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原発事故と炭素税

東京電力の福島原発事故により、世界中で原子力発電の是非が改めて問われています。オーストラリアには原子力発電所はありません。でも、世界最大のウラン埋蔵量を誇り、原子力発電の元になるウランを世界に輸出しています。

オーストラリアの電力は、その約80%が火力発電によるものです。石炭は輸出するほど豊富にありますから、当然ですね。各州に火力発電所があり、州内の電力をまかなっています。でも、クイーンズランド州の洪水やサイクロン被害で火力発電所が被災しましたから、これからのことを考えると原発同様、安全対策はもちろん安定供給にもしっかりとした対策が必要ですね。

ところでそれよりも問題は、オーストラリアでの圧倒的な石炭使用により、地球温暖化対策としての二酸化炭素の排出削減が大きな課題になっているということです。

福島原発の事故により世界中で代替エネルギー、自然エネルギーが注目され、地球温暖化対策としてもその必要性が高まっていますが、オーストラリアは資源大国として温暖化ガスの元となる石炭を輸出しているわけで、地球環境を考えると率先して対策を講じる必要があるようです。

オーストラリアは国民的に、自然環境の保護や環境問題への関心が高く、さまざまな活動を展開しています。いまの労働党政権も、京都議定書を批准し、排出量取引制度の導入を図り、2020年までに電力の20%を再生可能なエネルギーによるものとする目標を掲げています。

そこで「炭素税」です。

二酸化炭素の排出削減に向けて、たくさん排出する企業から排出量に応じて課金するというもので、連邦政府は2012年7月から炭素税の導入を検討しています。もちろん二酸化炭素の排出量が多い企業は、税金負担が重くのしかかり、「海外企業との競争力が低下する」として反対しています。

また、炭素税導入により、石炭業界では約1万人の雇用が失われると言われています。一般の生活には物価の上昇が予想されています。1トン当たりの炭素税が25ドルの場合、世帯当たりの光熱費と食費で年間約300ドルの値上げになるとされています。

政府は、年金受給者や低所得者には補償制度の導入により支援をするとしていますが、まだ、炭素税の1トン当たりの価格や詳細が不明ですので、企業、メーカー、業界団体、消費者団体、エコノミストなどからさまざまな意見が飛び交っているのが現状です。

オーストラリアでは温暖化ガス削減目標として、2020年までに2000年基準の最低5%削減、また各国が合意した場合は15%から最大で25%の削減を目標としています。

地球環境を考えた温暖化対策は世界各国が、いま、真っ先に取り組まなければならないものです。原発事故を契機として、代替エネルギーの開発と、現状の温暖化ガスの削減に進めばよいのですが、そのためには私たちの生活態度も改める必要があるようです。

例えば日本で節電が言われています。電力に占める原子力発電の割合は約30%ということですが、現在より30%少ない電力量は1990年代のものだそうです。ということは、1990年代の暮らしを思い出すと、30%節電したところで、なにも街自体がいつも薄暗い世の中になるわけではないということがわかります。

あたかもクーラーが止まり、自動販売機が止まり、夜のネオンが消えてしまうイメージを持ってしまい、そんなことになると大変だという意識が働いて大騒ぎしてしまいがちですが、具体的な数字を出されるとなぁんだということになります。資源のムダ使いはやめたいですし、節電意識を持つのも大事ですが、具体的な情報を確認して、身の回りのできることから進めたいですね。

もちろん便乗値上げや不安を煽るネガティブな情報はお断りです。

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