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オーストラリアにおける日本のポップカルチャー人気の輪を広げていくキューピー☆ハニー!(女性ヴォーカルデュオ)

ますます盛り上がる日本のポップカルチャー人気。シドニーでも、オーストラリア最大級のポップカルチャーイベント「SMASH! スマッシュ」が開催されるなど、その人気は顕在だ。

2013年、「SMASH! スマッシュ」のアニソンカラオケ大会でシドニー在住の日本人女性デュオが優勝した。アニメソングのみならず、日本火曜や洋楽などもレパートリーに持つ彼女たちは、多種多様なイベントに出演。活躍のステージは日系、そしてローカルへ。オーストラリアにおける、さらなる日本のポップカルチャー人気の輪を広げていく。

 

共通点がつないだ二人の絆

加藤久恵さん(以下、ひさえさん):

私は保育士として働く傍ら、ボイストレーナーもしているのですが、あるときFacebookの在豪日本人女性のグループページで、スタジオ場所についての質問を投稿したんです。それに返信してくれたのがゆきさんで。以前、震災のチャリティーイベントでゆきさんが歌っているのを見たことがあって、返信を読んで「もしかしてあのゆきさん?!」と感動しましてね。Facebookの個人ページに、職業は保育士と書いてあったので、「じつは私もチャイルドケアで働いてるんです!」とお伝えして、どんどんと話が盛り上がって、実際に会うことになったんです。

垂水由起さん(以下、ゆきさん):

ちょうどその頃、誰かと組んで歌いたいなと考えていたんです。日本の曲、なかでもオーストラリアで流行しているアニメソング(※以下、アニソン)がいいだろうと思っていて、彼女が日本でアナウンサーや司会、声優業をしていたことを知って、きっとアニメにも興味があるんじゃないかと思って。それで2013年の6月に会って、8月にある日本のポップカルチャーの祭典、「SMASH! スマッシュ」で行なわれるアニソンカラオケ大会に出ようとなったんです。そして、初ステージとなったその大会で優勝することができました。息があったんだよね、きっと。私たちは話す時はそうでもないんですけど、歌ってみると声質がすごく似ていて。だから不自然じゃなく、綺麗なハモリができるんです。

ひさえさん:

「SMASH! スマッシュ」出場のために、ユニット名もすぐに二人で決めて。よく「キューティーハニー」と間違えられたり、マヨネーズのキャラクターからきているのかと訊かれるのですが、QPのQは私の名前、「久恵」からきています。以前、キューちゃんと呼ばれていたことがあって、その「キュー」にかわいらしくPをつけて(笑)、ハンドルネームなどに「QP」を使っていたんですよ。グループ名のアイデアを出し合った際に、「日本人はキューティーハニーに馴染みがあるし、インパクトもあっていいんじゃない?」となって、QP☆Honey! となりました。私はQP、ゆきさんはHoneyという別名があるんですけど、本当は久Pとハニーなんですよ、私たち。

 

仕事と音楽活動に通ずるエンターテイメント性

ゆきさん:

私は2001年にワーキングホリデーで来豪しました。日本にいた頃も保育士をしていました。

ひさえさん:

私はもともと日本で声の仕事をしていました。海外アーティストにインタビューする時に、通訳を介してしか質問できなくて、常々英語力があればと思っていたので、2003年に思い切ってシドニーに来たんです。英語でなにか勉強したほうが英語力も伸びるんじゃないかと思って、チャイルドケアを専攻したんです。声優だったころのスキルも、絵本の読み聞かせやパペットシアターなどで活かされてるかと思います。

ゆきさん:

幼稚園の先生って、けっこうエンターテイナーで、保育士とデュオの活動も結構繋がっていますね。たとえ二日酔いの朝でも、「Good morning, everybody~~!! 」とハイテンションで、一日中ジャンプ、ジャンプ!

