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第2回 小林 伸一 氏 丸紅オーストラリア会社

海外で資源開発の仕事がしたかった

私は北海道大学で資源工学を専攻していたので、是非海外で資源開発をやりたいと思っていました。当時は北海道に炭鉱があったのですが、石炭産業は斜陽で日本国内にそれほど仕事がない状況でした。丸紅は結構積極的に資源のバックグラウンドのある人を雇っていましたので入社をしました。仕事では、入社以来、金属や鉄、石炭、鉄鉱石などを担当してきました。

私たちの時代は海外に行けるということで入社した人が多かったのですが、今の若い人はそうでもないらしいですね。日本で生活をするという人が多いですよ、商社でも。

初めての海外駐在はカナダで、1991年にバンクーバーに赴任しました。鉱山開発関係の仕事でした。カナダはオーストラリアと同じで、食料とか森林資源や地下資源などが豊富な国です。カナダには4年ほど駐在しました。

オーストラリアは2度目の海外駐在

日本に戻ってからも海外赴任を希望していましたが、なかなかチャンスがありませんでした。オーストラリアには出張で何十回と来ていて、クイーンズランド州の炭鉱や、西オーストラリア州の鉄鉱石鉱山などに行っていました。出張先からの帰りにはシドニーに寄って、一晩飲んで帰国するという出張を続けていましたが、ようやく2015年に2度目の海外駐在でオーストラリアに赴任することになりました。

仕事上、海外赴任はベトナムだとか、ウランバートルだとか、インドとか、そういう国の可能性がありましたから、その意味ではカナダ、オーストラリアと、よいところに赴任して幸せなサラリーマン人生だと思います。

日本が人口減や景気が悪かったので、資源関係の価格が非常に下落しているオーストラリアも景気が悪いかなと漠然と思っていたのですが、こちらに来たら不動産は値上がりを続けているし、給与水準も高いようだし、人口が増えているというのは意外でしたね。子育て支援の政策がしっかりとしているし、まだ人口や経済が成長を続けているというのは本当に驚きでした。

オーストラリアでは農業関係や交通インフラなど、資源以外の分野の仕事も行なっているのでエキサイティングです。

 

カナダは家族で、オーストラリアは単身で赴任

カナダの場合はまだ若い頃でしたから家族で赴任しました。子どもが3人いますが、3番目はカナダ生まれです。子どもがまだ小さくて、東京にいるときよりも家族の絆のようなものが深まったかなという気がします。

シドニーは単身赴任です。女房がどうしてもペットと別れたくない、「あなたよりペットが大事」だと言うもので…(笑)。単身なので気楽に過ごしています。オーストラリアはよいところなので、できれば家族で赴任するのが一番ですね。

私は食事や洗濯など、家事はそれほど苦にならないんです。ただ、お酒が大好きなので酔っぱらって鍵を忘れたりとかしてしまうんです。そんなときは家に人がいないと困りますね。それにユニットなので、ビルの修理や検査などで家にいないとまずい場合などは困ります。でも家族の場合も、子どもが小さくてしょっちゅう病気で呼び出しを受けて病院に連れて行ったりと、そういう心配がありましたね。

その点、単身の場合は楽ですが、それにしても生活コストが高いですね。シドニーは本当に物価が高いと感じています。

 

アウトドアライフを満喫

実はオーストラリアはあこがれの国だったんです。私は資源工学でも専攻が地質だったので、オーストラリアに関してはウルルとか、素晴らしい国立公園がたくさんあることは知っていました。ぜひ、そういう場所に行ってみたいと思っていました。

南オーストラリア州のエディアカラ(Ediacaran)丘陵は、世界で初めて「最古」とされる生物化石群が発見されたところです。アデレードから車で6時間のところです。また、西オーストラリア州のポートヘッドランドから車で5時間位のカリジニ国立公園(Karijini National Park)に鉄鉱石の200メートルの断崖絶壁があるのですが、素晴らしいところです。日本ではなかなか体験できませんから、ぜひ、皆さんも行ってみたらよいと思います。

 

シドニーでも国立公園などトレイルがしっかりと整備されていて、素晴らしいですね。ブルーマウンテンには3、4回行きましたし、崖の中腹を切り開いたトレイルなど素晴らしいですよ。シドニー郊外の国立公園には良いブッシュウォークのコースがいくつもあるので、楽しみです。

森林浴をしたい時にブルーマウンテンはちょっと遠いので、シドニーの北、スピットからマンリーに向かうトレイルに素晴らしいコースがあります。もうひとつ、クリンガイ国立公園のボビンヘッドからクリーク沿いに歩くトレイルコースがあるのですが、そこも素晴らしいですよ。

歩くのが好きなので、ちょっと1、2時間歩くかという気分で行っています。会社にも40分くらいかけて歩いて出勤しています。

身体を動かすのは嫌いじゃないので、歩いたり、走ったり、運動はしているんですが、その倍くらい飲んでいるので体重は減らないですね(笑)。

 

 

日本の居酒屋が恋しい

ちょっと気楽に入れる居酒屋が恋しいですね。日本だと会社の帰りに同僚と気軽にいける居酒屋がたくさんありますが、パブはどうも雰囲気が違うので、やっぱり日本の赤提灯がいいですね。

それに日本では何かトラブルが生じたときは、相手と「ちょっと一杯行きましょうか?」と飲みにいって打ち解けることができますが、こちらでは「いや、帰ります」となって、居酒屋に持ち込む作戦がとれないですね。結局、メールでやり取りすることになってしまって、ざっくばらんなお付き合いができません。まあ、皆さん家庭を大事にされているということなので、それはそれでよいと思いますが。

日本酒が一杯置いてあるお店によく行って飲んでいます。パブでは、ハリス・ストリートにあるFoundry616というお店がジャズのライブ演奏で有名なんです。オススメのパブですよ。

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