美しいビーチや国立公園などはすべて国宝として大切に守られており、自然と共に生きているオーストラリア。現代にあふれかえっているオンラインの刺激を離れて、自然の中に身をおくことは子供の成長に非常に良い影響を与えることから、子育てにも優れた環境が整っているとして、オーストラリアを移住先に選ぶ人が近年増えてきています。
永住権や市民権を取得すると、出産や子育てに関する助成金・支援制度が手厚く受けられることも魅力。素晴らしい環境の中で多岐にわたるサポートを受けながら、安心して子育てができることも移住先として注目されている大きな理由の一つでしょう。
またオーストラリアでは、子供のころから自尊心や自立心を育てることに重点を置いています。自然の中でのびのびと過ごすことで、感情が豊かになり、自分の意見をはっきりと伝えたり、社会の中でしっかりと生きていく基盤をつくることができると言われています。
今回の記事では、オーストラリアと日本の歴史について触れながら、オーストラリアで子育てをする具体的なメリット、オーストラリアの教育方針や強み、日本に住んでいてもオーストラリアでの子育てが体験できる親子留学の制度についてもご紹介していきます。
戦争終結から50年を迎えた1995年、日本とオーストラリアは「日豪パートナーシップに関する共同宣言」 を発表しました。この宣言には、「戦後両国が築き上げてきた友好協力関係の重要性を再確認し、その基盤の上に揺るぎないパートナーシップを構築することを誓う」と明記されています。
2020年現在、日豪の姉妹関係都市は100を超え、姉妹学校は650校に達しています。毎年35,000人もの日本人交換留学生がオーストラリアを訪れ、オーストラリアの高校生1300人が短期留学で日本を訪れます。このように、現在のオーストラリアの国際交流は日本との交流が主軸です。またオーストラリアの学校では、第二言語として日本語を履修できる制度もあります。
オーストラリアで子育てをすると、子供が日本語を話せなくなったり、日本の文化を体験せずに成長してしまったりする不安があるかもしれませんが、オーストラリアと日本にはこのような強い絆があるため、日本の教育を受けることも大いに可能です。
次世代を担う子供たちが、グローバル言語である英語と、母国語である日本語の両方を使いこなし、多文化を尊重して受け入れる姿勢を身につけることは、世界へ自由に羽ばたくために大きな後押しになることでしょう。
海外移住先ランキングでも常にTOP10入りをしているオーストラリア。(こちらを参照)オーストラリアが上位にランクインする理由を見てみると、住みやすい温暖な気候、美しい景観とのんびりとした穏やかな雰囲気、ライフワークバランス、安定した経済などが挙げられています。では、オーストラリアで子育てをする場合には実際にどんなメリットがあるのでしょうか。
オーストラリアにはメディケア*という国民健康保険制度があり、GPと呼ばれる一般開業医の診察はすべて無料です。そのほかにも、基本的な検査(血液検査、レントゲン、目の検査など) そして国立病院への入院・治療などがすべて無料で受けられます。
出産時にこのメディケアを使うと、公立病院では無料、私立病院では一部負担のみで済みます。さらに、子供が生まれたときや生まれた後のサポートがとても手厚く、さまざまなシチュエーションに合わせて補助金を受給することができます。
こうした制度が整っているため、国からサポートを受けながら子育てができるメリットがあります。具体的なサポート内容は以下になります。
*加入対象者:オーストラリアの永住権保持者(永住権申請中も含む)、市民権保持者
新生児が生まれたときに子供一人あたり570ドル、生まれた後13週間にわたり分割で合計およそ1,700ドル(2人目からは合計およそ570ドル)を受領することができます。 また子供を保護する立場になったとき、養子を受け入れたときにも適用されます。詳しくはこちら
※Parental Leave Pay を受け取った場合は除外
※メディケア加入者のみ
育児休暇の援助金は1日におよそ150ドル、18週間(90日) にわたって受け取れます。前年の年収が150,000ドル以下の場合に適用され、このサポートを受け取っている期間は仕事をすることはできません。2020年から18週間を2回に分け、2年以内であればいつでも申請することができるようになりました。いろんな働き方に合わせて、フレキシブルに育児休暇を取ることができるようにとの配慮です。詳しくはこちら
