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決着ついても、しこりの残る労働党?

労働党の党首選が27日に行なわれて、ジュリア・ギラード首相が71票、前首相のケビン・ラッド氏が31票と、ギラード首相の圧勝という形で決着がつきましたが、ラッド氏に約3分の1の支持が集まったことを重く見る見方もあり、今後も党内の批判勢力からギラード首相に対して注文が付けられるとの予測が出ています。

2010年6月の党内クーデターでラッド首相(労働党党首)を引きずりおろして、オーストラリア史上初の女性首相として華々しく登場したギラード首相でしたが、直後の8月の総選挙では過半数をとれず、70年ぶりの“ハング・パーラメント”(宙ぶらりんの議会)となってしまい、綱渡りの政権運営が続いていました。

ギラード政権は、グリーンズ(緑の党)や無所属議員の協力を得てなんとか政権運営を行なっていますが、今回の内紛劇で、労働党の信頼が回復するのかどうか懸念されています。

世論調査では、圧倒的にラッドの人気が高く、ギラード氏に大差を付けています。また、今回の内紛にはギラード氏の責任が大きいという声も高くあり、今後の政権運営と、来年、2013年の総選挙の行方が危ぶまれているわけです。

党首選直後に、ギラード首相を支持していたアービブ上院議員が政界引退を発表しました。この人は、2010年6月の党内クーデターを画策した一人と言われている議員です。今回も裏でいろいろと画策していたと見られています。いわば今回の内紛の責任を取り、辞職することで労働党内をひとつにまとめようという思惑かと思われます。

それにしても、党首争いに一応決着がついて、ラッド氏も後ろに退いて、今後は協力する姿勢を見せてはいますが、はたして労働党がひつとにまとまって総選挙に向かって前進できるかどうかは、かなり疑わしいという見方が広まっています。

今回の騒ぎを受けてギラード首相が、大幅な内閣改造に踏み出すのか、それともラッド氏やアービブ氏の辞任による、数人の後任選びのみでよしとするのかで、今後の党内運営にも大きく左右しそうです。

いつの時代でも政治の世界における権力闘争は尽きることがありません。幸い、経済運営が欧米や日本よりうまくいっていますので、国民からの大きな政府批判は起きていませんが、どこかの国のようにあまり政局にばかり一生懸命だと国民に背を向けられます。今回の内紛を最後に、与党労働党には一致団結した姿を見せてもらいたいものですね。

(水越)

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