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長くオーストラリアに住んでいて、久しぶりに日本に行って奇異に感じることのひとつに、交通機関内の静けさと「親指族」の姿があります。
車内では、みな一心不乱に携帯片手に親指をせわしなく動かしてメールを打ったり、イヤホンを耳に画像に見入ったりしていて、シーンとしているんですね。
日本では当たり前の光景なんでしょうが、日本を訪れる外国人にとってはまさに異様な光景に映るようです。
まあ、車内が静かなのは良いのかもしれませんし、居眠りしたり、ゆっくり読書もできるというものですが、それにしても周りの乗客の存在などないかのごとく、老若男女ほとんどの方がじっと携帯を見つめて指を動かす様(さま)は、確かに変です。
ひるがえってオーストラリアでは、最近のスマートフォンの登場で、日本人のような振る舞いをする人もちらほら見えてきましたが、まだまだ携帯片手に大きな声で話す人がいるのが一般的です。
バスや電車に乗ると、携帯電話を使用している人に、必ず一人は出くわします。で、聴くとも知れず聞こえてくる会話に、ふんふん、そうなのか、えっ、そんなことが…などとついつい自分も会話の中に入っていっています。(それが楽しい時もありますが…)
もちろん最近ではオージーの中にも車内の携帯電話に眉をひそめる人も増えてきているようですが、それでもまさか日本のような現象にはならないでしょうね。
クイーンズランド州では、このほどオーストラリアで初めて、州鉄道の車内での騒音に対して乗客にマナーを求める呼びかけを始めました。
「車内で大きな声で会話をしたり、携帯電話を使ったり、大きな音でミュージックプレイヤーを聴いたりしないように」というポスターを掲示して、車内騒音を取り締まるそうです。
このアイデアを受けて、ニュー・サウス・ウェールズ州鉄道でも真剣に車内対策を検討しているようです。
クイーンズランド州鉄道では昨年の3カ月間の試験運用を経て、11月からすべての列車の先頭車両と最後尾の車両を「quiet zones」とする方針です。女性専用列車ならぬ騒音禁止車両ですね。今のところ違反者への罰則を導入する予定はなく、乗客個人個人のマナーに期待しています。
さて、マナーが浸透してオーストラリア版「親指族」が登場するのでしょうか? それとも相変わらず大きな声で携帯電話の会話が続くのでしょうか。ひとつ確実に言えるのは、イヤホンをして動画を楽しむ人が増えているということです。
でも、iPodでゲームをしながら叫んだりする輩が減るとは思えませんが。
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