※メディケア加入者のみ
父親またはパートナーに対して週およそ750ドル、2週間(10日) 分のサポートがあり、一括で支払われます。子供を一緒に育てていく立場の人であれば、同性のパートナーや養子縁組のパートナーでも受け取ることが可能。このサポートを受け取っている期間に仕事をすることはできません。 詳しくはこちら
※メディケア加入者のみ
※前年の年収が150,000ドル以下の場合に適用
※職場の有給休暇をとっている期間は除外
パートA: 子供の生誕〜19才まで、子供一人あたり2週間毎に一定の金額が給付されます。世帯収入が年80,000ドル以下の場合、会計年度末に子ども一人あたりおよそ780ドル受領できます。(2020〜2021年。条件と金額は毎年変動。)
パートB: 片親のみ、もしくは世帯収入が一本のみの場合には、生誕〜18才まで、子供一人あたり2週間毎に一定の金額が給付されます。会計年度末には子供一人につきおよそ379ドル受領できます。(2020〜2021年。条件と金額は毎年変動。)
詳しくはこちら
※メディケア加入者のみ
※子供が指定された予防接種を全て受けている場合のみ
※実際に受け取れる金額、利用できる制度についてはこちらで確認ができます
子供が政府認定のディケアセンターに通う場合、その費用が免除されます。センターに2日以上通うことが条件で、世帯収入により免除される金額が変わります。詳しくはこちら
祖父母が子供の面倒を見ることが65%以上の場合、チャイルドケアのサポート費用が受領できます。年金など他の助成金を受け取っていないことが条件となります。詳しくはこちら
※どちらもメディケア加入者のみ
オーストラリアにはと呼ばれる育児サポートグループがあり、政府によって正式に援助・推奨されています。毎週日時を決めて集まり、一緒に歌を歌ったり、図画工作やゲームをして楽しんだりして、子供の成長・発達のために役立てることが出来ます。子供を遊ばせながら、親同士も楽しくコミュニケーションを取ることができたり、政府認定保育士などからのアドバイスも直接受けられるので、さまざまな相乗効果を生みます。
グループのメンバーになるのは無料の場合が多く、グループセッション毎に3〜5ドルほどかかる事もありますが、基本的にモーニングティーやアクティビティで使用する材料、場所を提供するコストをカバーするためのものです。0〜5歳児(プレスクール)と一緒であれば、いつでも参加可能。オーストラリア各地のPlay Group情報はこちら
子供が生まれる前のレッスン、子供を産んだ後の親子検診、家の近くにあるグループを見つけるアシストなどが受けられます。子育ては人知れず悩みを抱え込んでしまったり、孤立してしまいがちなものですが、情報交換をしたり、悩みを相談したりできる場を作り上げて、同じ境遇の人たちと共有することができるので安心です。
このほか助産師や看護師などの子供の専門家にいつでも相談ができる相談窓口(翻訳サービスあり) が設けられています。詳しくはこちら
オーストラリアの教育は「子供一人一人の個性を伸ばすこと」 を重要視し、子供の興味に合わせてカリキュラムが組みまれています。オーストラリアのチャイルドケア(保育園) では、3歳の頃からクラスの前で発表をするShow & Tellという時間があります。人前でしっかりと自分の意見を述べる力をつけることで、自分の個性を伸ばしていきます。
さらにオーストラリアの家庭や学校では、子供の意見や主張を尊重し、「あなたはどっちがいいと思う?」 「あなたは何がしたいの?」 など、自立心を育てる質問の仕方をよくします。親の目線から、「これが一番あなたにとっていいから」 とか「あなたはこういう人間だから」 というのは実は押しつけで、子供が本当に望んでいるものではない可能性があります。
周りと比べて優劣をつけたり、凝り固まった価値観で押さえつけるのではなく、子供独自のやり方とペースで学ぶ環境を与えることで、子供たちは自尊心や自立心を育むことができます。また、オーストラリアには基本的に塾も受験もありません。それゆえ子供の一人一人が興味のあることを独自で追求し、将来何をしていきたいのかはっきりと見極めることが必要になってきます。
