未分類

この怒りをどこにぶつければいいの?

いつもは歩いて家まで帰るのですが、先日、雨が降っていたので、タクシーに乗ろうとタクシー乗り場へ。何台かタクシーが客待ちをしていたので、先頭の車にいって窓越しに「……まで行ってくれる?」と話しかけると、「予約の客を待っているんだ」との返事が。しようがなく後ろの車に乗り込むと、「なんで前の車に乗らないんだ」と言われてしまいました。

「だって、予約の客を待っているんだって」

「そんなことない、予約の場合は車上のランプは点灯させないんだ」

「そうか、家が近すぎて、お金にならないから行きたくないんだね」

「どんなところでもいったん客を乗せたら行かなければならないんだ」

そんな会話をしながら車はスタートしました。するとこの運転手、前のタクシーに追いついて、窓越しに怒鳴りはじめます。

「なんで客を乗せないんだ!」

「予約客を待っていたんだ」

「嘘いうな!許さないぞ」

あっけにとられながら見ていると、ついにこの運転手、走りながら前の車の会社に連絡して、報告をはじめました。

「お前のところの……番のタクシーが乗車拒否をしたぞ」

「なに?お前のところのカスタマーサービスに報告しているんだ」

「カスタマーサービスがない?」「どういうことだ」

「運輸局のオンブズマンに連絡しろだと!」

「そうか、Taxis Combinedにはカスタマーサービスがないんだな?」

「お前の名前を教えろ」

「ベン?  いいかベン、俺は明日そっちに行くからな。覚えておけ」

…と、こんな会話をしていました。

私の乗車拒否に対して怒って、タクシー会社に文句を言ってくれたわけですが、私が前の車に乗っていれば、短い距離の仕事をすることもなく、もしかすると次の客が遠距離だったかもしれませんから、必死になってくれたのでしょう。

そういえばタクシーは基本的に乗車拒否はできないことになっています。ひどい泥酔状態や暴れているような人を拒否することはできますが、いったん乗った客に、近いからといって文句を言うことはできません。

私を乗せた運転手は「今度からは窓越しに行き先を告げずに、とにかく乗り込むんだ。それから行き先を告げればいい」とアドバイスしてくれました。私は「ありがとう」と言いながら、もちろんチップをはずみました。

調べてみると、Taxis Combinedには、もちろんカスタマーサービスがあります。(02) 9020-2727、feedback@ccnetwork.com.au。どうしてすぐ分かる嘘をつくのでしょうね。もう絶対に、Taxis Combinedになんか乗ってやるものかと思いながら、せっせと歩いております。

「オーストラリアにはカスタマーサービスの概念がない」とは、よく言われることです。それほどお客に対しての態度が悪いというのです。まあ、あまりに過剰なサービスを受けてきた日本人には特にそう感じる方が多いようですが。

よく引き合いに出されるのが電話通信事業者のカスタマーサービスです。引っ越して電話回線を移動する際など、何日もつながらなかったり、予定通り工事に来なかったり、あげくの果ては間違えて配線したりと、とにかくそんなエピソードがいっぱいです。

vodafail」というサイトがあります。ボダフォーンのカスタマーが、あまりのサービスの悪さに頭に来て立ち上げたサイトで、またたく間に多くの方から「自分の場合はこうだった」などと、数多くの苦情の実例が寄せられました。

カスタマーサービスに電話をすると、「Your call is important to us」などとテープが流れて、延々と待たされた経験を皆さんもお持ちだと思います。このサイトによると、なんと!257分間も待たされた例が報告されています。最長記録でしょうか。4時間以上も気長に待つ人も待つ人ですが、それにしてもあり得ることだと多くの人が感じるほどに、こういうことは日常茶飯事ですよね。

一時期、経費削減から、人件費の安いインドにコールセンターを移す会社が続出しましたが、あまりのインドなまりの発音に苦情が殺到して、いまでは数えるほどになりました。

お客へのサービスを充実すると、結果的にビジネスも大きくなるという考え方がなかなか浸透せずに、目先の利益追求に走りがちなオーストラリアの企業体質に、果たして変化が来るのでしょうか。それとも、vodafailのようなサイトが今後も増えてくるのでしょうか。

(水越)

この記事をシェアする

この投稿者の記事一覧

その他の記事はこちら