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シドニー発豪ドル見通し(2012年12月31日)

 

”シドニー発豪ドル見通し”(毎週月曜アップデート)

(米ドル円日足)

(ドル米ドル日足)

(豪ドル円日足)

Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在Junax Capital,AT FUND,Sydneyでファンドマネージャーを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。

豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。

趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ

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2013年豪ドル見通し

 

 

<昨年末時点の本年見通し検証>

今年の予想レンジ   : AUDUSD 0.90-1.10       AUDYEN  70.00-90.00

今年ここまでの実際のレンジ: AUDUSD 0.9581-1.0856  AUDYEN   74.48 -89.02

今年のメインシナリオ  : 年初は欧州不安残り軟調だが、年後半に向けて徐々に堅調地合いになる。

 

結果を検証すると予想レンジには収まっているが、予想レンジがややワイド過ぎたか。来年はもっと動くだろう。

また欧州不安軽減は予想通りであったが、米国の財政の崖の存在を軽視していた感は否めない。

 

<2012年の豪ドル相場レビュー>

今年の豪ドルは年央まで下げて年末に向けて上げる展開となった。

最大のリスク要因であった欧州不安が年央にかけて増大し、ユーロや豪ドルなどのリスク通貨、株などリスクアセットを押し下げユーロは7月に1.20台半ば、94円台前半の年間安値を付け、豪ドルも6月には0.95台後半、74円台半ばの年間安値を付けた。

し かし年後半に向けては7月のドラギECB総裁の「ユーロのためにあらゆる行動を取る用意」発言に鼓舞され、ギリシャの第二次支援合意やECBにユーロ圏の 銀行監督権を認めたこと、更にはEUサミットで欧州銀行同盟の設立が確認されたことなどから年末に向けて欧州不安は大きく後退した。

米財政の崖問題に目立った進展はないが、大きくリスク許容度を減少させるには至っていない。

ユーロが欧州懸念の軽減から大きく反発したのに対して豪ドルは、各国中銀や投資家需要が下値を支えたものの、今年4度にわたるRBA利下げや更なる利下げ観測、不冴えな国内景況を反映して特に対米ドルでの上値は1.05台と限定的であった。

ユー ロ/ドルは1.33の年間高値圏にまたユーロ/円は2011年8月以来の113円台まで値を戻した。豪ドル/円は年末に顕著となった円安地合いを受けて 89円近辺の年間高値圏まで上昇したが、豪ドル/米ドルは1.05台から1.03台に反落して頭が重く、ユーロ/豪ドルは8月の年間安値1.16近辺から 1.27台後半と5月の年間高値1.30に迫る勢いとなった。

 

 

 

<2013年の豪ドル見通し>

リーマンショック以降金融不安どこ吹く風で独り勝ち状態の豪州経済であったが、さすがに長引く欧州不安とその影響を受けた最大の貿易相手国中国経済のスローダウンなどから資源価格下落などの逆風強く、来年は他の主要国との経済格差、金利格差が縮小する可能性が高い。

第一点目のポイントはリスク許容度の問題。

リスク通貨としてユーロやポンドなどと同列にひとくくりされがちは豪ドルであるが、豪ドルは他にも資源通貨、高金利通貨、避難通貨など他通貨にはない多様な顔を有し、投資家需要と深く結びついた通貨である。

したがって世界経済が順調に拡大し余剰資金が豊富になれば高金利・資源通貨豪ドルに資金が流入するが、一旦金融恐慌や欧州危機などのデザスターが起こると、流入したホットマネーが急激に流出するために暴落を演じることになる。

私はこれを”コツコツ、ドスンの法則”と呼んでいるが、この特色は来年も変わらないだろう。

豪ドル相場に影響を与える諸要因に付いては後に個別に簡単に触れてみたいが、まずは”コツコツドスン”の法則を頭の片隅に置きたい。

来年の世界経済見通しは今年から若干持ち直すようであり、欧州危機が峠を過ぎたとすれば市場のリスク許容度は今年を上回って増加する可能性があり、基本的には豪ドル相場をサポートするだろう。

しかし欧州債務問題や米国の財政赤字問題は一朝一夕に解決する問題ではなく、”再び風邪がぶり返す可能性”も忘れてはならなし、新しいリスク要因が降って湧いてくる可能性も否定できない。

第二点目のポイントは、来年は豪州の一人勝ち状態が終わり、その他国との景気格差・金利格差が縮小する可能性が高いということ。

中国が従来の二桁成長から安定成長路線となれば爆発的な資源重要は起こらないだろうし、また欧米経済が回復し始めても資源需要が戻るまでにはタイムラグがあるだろう。

こ れを見越してかRBAや政府は資源ブームのピークアウト到来の時期を従来の2013-2014年から前倒し、代替となる非資源産業支援を打ち出しているが (金融緩和継続もその一環)、この外需依存から内需主導へのシフトは容易ではなく豪州経済に過渡期のエアポケット状態が発生する危険性があろう。RBAも 来年度の豪州の成長率を今年の予想値3.5%から2.75%に引き下げている。

第三点目のポイントは米ドル動向

”豪ドルは米ドルの受け皿”と称せられるように豪ドルの価値も米ドルの強弱に大きく影響される。

リー マンショック後2008年末に米国はゼロ金利政策に移行したが、歴史的に見てもゼロ金の米ドルはむしろインデックスベースで下げ止まっており(2011年 5月でボトムアウト)、今後ゼロ金利政策解除となれば米ドルは主要通貨に対して相対的に強含むだろう。したがって米ドルの受け皿である豪ドルは対米ドルで は頭の重い展開となるだろう。

