オーストラリアに来た時、大通りから小さな路地まで、すべての道路に名前がついているのが驚きでした。確かに○○通りの何番地と言えば、すぐ分かるわけですから非常に合理的です。それに道路の片側の番地は偶数で、反対側の番地は奇数で統一されていて分かりやすく、探している番地の数字が偶数なら、通りのどちらか片方だけ順に探していけばよいわけです。
今では当たり前の習慣になっていますが、オーストラリアのこの住所表示システムには、結構、感心した覚えがあります。
ただ、通りの名前だけでは探すことができず、必ず正しいサバーブ名を知っておく必要があります。例えばシドニー市内のオクスフォード・ストリートは、ハイドパークの南端からはじまり、ダーリングハースト、サリーヒルズ、パディングトン、センテニアルパーク、ボンダイジャンクションまで、何キロにもわたっています。「オクスフォード・ストリートの○番地」と聞いただけでは、目指す場所にはたどり着けません。必ずその後に続くサバーブの名前を知らないとどこなのか分からなくなります。
ところで、Road、Street、Avenue、Esplanadeなど、同じ通りの表示でもいくつかの呼称があります。全部で52もの呼び方があるそうです。そしてそのひとつひとつにきちんとした規則があり、勝手にRoadにしたり、Streetを付けたりはできないことになっています。
例えば「Avenue」は、広い通りで、通常、道路の両側に樹々が植えられています。いわば並木道です。「Boulevard」は、広い並木道、大通りのことで、樹々や芝がきれいに配置されています。「Esplanade」は、海岸沿いや湖、河などに沿ってある道です。「Promenade」は遊歩道のことで、さまざまな設備が据えられています。
また通りの番号も付ける基準が定められていて、水の流れに従います。川上や上流に向かって番号が大きくなっていきます。シドニーの場合シドニー湾が中心になり、近づくに従って番号が若くなっていきます。
さて、シドニーの街歩きに欠かせないのがストリート・ディレクトリーです。いわゆる道路地図ですが、一家に一冊、車に一冊の必需品です。これがないと友だちから自宅のパーティーに誘われてもたどり着くことができません。シドニーでは「グレゴリー」(Gregory)の地図帳がどこの家にも置いてありました。メルボルンでは「メルウェイ」(Melway)ですね。
このグレゴリーですが、今から75年前、シドニー西部の町、バサーストのジャーナリストがシドニーに出て来て歩き回るのに不便だったことから生まれました。もちろん発行されると、非常に便利だということで飛ぶように売れました。
現在は、Universal Publishers社が発行していますが、もうひとつのストリート・ディレクトリー「UBD」も発行しています。ふたつの道路地図は、地図のレイアウト、道路のデザインが異なり、利用者はそれぞれ好みの方を手にしています。
このグレゴリーがついになくなってしまいます。一応、姉妹誌のUBDに一緒になるのですが、近年のデジタルマップの登場により、印刷物としてのハードコピーが消滅するわけです。GPS搭載機器の普及で、いまでは車のナビや携帯電話やコンピュータで、一瞬にして位置情報から行き先までの距離や時間、さらに交通機関の情報まで得ることができます。
もはや地図帳をめくる必要がなくなっているわけです。グレゴリーも、一時期年間15万部の販売部数がありましたが、最近は5万部にまで落ちていました。
またひとつ、便利なIT機器に追われるようにして、レトロなアナログが姿を消していくのでしょうか。
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