ご存知のようにオーストラリアは英国の植民地でしたから、国の制度や社会の仕組みはすべて英国式で始まりました。言葉は英語ですし、いまでも国旗にはユニオンジャックが翻っています。
お金もポンドを使用していました。それが現在の豪ドルに変わったのが、いまから50年前の1966年2月14日です。今年で50周年ということで、今週の数字はオーストラリアの貨幣にスポットを当ててみました。
5セントが何を意味するかというと、これは現在流通している硬貨の最小単位ですね。以前は1セントと2セント硬貨がありましたが1992年以降、流通しなくなりました。原材料の銅の生産不足と製造コストの高騰が理由とされていますが、一説には、2セント硬貨のエリマキトカゲのデザインが原因だとされています。というのも、当時の日本のエリマキトカゲブームを背景に、日本人観光客やコイン商が大量に2セント硬貨を入手したため、硬貨不足になったというのです。
ところで1セントと2セント硬貨がなくなって困ったのが、買い物でコインが使えないということです。1ドル98セントの買い物で2ドルを渡してもお釣りが来ません。確かに、1ドル97セントの買い物だと5セントお釣りがくるので帳尻は合うというのですが、しかしすべての買い物で切り上げ/切り下げが等しく同じ回数ということはないでしょうから、どうしても不公平感が残ります。
そこで5セントですが、近い将来、5セントも製造中止で流通しなくなるというのです。なにせ5セント硬貨1枚の製造コストが7セントでは、作るそばから損をしていることになります。5セント硬貨がなくなると、現金でのお買い物もゼロか、10セントかで、切り上げ/切り下げが行なわれることになり、ますます不公平感が高まることに…。
造幣局では、「だって、5セントなんてほとんど捨てられているようだし、何も買えないでしょ?自然になくなっていくよ」などと言っています。確かに、今日、5セントで買えるのはカシューナッツ1個半という情けないものです。
それでもチャリティー団体にとっては大切なもので、みんなが見向きもしない5セントを募金箱に入れよう!キャンペーンを行なったところ、総額約60万ドルも集まったとか。
はたして私たちの生活から5セント硬貨がなくなるのはいつになるのでしょうか。
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