以上から世界全体としては来年は今年より明るいシナリオが描けるが、豪州は逆に曇りがちの景況が続く可能性がある。

ただ最近の特徴として豪ドル金利の低下と豪ドル相場のディカップリング(分離)”が挙げられ、相対的高金利以外にもトリプルA格付けの豪州債に対する世界の中銀や個人投資家の資産選好は依然として旺盛である。

特に中銀マネーは目先にとらわれず中長期的に豪州に流入する資金であり、豪ドル相場を今後ともサポートするだろう。

 

 

<2013年豪ドル相場メインシナリオ>

予想レンジAUDUSD 0.90-1.10  AUDYEN 80-100

豪ドルは1.00パリティー中心の中段保合を予想する。一方、ドル円相場の上昇余地が大きいと予想されるため、豪ドル円はリーマンショック以来となる100円をトライする局面を予想する。

市場のリスク許容度増加が豪ドルをサポートする一方、資源ブームの後退や国内景気の減速からRBAの金融引き締め転換が遅れ豪ドルの金利マージンが縮小する。

<サブシナリオ>

予想レンジ AUDUSD 0.40-0.80  AUDYEN 40.00-70.00

豪ドル暴落シナリオ(デザスターシナリオ)

欧州危機再燃(ギリシャ離脱、第二・第三のギリシャ出現)、米国の財政赤字が維持不能となる、地政学的懸念(中国の一党独裁崩壊、領土問題悪化など含む)などにより、再びリスク回避の嵐が吹き荒れるシナリオ。

<いくつかのキーファクター>

1)米ドル動向―来年は米ドル堅調と考える。その場合は豪ドル売り圧力に。

・米ドルインデックスは2008年8月の70.69、2009年11月の74.22、2011年5月の72.69

でトリプルボトムと考える。

・米大統領選挙の当年と翌年は米ドル堅調(アノマリー―経験的規則性)。

・ゼロ金利解除となれば米ドル金利とドル相場の相関からドル上昇。

・シェールガスの実用化で貿易赤字減少、景気回復による税収増から財政赤字も縮小の可能性。

2)世界経済見通し

IMFは今年の世界経済見通しを+3.3%、来年を+3.6%と予測し、OECDは今年+2.9%、来年+3.4%と予測するなど来年の世界経済の拡大は今年を上回る予想で、世界景気の拡大は豪ドルサポート要因。

た だ中国経済に付いては社会科学院が2013年8.2%の中国経済成長が可能と伝えたが、一方11月の中国共産党大会で明かされた2020年GDPを 2010年の2倍にするという政策は、残りの期間の毎年の成長率の平均が7%の伸び率であり、今後大きな伸びが期待できない。

3)RBAの金融政策

RBA はリーマンショック後”金利正常化”と称して2010年11月まで7回利上げをしてキャッシュレートをリーマンショック後の3.0%から4.75%とし、 2011年11月に始まる今回の金融緩和サイクルでは今月まで5回下げて4.75%を3.00%に戻した。交易条件の悪化、2 speed economy、住宅産業/個人消費の不冴えなどの諸問題を抱えながら外需から内需への移行を図る訳で、引き続き利下げ継続の可能性が高い。また政府は 2012/13年の財政赤字黒字転換は断念したが、大型の財政支出は見込めず、その分も金融緩和継続の必要性が高まる。主要国との金利格差の縮小は豪ドル 押し下げ要因。

ただ私見では市場にあるような”更に1%の下げ観測”には同意できず、金融緩和サイクルの終焉に近いファインチューニングに留まるとの見方。

また金利の低下と豪ドル相場のディカップリングにも注目したい。

4)資源価格動向

RBA は資源ブームのピークアウトの時期を従来の2013-2014年から来年の後半に前倒ししたが、今年の金融緩和の大きな理由の一つが交易条件が昨年後半の ピークから約1年で15%下落していること及び商品相場の下落に豪ドル相場が同調していない点で、資源価格の下落は豪ドル相場にとり押し下げ要因。

た だ商品インデックス(CRB INDEX)はリーマンショック以降トリプルボトムを付けて現在反発地合いにあるし、欧州不安後退→中国経済の回復となれば、資源相場に大きな崩れはない のかもしれない。何と言っても世界の人口は向こう100年で現在の60億人が100億人に達すると予測される訳で、有限資源保有国の強みは変わらない。

5)投資家需要

アジア、欧州、中南米中銀の外貨準備分散投資需要による豪ドル債人気は依然高く、トリプルA格の国が12カ国に減少している現状、豪州債の希少価値が高まる。また震災後の本邦個人投資家層は金利の高低に関わらず純粋に資産逃避先として豪州を選別しているように思われる。

係る投資家需要が豪ドル下降局面では顕現化するだろう。

 

A  Happy New Year to You All!!!!

Joe Tsuda

Junax Capital, Sydney

Joe Tsuda

 

☆豪ドルトレーディングにはFXマガジン「Joeの豪ドル道場」をお勧めします。

http://www.fxmagazine.jp/magazine_direct.php?uid=3Gl8j

サンプル例を添付させて頂きます。

「11 July_2012.pdf」をダウンロード

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当)

http://www.central-tanshifx.com/

☆外為どっどコム社の動画担当(毎週金曜日)

http://www.gaitame.com/gaitame/

 

ご注意!

本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、

それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

 

 

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東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
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