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国歌が4つもあるなんて

今日は何の日?  私の誕生日…そんなことはどうでもいいのですが、今日はオーストラリアの国歌の日です。

オーストラリアの国歌「アドヴァンス・オーストラリア・フェア」(Advance Australia Fair)は、1878年に作られた結構古い歌なんですが、国歌として正式に制定されたのは、1984年の今日、4月19日のことでした。この歌は国民投票で、当時の国歌(「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」(God Save The Queen))を押さえてトップの票を獲得しています。ちなみに2位は、「ワルチング・マチルダ」(Waltzing Matilda)でした。(関連記事は1月27日のこのコラム参照)

1901年のオーストラリア連邦発足式でも合唱され、以後も、様々な機会に歌われていました。公式行事でも演奏されていたのですが、正式に国歌としては制定されていませんでした。やはり英国の植民地としてスタートしたオーストラリアですから、英国国歌の「God Save The Queen」を歌うのが一般的だったんですね。

それが、オーストラリアに革新的なさまざまな改革を行なった、ウィットラム労働党政権の誕生(1973年)で、自分たちの国歌を決めようという機運が盛り上がってきます。政府主導で行なわれた6万人の投票により、現在の国歌、「Advance Australia Fair」が国歌として最適とされ、政府も国歌として決めたんです。

1974年の投票結果

1.「Advance Australia Fair」(51.4%)

2.「Waltzing Matilda」(19.6%)

3.「Song of Australia」(13.6%)

ところがウィットラム首相が連邦総督に解任されるという事件で、政権が保守連合政府に交代となり、自由党のフレーザー首相は、それまで労働党政権が行なってきたさまざまな改革や政策を元に戻すことを行ないます。1976年1月、フレーザー首相は国歌も「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」に戻すと発表しますが、そうは言っても「アドバンス・オーストラリア・フェア」が国民の支持で国歌になっていたわけですし、「ワルチング・マチルダ」も人気があったので、苦肉の策として、正式な決定までは「ソング・オブ・オーストラリア」を加えた4つの曲から選択して演奏してもよいということにしました。

そのため、一時期、オーストラリアには4つの国歌が存在することになってしまいました。何ともオーストラリア的ですね。(これだからオーストラリアが大好きなんですが…)

とはいっても、さまざまな公式行事毎に、演奏する国歌が違うのは問題です。そこで政府は国民投票をすることにしました。テレビとラジオでこの4つの曲を流して国民に選んでもらおうというわけです。そして、1977年の国民投票で、またしても「Advance Australia Fair」の得票がほかの3つを上回りました。

1977年の投票結果

1.「Advance Australia Fair」(43.2%)

2.「Waltzing Matilda」(28.3%)

3.「God Save The Queen」(18.7%)

4.「Song of Australia」(9.6%)

その後、総選挙でフレーザー保守連合政権を破ったホーク労働党政権が「Advance Australia Fair」を正式に国歌に決定し、1984年4月19日、連邦総督の公式宣誓で晴れて国歌として制定されたというわけです。

Advance Australia Fairの関連サイト

(国歌のメロディーが流れます。ほか候補曲も聴けますよ)

http://www.itsanhonour.gov.au/symbols/anthem.cfm

http://advanceaustraliafair.org/

 

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