オーストラリアのワーキングホリデー制度では、1回目のワーホリ期間中に政府指定の地域で3か月間以上の季節労働をすると2回目のワーホリビザ(セカンドビザ)が取得できます。
せっかくなら長期間オーストラリアに滞在し、就学や就労などさまざまな経験をしたい方も多いでしょう。
この記事では、オーストラリアのセカンドビザの取得条件や申請方法、申請時に準備するものなどを詳しく解説します。
セカンドビザの取得を目指す方やオーストラリアに長期間滞在したい方は、ぜひ最後までお読みください。
オーストラリアのセカンドビザとは、1回目のワーキングホリデー(ファースト)の期間中に特定の条件を満たした方が取得できるビザです。
セカンドビザの概要は以下の通りです。
正式名称 | Second Working Holiday visa |
Subclass | Subclass 417 |
申請料金 | 635豪ドル(約60,960円) |
有効期間 | 1年間 |
雇用条件 | 同一雇用主のもと最大6ヶ月までフルタイムでの労働が可能 |
申請場所 | 日本・オーストラリア |
詳細 | ・政府指定地域にて最低3ヶ月(88日間)以上の季節労働に従事した証明書類が必要 |
※2024年1月の豪ドル円レート(1豪ドル=96円)で計算
セカンドビザでは、ファーストと同じくオーストラリアで余暇を楽しむことを主な目的として1年間オーストラリアに滞在できます。
有効期限やワーキングホリデー中にできることはファーストとほぼ同じで、有効期限1年の間にフルタイムで働いたり、最長4ヶ月学校に通ったりできます。
ファーストビザ取得時と大きく違う点は、セカンドビザを取得するには政府指定の地域での季節労働に3ヶ月以上従事しなければならないことです。
1年間ワーホリに参加したからといって、自動的にセカンドビザを取得できるわけではないので注意しましょう。
ここでは、オーストラリアのセカンドビザを申請するための条件を詳しく紹介します。
ファーストであろうとセカンドであろうと、ワーホリビザは申請時点で18歳以上31歳未満でなければ申請できません。
現在、オーストラリアのワーホリビザが35歳まで申請可能なのは、カナダとアイルランド国籍の方のみです。
セカンドビザやサードビザまで考えている方は、自身の年齢を考え計画的に申請しましょう。
セカンドビザを取得するためには、オーストラリア政府が指定した職種で3ヶ月以上就業しなければなりません。
ここでは、政府が指定する職種を詳しく紹介します。
食品生産・家畜の飼育(ファームジョブ)とは、農場での野菜の収穫(ピッキング)・動物のお世話・精肉工場でのパック詰めなどを行う仕事です。
初心者でも雇ってもらえる上に年間を通して仕事があるため、多くの日本人はピッキングの仕事を選びます。
精肉工場はミートファクトリーと呼ばれ、給料が時給制であることや室内での作業が多いことからこの仕事を選ぶ方もいます。
資格や経験がある方は、漁業・林業・採鉱・建設業などの職種でも仕事を見つけられるでしょう。
ただ、資格がないと働けない場合や車がないと働く場所まで行けない場合もあるので、条件をよく確認しましょう。
オーストラリアでは人手不足が続いているため、労働力が足りていない職種をビザ申請の条件にするなど柔軟に対応しています。
僻地での観光業やホスピタリティでは、政府の指定する地域で観光ガイドやレストランのスタッフとして働くことが可能です。
山火事や洪水地域の復興業務には、土地や水路の復旧作業だけでなく被災地域でボランティア活動をしている人のサポートも含まれます。
COVID-19関連の仕事にはCOVID-19のテストの実施や施設の清掃業務が含まれますが、COVID-19に関係のない病院での清掃業務などは含まれないので注意しましょう。
オーストラリアのファースト・セカンド・サードビザには以下のような違いがあります。
ファースト | セカンド | サード | |
申請する場所 | 日本のみ | 日本・オーストラリア | 日本・オーストラリア |
指定された職種での就業期間 | なし | 3ヶ月 | 6ヶ月 |
ファーストビザを申請できるのは、オーストラリア国外のみです。
ファーストビザを取得するにはパスポートや残高証明など書類はいくつか必要ですが、18歳から31歳未満の方であれば取得可能です。
一方、セカンド・サードビザの場合はオーストラリア国内でも国外でも申請できます。
