米国の債務不履行(デフォルト)が、与野党の交渉でなんとか回避されましたが、10年間で2兆ドルの財政赤字削減をしなければならず、依然として米国経済の先行きが不安定なのに変わりはありません。そのため格付け会社のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は、米国債を最高のAAA(トリプル・エー)からAA+に格下げしました。
格下げ発表を受けて、米国ニューヨーク市場で暴落が起こり、オーストラリアでもASX(オーストラリア証券取引所)が、リーマンショック以来の下げ幅を記録するなど、世界中の株式市場で暴落が起こりました。まだまだ先行き不安の世界経済で、なかには世界恐慌が起こるという人もいます。
原因は、リーマンショックの金融危機で各国が財政出動をしたのですが、3年経ってもそのつけが残っていて、なかなか経済成長がなされず、大きな借金が残っているということにあります。
そんななかオーストラリアはいち早く経済危機から立ち直ったと言われています。リーマンショックの際には各家庭に景気刺激策として現金を配り、大型財政出動を行いました。資源ブームもあり、とりあえず順調な経済なのかと思われます。
そんな経済と豪ドル高を反映してか、このところオージーの海外旅行が増えています。
先頃発表された2010/11年度のオーストラリア人の海外旅行者数では、前年度比10%の増加を示しています。特にインドネシアには15万3,000人の、米国へは11万6.000人の増加となっています。また、6月だけでも出国者数は65万6.700人と、前年の59万5.700人、前々年の50万8.200人を大きく超えています。
オーストラリア人の渡航先ベスト20の各国は、地震のあった日本とニュージーランドを除き、軒並み旅行者数が増加しています。
海外に出かける余裕があるということですが、そのかわり国内旅行が影響を受けることとなり、経済的には問題です。代わりに海外からオーストラリアにたくさん観光客が来てくれればよいのですが、2010/11年度は前年度より3.8%増加と、一応少しですが増えています。
特にアジアからの旅行者が増えています。中国人観光客は前年度比27%、10万6,000人増加しています。マレーシアは13%、インドネシアは12%、インドが11%と、増えています。米国や欧州の経済状況を反映し、米国は5%減、英国は3%減、アイルランドは10%減と減少し、世界的に元気なアジア圏からの旅行者が増えているのが明らかになりました。今後もしばらくアジアからの旅行者増は続くと思われます。
米国、欧州、日本と経済危機が続く世界経済ですが、グローバル化のなか、オーストラリアにもそのうち危機が押し寄せてくるのか、それともなんとかうまく乗り切ることができるのか。経済アナリストの予想では、来年はオーストラリアにも景気後退がやってくるとされています。
そんなことを知ってか知らずか、オージーは今日も暢気に海外へホリデーにでかけます。まあ、豪ドル高の今のうちに、世界に出かけてしっかりショッピングしてくるのも良いかもしれません。
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