外出しない、困るような状況に身を置かない、クレジットカードを破棄する、などと答える人もいます。
ところが、政府からの補助金をもらっている人は、資産審査で補助金を減額されないようにあえて貯蓄をしなかったり、残業して収入を増やすことをしないという人もいます。収入が増えると、その分政府からの支給額が減らされるので、あえてそうしないということですが、なんだか逆の発想になっていますね。
母子家庭や低所得者向けに政府はセンターリンク(Centrelink)を通じて、各種補助金を給付していますが、審査基準の見直しが必要なのではないでしょうか。給付の際の所得上限額を気にするあまり、あえて働かなかったり、貯金しないというのは、かえって審査基準が弱者を助ける制度の足を引っ張っているような気がします。
ドルが強くなり、景気もそこそこ良くなり、投資環境も改善されてきたとなると、消費意欲を持ってもらい、お金が回るようにならないといけません。その結果経済がよい状態になるのなら、制度の見直しでさらに消費意欲を高めてもらいたいですね。
2024年ブラックフライデーのお得な語学学校スペシャル出ました! 2024年のブラックフライデーを記念して、英語コースの特別料…