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なぜ原発文化人は何も言わないの?

問題です。この人たちに共通しているのは何でしょう?

養老孟司、茂木健一郎、勝間和代、大前研一、幸田真音、堺屋太一、北野武、草野仁、荻野アンナ、星野仙一、アントニオ猪木、吉村作治。

講演料が100万円以上? そうかも知れませんが、違います。みなさん、原子力発電所のPRに一役買ってきた、もしくはPRに利用されてきたタレント・著名人です。

手元にある週刊誌、「週刊朝日」2011年1月7・14日号の巻頭グラビアに、「福島第一原子力発電所リポート」という記事が掲載されています。東京電力がメディアにお金を出して記事として掲載してもらっている原発PRの記事広告です。

週刊朝日に限らず数多くのメディアに、各電力会社や電気事業連合会による、原子力発電を理解してもらおうという広報活動の一環としてこのようなリポートが掲載されています。記事によっては有名人や著名人をリポーターにして原発を訪問してもらい、感想を述べる形式のものも多くあります。このような広報活動に、電気事業連合会や電力会社では年間、数百億円以上の広告予算が使われています。

なぜそうまでして、原子力発電所を宣伝しないといけないのかというと、もちろん「原子力はクリーンで安全」ということを広めたいからです。どうして広めたいかというと、国民の多くに「原発は怖い」「原発は危険だ」というイメージがあるからです。

先ほどの「週刊朝日」の記事では、「福島第一原子力発電所では、安全性の確保について最も力を注いでいる」と記し、所長の「3号機が営業運転を開始して34年になりますが、機器と設備、建屋に関する経年対策は怠っていません」という言葉を紹介し、万全を期しているとしています。

電力会社に利用されて誌面に登場してきた「原発タレント文化人」は、電力会社にとってはまさに使い勝手のよいPR道具です。テレビでおなじみの人が、原発のクリーンエネルギーとしての価値や安全性を語りかけるというのは、多くの人にかなり大きな影響を与えるわけで、原発のイメージ向上には欠かせないのです。

週刊誌からの孫引きですが、例えばビートたけしは、「原子力発電を批判するような人たちは、すぐに『もし地震が起きて原子炉が壊れたらどうなるんだ』とか言うじゃないですか。ということは、逆に原子力発電所としては、地震が起きても大丈夫なように、他の施設以上に気を使っているはず。だから、地震が起きたら、本当はここへ逃げるのが一番安全だったりする(笑)」(「新潮45」2010年6月号)などと言っています。

「他の施設以上に気を使っているはず」の原発が、このような状態ですから、「原発に逃げ込むのが一番安全」なわけがないのは当然ですね。「想定外」というのも、原子力安全委員会での討議内容などが徐々に出てきて、「想定外ではなかった」ことが明らかになってきました。

ビートたけしは、「どうも原子力発電というとリスクばかり言う傾向があるけれど、実際、おいらたちはもっとリスクのある社会に生きている。変質者に刺される確率のほうがよほど高いって(笑)」などとも発言しています。

彼に限らず多くのタレント・文化人が似たような発言をして、リスクはそんなに高くない、安全だよと宣伝してきたのは事実です。今回の原発事故を前にして、これまで電力会社のPRに一役買ってきた有名人たちは、いまどうしているのでしょう。「裏切られた」とでも思っているのでしょうか。「今回は想定外。本当は安全なんだ」とでも思っているのでしょうか。

残念ながら、この方達からの声は聞こえてきません。

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