最終的には子供自らが決断をするからこそ、熱意と責任を持って取り組むことができ、長い人生を歩んでいく上での大きな糧となります。自分のやりたいことをするには大きな責任やリスクも伴うということを学び、大人へと成長していくのです。
オーストラリアの学校では、算数や言語などの通常教科に加えて、サステナビリティ(地球を守り、維持していく活動) そしてオーストラリア原住民の歴史について学びます。これは保育園などの初期教育にも取り入れられており、オーストラリア教育の中心となっています。
サステナビリティとは、私たちの住んでいる地球に負担がかかりすぎないよう守り、生命維持をしていく活動全般を指し、世界的に取り組まれています。子供たちは早い段階からリサイクルの大切さや、私たちの日常生活が地球に与える影響について学び、長期的かつグローバルな視点で地球を大切にしていく重要性を学ぶことができます。
さらにオーストラリアは、日本も含め世界193カ国が加入している国際連合(United Nation) のメンバーです。オーストラリアの学校では、ディスカッションやディベートを通して、気候変動に対する具体的な対策や、貧困・飢餓などをはじめとする社会問題の解決策について、授業で話し合う機会が設けられています。(国際連合のサステナビリティに関する取り組みについてはこちら)
また、5万年前からオーストラリアを守ってきた原住民アボリジニーの歴史は、すべての学校で積極的にカリキュラムに取り入れられています。昔から代々受け継いできた彼らの生き方と精神、大自然のバランスを保ちながら共存していくための知恵など、オーストラリアだからこそ学ぶことができます。
移民大国であるオーストラリアには、家族で留学して現地の生活を体験できるようにサポートするシステムがあります。高校生まではオーストラリアの学校に通うことが義務化されているので、子供たちが現地の教育を受け、リアルな生活を体験することが可能です。子供が18才未満、または大学に通う前の場合、保護者が最低1人は付き添い留学する必要がありますが、親がビザを取得すれば子供のビザを取得する必要はありません。
現地の学校に通う際は、通常の授業のあとEAL(English as an Additional Language)またはESL(English as a Second Language) のコースが設けられています。先生や他の子供たちと一緒に英語の本を読んだり、ワークシートに取り組んだりして英語力をつけ、通常クラスについていけるようにしっかりとしたサポートが受けられます。
家族留学に関するオーストラリア政府の情報サイトはこちら
温暖で過ごしやすく大自然の恩恵を受けた環境、政府による手厚い子育てのサポート、個性を伸ばしグローバルな意識を育てる教育制度など、素晴らしい土台があるオーストラリア。子供たちは持ち前の無邪気さと順応性の高さを発揮して、大人の心配をよそにめきめき成長していきます。どんな環境にいても適応する能力を持っているので、どれだけ経験を積み、知識を身につけるのかは環境次第とも言えます。
世界の文化や習慣に違いがあるように、子供の育て方や教育も住んでいる国によって多種多様です。その中でも唯一、世界共通なのは「子供たちに、健やかで幸せな人生を生きてほしい」 という思い。今はまだ小さくても、いつか社会の荒波に飛び込み自分自身で人生を切り拓いていく日が必ずやってきます。その時に備えて、最良の環境作りをすることが大人である私たちの役目です。子供の将来のために、このオーストラリアの素晴らしい環境を利用しない手はないのではないでしょうか。
シドニーCBDからメトロで20分の場所にあるマッコーリー大学(Macquarie University)は、世界の大学上位1%に入り、卒業生…
TAFE NSWの土木設計ディプロマ TAFE NSWは、130年以上の歴史を持ち、100以上のコースを留学生向けに提供している公立の職業訓…
ワーホリでもチャイルドケアのCertificateが取れる! ノースシドニーにある専門学校が、11月から新たに17週のみのチャイル…
シドニー、メルボルン、ダーウイン、ゴールドコースト、バイロンベイ、アデレードにキャンパスがあるご語学学校から、特別なお…