今週の主な予定、イベント
3/21(月)
日本春分の日振り替え休日、米2月中古住宅販売、地区連銀総裁講演(アトランタ、SF)
22( 火)
RBAスティーブ総裁講演、日本1月全産業活動指数、地区連銀総裁講演(シカゴ、フィラデルフィア)、独3月ifo・ZEW・GFK指数、英2月CPI、
23(水)
日銀月例経済報告に関する関係閣僚会議、BOJ布野審議委員発言、バイトマン独連銀総裁講演、米2月新築住宅販売、ユーロ圏3月消費者信頼感
24木)
米2月耐久財受注、セントルイス連銀総裁講演、ユーロ圏3月PMI、英2月小売売上高、ECB経済報告、トルコ中銀政策会合、米新規失業保険申請件数
25(金)
日本2月CPI、米Q4GDP(確定値)、欧州・米Good Friday
マーケットの焦点
キーワード:米利上げ後退、英国EU離脱問題、原油価格、日欧の追加緩和観測
ECB理事会、日銀会合そしてFOMCと三拠点の金融政策会合が終わりましたが、結果的にはECB理事会が予想外の強力な追加緩和の実施、一部追加緩和観測のあった日銀会合と一部追加利上げ観測のあったFOMCが政策据え置きとなりました。これら一連の“ハト派的措置”を受けて世界的に株価堅調、資源価格上昇、そしてドル安が顕著となっています。
為替相場は「ドル安・通貨高」となっていますが、理由は明らかで:
1.ECB理事会会見でドラギ総裁が「現在の見通しに基づくと追加緩和は見込まない」と言った矢先の前言「金利はしばらくの間現状かそれ以下」を翻す発言をしユーロが急反発したこと。
2.1/29の日銀によるマイナス金利導入後円高傾向を強めており、今回も一部追加利下げが実施されなかったこと。
3. FOMCで追加利上げがなく、加えて成長見通しが下方修正され(2016年GDP見通しを前回の2.4%から2.2%に引き下げ)、ドットチャート上の金利見通しを年4回の利上げから年2回に後退させたこと。
などです。
この一連の会合を受けてドルインデックスは年初の100から94台まで下落し、ドル円は3月高値114円台半ばから一時110円台後半まで下落し、ユーロは3月の安値1.08台前半から一時1.13台半ばまで上昇しました。
これらドル下落の背景には米大統領予備選でリードする民主共和両党の候補クリントン前国務長官とトランプ氏がともに日中の通貨安政策を攻撃していることもあるのかもしれません。
はたしてこのままドルが続落するのか?
一部にはドル円が110円の節目をブレークして再び“昔来た道”で100円をテストするという気の早い予想も聞かれます。
しかし以下の理由から現レベルからのドルの大幅下落も可能性が薄いと考えます。
1.米国は少なくてもまだ“利上げサイクル”を維持しており、今後堅調な指標が確認されれば(特に雇用やインフレ指数)市場は次の利上げタイミングと目される6月のFOMCに向けて利上げ観測が高まる可能性があること。(昨日SF連銀総裁、アトランタ連銀総裁は4月利上げの可能性に言及)
2.日本の景気減速懸念が高まっており、(2015年Q4は年率-1.1%)、有識者からも2017年3月の消費増税先送り勧告が出る中、日銀による今春追加緩和観測が根強いこと。
3. 日本の2月貿易収支は中国からの輸入激減もあり4,200億円の黒字となったが、2月の中国輸出激減は一過性の可能性があること。
4.「追加利下げ見込まず」の失言ともとも取れるドラギ発言後、同氏や他の複数のECB当局者が何度も「追加利下げの可能性」に言及しており、また英国のEU離脱問題や難民問題を抱えユーロの続伸にも無理があること。
5.原油高や商品相場回復期待、株高によるリスク選好ムード。
このようにドルサポート要因も多く一方的なドル安も考えにのではないでしょうか?
今週は米国の住宅関連指標やQ4GDP(確定値)、ユーロ圏ZEWやPMI、独ifo、ZEW、GFKなどヨーロッパ関連指標の発表が注目されます、現在離脱派が幾分リードしているといわれる英国のEU離脱問題や、トランプ下しが報道される米国大統領予備選情報も注視する必要があるでしょう。
また増産回避期待から一時41ドル台に上昇している原油はじめとした商品相場動向や中国景気・株価動向と合わせてリスク許容度に大きく関わるものとして材料視されます。
ここまで大きく下落してきたドルですが今週はむしろ上記サポート要因により戻り高となる可能性があります。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 0.7392-0.7583 AUDYEN 83.35-86.21
今週の予想レンジ AUDUSD 0.7450-0.7750 AUDYEN 84.00-87.00
今週の豪ドルは: 利食い売りで上値が重い展開でしょう
豪ドルは原油、鉄鉱石などキーコモディティーの上昇やドル安にサポートされて先週76セント台後半、85円台後半までリバウンドしました。
3月中旬には原油などの反落から調整下落した豪ドルですが中国の景気刺激策への期待や米ドル下落が豪ドルを再び押し上げました。
今週は本日RBAスティーブンス総裁のASIC(豪州証券投資委員会)での講演が注目されますが、豪ドルの76セント台への反発で最近他のRBA理事からも豪ドル高けん制トーンが高まっており、同氏の発言が注目されます。
ちなみに昨年豪ドルが73セント台に下落した時点でRBAの豪ドル高けん制が鳴りを潜めましたが、その時の交易条件は85前後。2月3月と商品相場が回復していますが今年1月の交易条件は2006年以来の安値80強でした。
RBAの豪ドル高けん制は交易条件と密接に関わっており、またその数字は中国経済はじめ世界経済動向に左右されるので判断が難しですが、現在の商品相場の回復基調をRBAがいかに評価しているかがポイントです。
足元豪ドルはかなり伸びきっており、やや調整反落する可能性があります。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
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