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家の値段の上昇に給与アップが追いつかない

冬の寒さばかりではなく、炭素税の導入などで消費マインドが冷えきっているようなオーストラリアですが、豪ドル高もメリットとデメリットがあり、景気が良いのか悪いのかよく分からない経済状態ですね。そのうえ炭素税が導入されると物価も上がり、住宅ローンの返済も厳しくなると言われています。

特に住宅価格の高騰と、住宅不足が取り上げられていて、さらに海外投資家による住宅の買い占めなどもニュースになっています。どうもオーストラリアは不動産バブルのような気がするのですが。

オーストラリアの不動産価格は、2001年から2011年までの10年間で147%上昇して、41万7,000ドル(中央値)となっています。(NATSEM調べ)また、ほかの調査でも、オーストラリア全国の戸建ての価格は54万6,121ドル(中央値)、集合住宅のユニットは40万4,753ドル(同)となっています。(Australian Property Monitors調べ)

それにひきかえ国民の年収は、税引き後の所得が5万7,000ドル(中央値)と、たった50%の上昇です。家の価格上昇に給与の上昇が追いついていないわけで、これでは普通に働いていたのでは家が買えないことになります。

不動産の購入では、住宅価格が年収の何年分に当たるかという比率が購入可能性の目安になります。2001年と2011年を比較すると、4.7年から7.3年に延び、住宅の取得可能性が厳しいものになっています。十分な取得可能性は年収の5倍以内とされていますので、いまや不動産はかなり手の届かないものになりつつあります。

特にシドニーの住宅価格は51万ドル(中央値)で、これは年収の8.4倍となり、取得可能性はかなり厳しくなり、もはやシドニーで家を手に入れるのは至難とまで言われています。実は、都市別に見ると、この10年間の不動産価格の伸び率は、シドニーは83%とそれほどでもなく、パースが222%と最も高いのですが、もともとシドニーの不動産は1990年代後半の不動産バブルの影響でかなり高かったので、伸び率の低さにかかわらず依然としてシドニーがオーストラリアで最も不動産の取得が困難な都市となっています。

オーストラリア全国では、各州都で不動産取得が以前に比べて年々厳しくなっていて、特にシドニー、メルボルン、アデレードではかなり取得が難しく、厳しくなっています。わりと取得しやすいのはダーウィンとキャンベラのみです。シドニー、メルボルン、ブリスベン、パース、アデレードの主要州都では、2001年には約50%の地域で不動産の取得はそれほど困難ではなかったのですが、10年後の2011年ではたったの4%しかありません。

もちろんこのことは、逆にみれば、この10年間で持ち家の価値がかなり上昇したということです。すでに家を持っている人や、投資物件を持っている人には嬉しいニュースですが、これから家を買う人にとってはとても取得が難しいということで、この点でもオーストラリア社会の格差化が進んでいるということも出来ます。

シドニーでは賃貸物件の供給が不足していて、なかなか思うような部屋を借りることができないのが現状です。そのため、2ベッドルームのユニットに何人もがシェアをしているということが問題になってもいます。

特にシドニーは、ワーキングホリデーやバックパッカー、留学生や移住者が集中する人気の都市です。ますます住宅事情、不動産市場は需要に供給が追いつかないような状況の中、賃貸も含めた価格の高騰と取得の困難さが明らかとなってきました。

それでいて、いつか不動産バブルが終了するのではないかという不安感もあり、資源ブームだからといって安心できない日々に、私たちは暮らしているようです。

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