ひさえさん:

「歌のお姉さん」って感じですね。

 

デュオとしての活動にもつながっている、それぞれのソロ活動

ひさえさん:

私はアカペラコーラスの、オーストラリア代表チームにも所属しています。2015年10月にラスベガスで行われた世界大会では、世界トップ10になりました。そこで鍛えられた私のハモリは、QP☆Honeyに還元していますね。クリスマスシーズンにはマーティンプレイスでも歌ったりしています。合唱、デュエット、ソロと、それぞれに楽しさがあるんですけど、共通するのはステージでパフォーマンスすることで、喜んでもらえるのが楽しいということですね。

ゆきさん:

2015年1月にハンターバレーのセスノック市で開催された、フットボール・アジアワールドカップでの日本代表とオークランド代表との練習試合で国歌独唱しました。それ以来、さまざまなスポーツでの日豪親善試合などで、QP☆Honey! としても国歌斉唱を依頼されるようになりました。歌えば歌うほどすごく味のある意味の深い曲だなと感じますね。

ひさえさん:

君が代をハーモニーで歌うんですけど、すごく珍しいようで、みなさんに喜んでもらっています。歌えるのはアニソンだけではないという強みはあると思います。

 

年齢や国籍を超えて喜んでもらえるステージングの工夫

ゆきさん:

ひな祭りにこどもの日のフェスティバル、あとは震災関連のチャリティーイベントや日本祭り、日豪友好のイベントにもよく呼んでいただいていますね。多い時は1ヶ月に2,3回くらい。

ひさえさん:

イベントの出演が決まったら、それに向けて集中的に週に2,3回程度会って、あとは家でそれぞれで練習するという感じですね。

ゆきさん:

それぞれ自分のスタイルで歌い、ハモっているので、数回合わせただけで上手く合うんですよ。音源作りやハーモニーは彼女が、振り付けや衣装は私が担当しています。

ひさえさん:

やっぱり動きがあるとお客さんも喜んでくれるので、振り付けなども入れるようにしています。あと、私はギター、ゆきさんはウクレレを弾きながら歌ったこともあります。曲もイベントの趣旨に合わせて、邦楽や洋楽なども取り入れて、より幅広い年齢層で、そして日本人だけでなくオージーの方にも喜んでいただけるような選曲にするようにしています。

ゆきさん:

オージーの方は曲を知らなくても、曲がキャッチーだったりノリがいいと踊ってくれるんですよね。全然知らない曲でも後ろの方で踊ってくれてるのをみると私たちも嬉しいですし、すごくノリますね。

ひさえさん:

ステージに立つと、アニソンがオーストラリアでこんなに受け入れられているんだとビックリしますね! エヴァンゲリオンとか。宮崎アニメの曲は、大人も子供も反応しますね。

ゆきさん:

UTSの学生たちが結成したアニソンバンドがあるんですけど、5時間ぐらいアニソンオンパレードで演奏しているんです。私たちが知らないような曲も、みんなすごくよく知っていて、お客さんもみんな日本語で歌えるんですよ。

ひさえさん:

アニソン以外にも、たとえば『上を向いて歩こう』だったらオージーのみなさんもすごく馴染みがあるので、やはり反応もいいんですね。

ゆきさん:

意外に昭和ポップスや70年代歌謡を歌うと、けっこう年配の方々が喜んでくれて。

ゆきさん:

日本らしいスタイルをこちらに紹介したいというのもあって、着物ドレスとか原宿ファッションなど、衣装もこだわっています。なるべくこっちにはないような、みんなが見て楽しめる、みんなが見て「ワァ~!」っとなるような衣装を心掛けています。

 

目指すは、オーストラリアと日本のサブカルチャーの架け橋

ゆきさん:

これからは、もっとローカルのイベントにも参加したいですね。あとは、他の地方や国に行ったり。ケアンズもすごくアニメが盛り上がっていますし、メルボルンでもフェスティバルがあるし。

ひさえさん:

アニメ関連のイベントって、オーストラリア国内あちこちでやってるんですよね。そういったところに行って、歌うことができたらいいなって。

ゆきさん:

あと、一番身近なところでは、来年のスマッシュのイベントでステージで歌いたい。けっこう私たち野外ライブが多いんですけど、音響や照明がある室内のステージで歌いたいですね。

ひさえさん:

アニメイベントでは、日本から声優さんやバンドをゲストに呼ぶことが多いんですけど、私たちのような、シドニー在住の日本人アニソンデュオがいるんだということを、もう少しみなさんに知っていただけたらうれしいですね。いろんなイベントで歌っていると、ローカルの人たちがどんなに日本のアニメやゲームが好きなのかを、ひしひしと感じるんですよね。そして私たちのパフォーマンスで喜んでくれる。そういった人たちと日本のサブカルチャーの架け橋に、私たちがなれたらなと思いますね。

 

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