今日はイースター・マンデーの祝日ですが、同時に、毎年4月25日はアンザック・デーの祝日です。ということで祝日が重なったために、明日、26日も振替休日となってイースターの5連休が実現しました。
ところでアンザック・デーって何の日? 日本人にも関係が深い日です。
ANZACは、Australia and New Zealand Army Corpsの略で、オーストラリアとニュージーランドの軍隊の混成軍団のことです。1915年に第一次世界大戦への参加のため、エジプトで訓練を受けた軍団です。そして、4月25日、トルコのガリポリにANZAC軍団が上陸を開始し、悲惨な戦闘が始まります。(映画「Gallipoli」に詳しいです)
結局、トルコ軍の猛攻に耐えきれず、ANZAC軍団は退却を余儀なくされます。
翌年、1916年4月25日にアンザック・デーとして、この戦闘での死傷者を悼む儀式がオーストラリアとエジプトで行われました。以後、この日は、戦争で勇敢に戦った兵士へ敬意を表し、亡くなった者の冥福を祈る慰霊の日、戦没者記念日として、毎年オーストラリアをはじめ、トルコ(ガリポリ)や、その他戦闘地域で式典が執り行われています。
第一次大戦のみならず、その後の戦争や最近のイラク、アフガニスタンでの戦いも含まれます。そのため、第二次世界大戦で日本軍と戦い、捕虜となって過酷な労働に従事させられた元オーストラリア軍兵士の人たちもパレードに参加して行進しますが、その度に、過去日本軍が行なった非人道的な行為に批難が集中した時期があります。
昔は、オーストラリア在住の日本人の間では、この日は外に出てはいけないと言われていました。パブなんかに行こうものなら、日本人と分かると何をされるか分からないと言われたものです。実際に石を投げられた人もいました。
いまではそんなこともなくなりましたが、それでも戦争のことを思い、けして過去のことではないと考えるよい機会ですね。
すでに第一次世界大戦に参加して生還した兵士の方も全員亡くなり、第二次世界大戦の参加兵士も高齢となり次第に少なくなっています。アンザック・デーも、いわゆる「正義の戦争」への参加者は胸を張ってパレードに参加してきましたが、ベトナム戦争参加者はなかなかパレードに参加できませんでした。米軍による侵略戦争というイメージがあるために、同じように戦争に参加して戦った兵士たちに違いがあり、差別が生まれてきました。
今日では、みな同じ立場でパレードに参加し、さらに兵士たちの孫やひ孫たちが参加するなど、アンザック・デーの雰囲気も変わりつつあります。「戦いで死傷した人たちの冥福を祈る日」なのか、「戦争なんか忘れるべきでこのような日はなくすべき」なのか、いまでも賛否があります。アンザック・デーをなくして、1月26日のオーストラリア・デーと一緒にすればいいという意見もあります。
2015年はガリポリ100周年の記念の年です。それまでにアンザック・デーも見直しがあるのかもしれません。
ワーキングホリデーという制度をご存知ですか?これは海外で働きながら生活を楽しむことができる、若者にとって魅力的な制度で…