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医療/保険

あなたのアゴは大丈夫!? “コキッ”と音がする人は必見です。

1週間前にバナナブレッドを食べた時、アゴの右側からものすごい音とともに猛烈な痛みがはしった営業スタッフS。

食事に支障がでるほどの状況だったので、病院に行きたいが、どこに行けばいいのか分からず悩んでいたところに、同僚からのアドバイスが!

「フィジオセラピーに行ったらいいんじゃない!?」

 

フィジオセラピー?アゴに? 

半信半疑のまま半ば強引に連れていかれるSの運命はいかに!!

今回お伺いしたのは、以前にも取材させていただいたことのあるメトロ・フィジオセラピー。

奥谷匡弘先生にお世話になります。

 

メトロ・フィジオセラピーにて

先生:まずは症状をお聞かせください。

スタッフS:1週間前の朝食の時に、アゴからものすごい音がして、激痛がはしりました。それ以来、ご飯を食べるのも苦痛で、口をなるべく開けないようにしています。歯を磨くのもつらいです。

先生:昔からそのような症状はありました?

スタッフS:ないです。でもアゴがパキっとかコキっとか鳴るようなことはありました。2~3年くらい前からでしょうか。結構クセみたいになっています。

先生:コキッと音が鳴る人は多いですね。その音が鳴っている時に軟骨がすり減ります。軟骨がすり減ると摩擦をおこし、さらに軟骨がすり減る。できるだけ音を鳴らさないようにすることが大切ですね。

先生:スポーツはされますか?

スタッフS:しません。

先生:歯の矯正、親知らずを抜いた経験は?

スタッフS:あります!! オーストラリアに来る前に。2年くらい前でしょうか。

先生:その時にかなり大きく口を開けましたか?

スタッフS:そうですね。親知らずですから、頑張って大きく開けていたのを覚えてます。痛かった。。。

先生:年数から考えるとコキコキって鳴りだしたタイミングと一緒ですね。

スタッフS:あ!

 

先生:あまり知られていませんが、歯医者での治療の後、問題が起こることは多いのです。治療の際に、通常のアゴの可動域を超えて開かれるので、靭帯(じんたい)を損傷する可能性があるのです。

スタッフS:あ~。なるほど。そう言われてみれば。アゴの骨の問題かと思っていました。

先生:骨ではなく、軟組織、靭帯(じんたい)ですね。

何らかの原因で固まってしまった靭帯(じんたい)が、何かのタイミングで急にひっぱられたりすると、損傷してしまいます。

顎関節(がくかんせつ)は耳の穴のすぐ前にあります。その辺りには、ディスク(半月板)といってショックを吸収するものがあります。その周りに関節包、さらにその中に潤滑液が入っています。この周り関節のなかで炎症がおきると、スーッと炎症液が靭帯などを伝わって下りてきます。それが固まってしまう。そうすると靭帯(じんたい)が伸びなくなってしまい、動かした時に痛みがはしったりするのです。

 

 

一同、先生の説明に聞きいってしまいました…。

先生:クチをしっかり開けない現代生活は、関節が固くなりやすい環境ですね。ステーキを食べる時は大丈夫ですか? あくびの時は?

スタッフS:あくびするとコキってなります。だから今はあくびを噛み殺してます!痛いから…。

アゴの状態チェック

先生:わかりました。では実際に顎関節を見させて頂きます。まずは大きく口を開けてみてください。

あーーーーーーーん。

先生:か、硬いですねー!それでは測りますね。

そう言うと先生はキャリパーという道具を取り出し、顎の可動域を測っている様子。

先生:はい。28mmです。硬いです。通常は45~53mmですよ。

 

一同:えーーーーーー!

先生:今度は左右を測りますね。・・・5.9mmです。通常は10mmなんですけどね…

左も5.3mmです。通常の人の半分くらいの可動域しかありませんね。

普通の生活は問題ないかとは思いますが、大きなクチを開けるタイミングでバチンといく危険性があります。

スタッフS:えー。こわいぃ。

先生:今度は下の歯を出してください。

先生:下の歯を出してください。

先生:いいですよ、 出してください!?

 

スタッフS:ふぁしてるんへすけと!(出してるんですけど!)

 

先生もビックリするほど下の歯が出せないスッタフを見て一同爆笑W

先生:ほとんど下の歯が出せてませんね。これは、歯のすわっている位置がすでに後ろに引っ張られている証拠です。

これはちょっと普通ではないですよ。

 

この状態で歯医者にいくと、矯正を勧められるかもしれませんが、

実はその前にやるべきことがあります。

顎関節の中で後ろに引っ張る靭帯があるのですが、それが硬すぎると、いくら矯正してもダメ。意味がないのです。だから先にこうやって調べることが大切です。歯は一生ものですしね。

先生:顎がどうやって動いているかを客観的に見てみましょうか。YOUTUBEに良い映像があるのです。

 

iPhoneを取り出し、スタッフに映像を見せながら解説してくれる先生。

「この骨とこの骨が顎関節です。これが普通の状態。骨と骨が擦り合わないようにスムーズに動いていますね…次は正常でないケース。これはスムーズじゃないですよね。このカクっと骨が動く瞬間にパキっと音がなるのです。」

 