ただ、申請する前のワーホリ期間中に指定された職種でセカンドの場合は3ヶ月、サードの場合は6ヶ月以上働いた証明書が必要です。
ファースト・セカンド・サードビザの申請はすべてIMMIアカウントから可能で、申請料や有効期限は同じです。
ここでは、オーストラリアのセカンドビザを申請する際に必要なものまたは政府から提出を求められる可能性があるものを詳しく解説します。
まず、身分証明書としてパスポートと戸籍謄本のコピーが必要です。
パスポートや戸籍謄本のコピーは、使用する機会が多いため日本から数枚持っていくと良いでしょう。
セカンドビザ申請時は、ファーストワーホリ期間中に所定の職種で就労した証明書(Form1263)も必要です。
Form1263には雇用主の記入すべき箇所があるため、忘れずに記載してもらいましょう。
現地での生活費を持っていることの証明として5,000豪ドル(約48万円)以上の残高証明書を用意してください。
帰国用のチケットも提出を求められますが、チケットを持っていなくてもチケット代分のお金があることを証明できれば問題ありません。
オーストラリア国内から申請する場合、残高証明書は不要ですがビザ申請費に加えて700豪ドル(約67,200円)の追加料金がかかります。
オーストラリア国内と国外の申請では、必要書類や申請費が異なるので注意しましょう。
※2024年1月の豪ドル円レート(1豪ドル=96円)で計算
参考:Australian Government Department of Home Affairs
セカンドビザ申請の際には、必要書類とは別に以下のような書類の提出を移民局から求められることがあります。
3ヶ月の季節労働をした証明を求められることがあるため、給与明細や給与の振込証明は大切に保管しておきましょう。
16歳になってから過去10年間にオーストラリアで合計12ヶ月以上滞在したことがある方は、オーストラリアの警察証明書を求められる可能性があります。
犯罪歴が疑われた場合にも、警視庁から警察証明書を求められることがあります。
ビザ申請日以前の5年間に3か月以上連続して日本またはオーストラリア以外の国に住んでいたことがある方は健康診断の受診を求められる可能性も高いです。
登録済み移住エージェントや弁護士などに申請の代行を依頼している場合は、任意ではありますが代理申請用紙を提出しましょう。
参考:Australian Government Department of Home Affairs
オーストラリアのセカンドワーホリビザの申請方法は以下の通りです。
セカンドビザもファーストビザと同様にIMMIアカウントからオンラインでビザ申請します。
まず、IMMIアカウントへログインし「ファーストビザを取得したか」「特定の仕事を3ヶ月したか」などの質問に回答しましょう。
個人情報などの入力が終わると必要書類のアップロード画面になるので、用意していたPDFをアップロードします。
ビザ申請費用の支払いが終われば、セカンドビザの申請は完了です。
ビザが承認されると「ビザ交付番号 ・ビザ開始日 ・ビザ条件」がメールで通知されます。
個人差はありますが、承認までは早ければ1日、遅くても2週間程度でビザが発給されます。
オーストラリアは政府の方針によりビザの申請方法や必要書類が頻繁に変更されるため、困惑してしまう方も多いでしょう。
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ここでは、オーストラリアのセカンドビザを申請した後に気をつけたいことを紹介します。
セカンドビザの申請はオーストラリア国内でも国外でも可能ですが、どちらで申請したかによって入出国に制限があります。
オーストラリア国内でビザ申請した場合、ビザ発給日まではオーストラリア国内に留まらなくてはなりません。
反対に、オーストラリア国外で申請した場合はビザ発給日まではその国から出国できません。
いずれにせよビザが発給されるまでビザ申請を行った国からは出られないことを覚えておきましょう。
ビザ申請する際にどんなに注意を払っていても、誤記入や必要書類の添付漏れなどミスをしてしまうことがあります。
ビザ申請時の誤りを発見した場合は、政府のHPの「After you apply」を参考にすみやかに連絡しましょう。
ミスが原因で申請が却下されてしまうと、再申請時にまた申請料を支払わなくてはなりません。
入力の際にミスをしないことはもちろん、間違ってしまった場合はすぐに連絡することが大切です。
