オーストラリア永住権の条件&ビザの種類に関する最新情報を紹介
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9月11日で、9.11から10年、3.11から半年という節目を迎えました。このふたつの事件に関連はないのですが、それでも何の関係もないと言い切れないような、何か歴史の符号を重ねあわせてしまう気持ちがあるのも事実です。
べつにそれは、9.11と3.11との語呂合わせではなく、人間が築き上げてきた文明の有様が、そして人間の自然に対する姿勢が問われる大きな事件だったということです。
9.11では約3000人が犠牲となりましたが、テロリストへの報復としてはじまった米国のアフガン侵攻、そしてイラク侵攻での米国軍の死者は約6000人に及びました。もちろん一般市民の犠牲者はその何十倍です。
当初、イラクには大量破壊兵器があるとされて、対イラク戦争の大義名分となったのですが、結局そんなものは存在しないことが明らかとなりました。10年を経て残ったものは一体なんだったのでしょう。
テロリストへの毅然とした態度はもちろんですが、イスラム社会への憎悪や敵視、差別と、数多くの犠牲者(そこには精神を病んだり失業している米軍の帰還兵も含まれます)、そして大国としての米国の威信の低下が残ったのも事実です。
米国の新聞が、「結局勝ったのはオサマ・ビンラディンだ」と書かざるを得ないほど、この10年間に米国の経済や威信が低下してしまいました。文明の発展の象徴としての高度資本主義国の米国が、そのグローバリズムに異議を唱えられて、テロリストの標的になったわけですが、その後の対応で、結局、世界中にテロを生じさせてしまったようです。
もはや、世界を主導してきた米国の姿は薄れ、代わって中国が台頭しているのがいまの世界の現実です。
一方、3.11からは半年が過ぎましたが、いったい何が問われ、何が残ったのでしょうか。
死者・行方不明者は約2万人、避難民は8万人、そして、もろくも崩れ去ったのが原発の安全神話でした。もちろん政府への信頼も崩れ、機能しない政権、政治家への不信感が残りました。
よくいわれるように、自然に対する畏敬の念を私たちが忘れてしまった結果、このような大惨事につながったというのですが、営々として築いてきた私たちの社会が、あっけなく津波に流されていく様は実に悔しく、つらく、情けないものでした。
日本を愛し、日本に帰化した米国人のドナルド・キーン氏が、「便利さを追求するのは危険だ」と話していましたが、確かにそうなのかもしれません。便利や発展を求めるあまり、自然との調和を忘れた結果が、津波であり、原発事故であるのかもしれません。
10年後に3.11を振り返って、私たちはいったい何を思い返し、何を築いているのでしょうか。
就任早々、大臣が原発事故の町を「死の町」だとか、「放射能をうつしてやる」との問題発言をして辞任するいまの政治の実態は、10年後の日本の現状をものすごく不安にさせてくれます。菅前首相も、辞めたあとのインタビューに答えて、「原発事故は人災だ」と話していましたが、あの当時、想定外の事態で天災だとしていた政府の答弁はいったいなんだったのでしょうか。
なんだかイラクの大量破壊兵器のように、10年後、実はあのときこうだった、などと真実が明らかにされるのはもうこりごりです。
これから原発のことが大きな問題になることでしょうが、政府任せ、電力会社任せにできないことがはっきりとしてきたわけですから、私たちが一人一人、この問題を考えて将来の進むべき道を示さないといけないのかなと思います。大変だし、面倒だし、できればそんなこと考えずに生きていきたいのですが…。
今月25日、シドニーで原子力に関するセミナーが開かれます。考えるひとつのきっかけになればと思います。詳細は こちら
(水越)
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