ヤンキーになりたくてPart2
“ひぃーっ・・・・!! こ、これって、ヤンキー使用じゃ・・・。”
口をあんぐりあけて呆然とした私は、恐る恐る指示器を試してみると、これでもかと言わんばかりの速さで、
”カチカチカチーッ!!“と七色に光ったのである。
“ひょぇーーっ!な、なんで僕らのだけ改造車なんーーっ?”
この時点で私は某大映ドラマのテーマソングが頭に鳴り響き、
ギリシャのこのリゾートアイランドで、学生時代に憧れたヤンキーになる夢を叶いそうだと確信したのである。
早速私はスポンジむき出しのシートに座り、C男を後ろに乗せ、“バリバリバリィーーン!“
とエンジンを吹かせ、とろとろと走り出した。
私とC男を合わせた重量は、さすがに重すぎたらしく、自転車並みのスピードでトロトロ断崖絶壁を駆け抜け、
せっかくなのでガニマタにしてみたら、もう気分は80年代のヤンキーである。
コンビニで買ったお水をナイロン袋に入れ、手首にかけた私は、まるでシンナーを持つ少年だ。
ムラサキのビームライトと七色に光る指示器をカチカチ言わせ、“いぇーーっ!”と叫んでみた。
なつかしの横浜銀蝿を真似てみた。“
もう君はすっかり憧れのヤンキーじゃないかぁ。アハハハ。“ ヤマハの爆音がそういっているようにさえ思えた。
こうして私のヤンキー願望は異国の地で達成されたのだ!
そんなセンチメンタルな私をよそに、後ろでC男がボソッと言った。
“ちょっとぉ、何言ってんの??ヤッホーって、あんた・・・。”
ふと我に返った私は、つっぱりでもヤンキーでもない。
うぅーうぅー唸る原付に乗っかり、ホテルの戻り方がわからなくなった東洋の中年男性だ。
こうしてC男と私は路頭に迷い、2時間かけてホテルに到着した頃には、
腹が減ったのでまた来た道を戻ることになったのだった。
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