ビザ申請後に以下のような状況の変化があった際には、すぐにIMMIアカウントから連絡しましょう。
申請を取り消す場合は、IMMIアカウントで申請書を削除するのではなく「withdrawal of a visa application」を選択しましょう。
なお、申請を取り消しても申請料は返金されません。
パスポート番号が変更、結婚や離婚などの関係性の変化、子供の誕生などがあった場合もIMMIアカウントから連絡可能です。
パスポートは変更するとIMMIアカウントだけでなくさまざまな手続きが必要になるため、可能であれば出発前に更新しておきましょう。
オーストラリアのセカンドビザが取れなかった場合、ビザ申請却下の理由と再申請の要件がメールで送られてきます。
ここでは、ビザ申請が却下になる理由と却下になった際の対処法を紹介します。
セカンドビザが却下される多くの理由が、書類の不備や記入漏れです。
「苗字と名前を逆にしてしまった」「宣誓をすべてNOにしてしまった」「書類が添付できていなかった」などがよくありがちなミスです。
却下の原因を確認し、ミスの改善や不足していた書類の準備ができ次第、メールで送られてきた手順に従って手続きしましょう。
移民局の決定に納得がいかない時には、裁判所へ異議申し立てができる場合があります。
ただ、裁判の手続きを個人で行うことは非常に難しいため、まずは専門家に相談しましょう。
学生ビザはオーストラリアに長期滞在が可能な上に仕事との両立も可能なため、ワーホリビザから学生ビザへ切り替える方もいます。
学生ビザの概要は以下の通りです。
正式名称 | Student visa |
Subclass | Subclass 500 |
申請料金 | 710豪ドル(約68,000円) |
有効期間 | 入学した学校またはコース終了まで |
最大滞在期間 | 最長5年 |
雇用条件 | ・コース開講期間は2週間で48時間まで ・ホリデー期間は時間制限なし |
申請場所 | 日本・オーストラリア |
詳細 | ・ワーホリビザの有効期限が切れる日から28日以内に入学しなければならない ・ビザ申請中は働けない |
※2024年1月の豪ドル円レート(1豪ドル=96円)で計算
学生ビザはワーホリビザと違いは、主に最大滞在期間と就労時間です。
学生ビザでは、入学したコースを終えるまで最大5年間オーストラリアに滞在できます。
ワーホリでは時間制限なく働けましたが、学生ビザで授業が行われている期間に認められている就労時間は2週間で48時間までです。
学生ビザを取得するには、先に学校を選択し入学手続きをしなければなりません。
入学手続きには一定レベル以上の英語力や最終学歴の証明書、学費の支払いなどが必要となります。
学校の選択から入学手続き完了までは時間がかかるため、学生ビザに切り替えるのであれば早めに準備に取りかかりましょう。
まずは、身分証明書として有効期間が就学予定期間を満たしているパスポートを準備しましょう。
学生ビザを取得する際は現地の学校が発行する入学許可証も必要です。
また、学生ビザを取得する方はOSHCと呼ばれる月額50豪ドル(約4,800円)程度の海外学生保険に加入することを求められます。
政府から奨学金を得ているなどビザ申請料免除の条件に当てはまる方は、支払い免除の証明書を用意しておきましょう。
一時入国者の証明書(GTE)とは、申請者が留学のために一時的にオーストラリアに滞在する者であることを証明する文章です。
他にも、現地での滞在費や帰りの渡航費を持っているかの証明として残高が20,000豪ドル(約192万円)以上ある残高証明書も準備しておきましょう。
※2024年1月の豪ドル円レート(1豪ドル=96円)で計算
参考:Australian Government Department of Home Affairs
学生ビザの申請はワーホリビザの申請とほぼ同じです。
まずは、IMMIアカウントへログインし必要な項目を入力します。
次に、PDF化した必要書類をアップロードし、ビザ申請費を支払うと申請は完了です。
ワーホリビザは短期間で発給されますが、学生ビザの場合1ヶ月程度かかることもあるので早めに申請を行いましょう。
ビザ申請は必要書類も多い上に政府が頻繁に方針を変えるため、正しい情報がわからず困ってしまう方もいるでしょう。
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