先生:実際にSさんの靭帯(じんたい)を診ていきますね。痛みが出るかなというところで手を上げて教えて下さい。我慢しなくてよいです。鏡をみて表情をチェックしていますので、リラックスしてください。

クチの中でいろいろな部分を押している様子。一同、何をやっているのか分からないが、すごく心配そうな顔のSをただただ見守ることに。Sがちょっと痛いと顔をしかめると「そうですよね。ココ痛いですよね」と痛みがでるところを把握している様子。不思議です。

 

先生:はい。お疲れ様です。右の顎関節がすごーく硬いですね。通常なら関節が少しくらい動くはずですが、右に動かそうとするとすぐ痛みが出てしまい動かすことができません。できるだけ関節を少しストレッチしてみましたので、もう一度可動域を測ってみましょう。

 

先生:42.1mmです!先ほどは? 28mmでしたよね?

1mmにつきクチが開く感覚は2%増えますから、

これはものすごい伸び率です。45~53mmが通常ですので、まだ固いと言えます。少し正常な状態に戻ったと言えますね〜。

 

スタッフS:おー! いったい今なにをされたんですか?

先生:関節包がどれだけ伸びるかをチェックしたのです。一種の関節ストレッチです。これはご自宅でできる自主トレのひとつなので、これを毎日続ければ顎の可動域はかなり改善されますよ。そもそも、関節はいろんな方向に立体的に動くものなのです。ところが、Sさんの関節は固まってしまっていて、小さな範囲でしか動けていない。それをストレッチで解消していきます。

先生:では、今度は、靭帯(じんたい)をチェックしますね。

 

 

関節のチェックの時よりは痛みがない様子。結構余裕で笑っていたら、、、

先生:これは硬すぎます。

周りの関節包自体が硬すぎて、まだその中の靭帯(じんたい)まで影響を出せないといった状態です。正常ではありません。。

「え==== T。T;」

先生:ある程度改善して、その時に同じ事してみると、痛みが出ると思います。そちらのほうが、より正常です。それから靭帯(じんたい)のストレッチがようやくできるという感じです。そうして徐々に治療していけば、コキッという音もなくなるでしょう。いったん治療が終了すれば、ストレッチをする必要はなくなります。取り戻したものは簡単には失いません。

 

スタッフS:やっぱり取り戻すまでには時間がかかりますか?

 

先生:症状が現れた後すぐに来てくれると、治療も容易なのですが、通常の生活にあまり影響が無いものですから、ほとんどの方は何年か後にいらっしゃいます。やはり数年間固まっているものをほぐそうとすると、治療には時間がかかることが多いです。

 

新しい研究分野なので、ご存知の方が少ないのが現状です。

たとえば、歯医者を例にすると、関節のアフターケアってないですよね? 膝の手術、肩の手術、どんな手術でも術後にはリハビリがあります。ところが歯医者の場合は一切ない。顎関節は謎の関節として扱われていましたからケアが遅れているのです。

今はデンタルクリニックにまわって、そういったケアを紹介して頂けるようにお願いしているところです。まだまだ紹介して頂ける歯医者の方は少ないですが、草の根運動ですね。

 

スタッフS:そんなところもフィジオセラピーの範疇(はんちゅう)なんですね。

 

先生:そうですね。ただ、症状が出てもどこに行けばいいのか分からない人が大半です。

さらに顎関節に特化した知識を持っているフィジオセラピストは多くないという現状もあります。トレーニングを受けて、特化した専門知識を得ているのはオーストラリアの中でも10人程度ではないでしょうか。治療としてマッサージを行う方もいらっしゃいますが、マッサージは全体の治療の一部分でしかありません。実際には症状を適切に判断できる、そして適切な治療を行える知識と技術が必要なのです。

顎の手術を控えている方に治療を施したところ、完全に症状がなくなり手術が必要なくなったというようなケースもありました。顎がガクッと横にずれるという状態をまっすぐに修正するという治療もありましたね。

口の開閉の際に違和感があったり、痛みがある場合、フィジオセラピーという選択肢があるということを皆様に知っていただきたいと思っています。

 

診療を終えて

一回の治療で完治とはいきませんが、大きく口を開けられるようになったスタッフS。実際の治療も興味深かったですが、先生が説明してくれる様々な知識に驚きの連続でした。

 

親知らずの治療をしたことはありますか?

寝ている時に歯ぎしりする癖はありますか?

急に大きな口を開けたり、極端に食いしばったりすると、気づかないうちにアゴに問題を抱えていることもあります。

ここオーストラリアではスキューバダイビングをされる方によく見られる症状とのこと。

「違和感を感じた時は、すぐに来てください」というのが奥谷先生からのメッセージです。

「まだ大丈夫、まだ大丈夫・・・」と何年も先延ばしにしてしまうと治療も長引いてしまいます。

約80%の人々が顎関節に何かしらに問題を持っていると言われています。

読者の中にも、あくびをするとコキっと音がする人もいるのでは?

まずは大きく口を開けてみてください。ゆっくりですよ!

Metro Physiotherapy and Injury Clinic

メトロフィジオセラピー

APA認定筋骨格系理学療法士:奥谷匡弘

TEL:0414-272-440

住所:Suite 406a, Level 4, 250 Pitt Street, Sydney NSW AU 2000

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