今週の主な予定、イベント
8/6(月)豪州バンク・ホリデー、豪7月TD Securities インフレ率、8月ANZ求人広告
7(火)RBA理事会(金利据え置き予想)、英6月鉱工業生産、バーナンキFRB議長教員向けビデオ講演
8(水)RBA四半期インフレ報告、豪7月住宅建設許可件数、豪6月住宅融資件数、日銀政策会合
9(木)NZQ2失業率、豪7月雇用統計、中国7月指標(CPI、PPI、鉱工業生産、小売売上高)、日銀政策会合、ECB月報、米新規失業保険
10(金)英7月PPI、RBA四半期金融政策報告書、カナダ7月雇用統計
マーケットの焦点
キーワード―米高欧低(欧州不安は本当に後退したか?)、中国諸指標、日銀金融政策決定会合と夏場の円高
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さて、2週間ぶりとなりますが、その間も欧州―米国―中国の三極を中心に金融市場のups & downsが続きました。
欧州問題では先々週ノボトニーECB理事の”ESM(欧州安定化メカニズム)への銀行免許付与検討”発言やドラギECB総裁の「ユーロ安定化のためにはあらゆる手段を行使する」との力強い発言で欧州不安が軽減しました。先週のECB理事会で市場期待が高かった追加金融緩和がなかったことから一時失望感が強まりましたが、金曜日に発表された米国7月の雇用統計(非農業部門就業者数)が予想を大きく上回る強い数字となったことから、市場センチメントは改善し、株式・商品相場共に上昇して終わっています。
先週は一旦危険水域に達していたスペインやイタリアの国債利回りも低下し、欧州危機は後退した感がありますが、ただESMの権限強化や債務の共有化には依然として独をはじめ反対意見も多く、ECBのドラギ総裁も「ECBは政府の代わりはできない」と政治主導による危機解決を訴えています。
独におけるESMの合憲性判断の結果が9/12に出ますし、またそれに先立ち9/3にはユーロ圏財務相会合でギリシャやスペイン問題が討議ざれますが、金融当局(ECB)と政策当局(EU当局・各国政府)間の意見の調整は簡単ではないでしょう。欧州問題はまだ紆余曲折が予想されます。
先週金曜日に発表された米国の7月雇用統計では失業率が前月の8.2%から8.3%に悪化する一方、非農業部門就業者数(NFPR)は+163千人(予想+100千人、前回+64千人)と大幅に増加し、”そろそろ米景気も回復の兆しか?”との期待感が強まっています。
欧州は来年にかけてリセッション脱却が依然困難な状況ですが、市場は米国や中国などのビッグエコノミーの回復に期待している訳です。
米国のNFPRが10万人に超える増加を毎月維持すれば失業率自体が改善するとの分析がありますが、今後+10万人以上を維持できるか?がポイントとなります。この水準を維持できるのであれば、市場の焦点であるQE3(量的緩和弾三弾)の実施が遠のくことになります。
また今年になってから金融緩和や景気刺激策(2兆元規模のインフラ投資)で景気回復を図る中国ですが、今週は7月の諸指標(CPI、PPI、鉱工業生産、小売売上高)が発表になり注目されます。
先週発表された7月の製造業PMIは50.1と3カ月連続の低下で8カ月ぶりの低水準となりましたが、今週の諸指標が相変わらず不冴えである場合には、預金準備率の50bp程度の引き下げ観測が高まることになります。
ドル円は先週金曜日の非常に強い米雇用統計にもかかわらず、上値は78円台後半どまりでした。
8月は米国債利払いの円転需要などもあり、毎年需給面で円買いが増加するようです。今週の日銀金融政策決定会合で追加緩和(基金増額など)がなく、また欧州不安がぶり返してドル円が76-77円水準に下落した場合には、政府・日銀による円売り介入の可能性が強まるでしょう。
IMFは先頃の日本経済評価で「円の為替レートは中期的観点から幾分過大評価」と述べており、ある程度日本の介入に理解を示すものと考えられます。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 1.0436-1.0580 AUDYEN81.58-83.09
今週の予想レンジ AUDUSD 1.0350-1.0650 AUDYEN 81.00-84.00
今週の豪ドルは依然ユーロに連動でしょうが、買われ過ぎの調整が入る可能性には要注意
ここにきて豪ドルの堅調が目立ちます。
7/12の非常に弱かった6月の雇用統計で下値を確認し、その後は上昇地合いになっています。
確かに6月雇用は弱かったですが、その後発表された6月の貿易収支や小売売上高(前月比+1.0%!)が予想を上回ったことも要因ですが、やはり欧州懸念が表面的とはいえ後退しているのが大きい理由のようです。
ただ最近当地の新聞でも”豪ドルの過大評価”についての記事が目立ちます。特に Adrian PaganやWarwick McKibbinなどRBAの元理事は豪ドルがファンダメンタルズを超えて上昇していると警鐘を発しています。つまり豪ドル高が豪州の国際競争力を低下させ、製造業者の逆風となっているとの議論です。
他のアナリストたちの意見を集約すると「今後交易条件=term of tradeが改善すれば必ずしも豪ドルovervalueとは言えないが、逆に交易条件が更に悪化すれば豪ドル過大評価の弊害が出る」との意見です。
とは言っても、やはり景気格差、金利格差からの豪ドルフェーバーな状況に大きな変化はないでしょう。
ともすれば資金が流入しやすい豪ドルですが、それは即ち豪ドル買いポジションが蓄積しやすいわけで、今後欧州不安が再燃すれば係るホットマネーが流出する可能性は忘れてはならないと思います。
7月からは炭素税(carbon tax)が導入されていますが、はたして人員削減の合理化が行われたか?今週発表される7月雇用統計が注目されます。
それではHave a nice week in advance!!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当)
http://www.central-tanshifx.com/
☆外為どっどコム社の動画担当(毎週金曜日)
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