英語を話せないまま語学留学するのはやばい?リスクや帰国までの...
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Y子
31歳。ものごとをあんまり深く考えていないのでストレスは少ない。自分の身に危険が迫ると恐怖のあまり脳がヒートしてしまい、笑い出してしまうクセがある。以前バンジージャンプをした時、飛び降りた瞬間からケラケラ笑っていた。お化け屋敷でも笑い出すので、お化けにビックリされてしまう。19歳でメイクアップアーティストに憧れて専門門学校へ。その後ファッションショーなどの現場で働くが、給料が安すぎて、家の電気、ガス、水道を止められる。それでもコンビニのトイレや銭湯に通いながら粘り強く続けるが、毎日ツナ缶だけで生活していたため、体重が40kgを切ってしまい最後は栄養失調で倒れてしまうという経験を持つ。彼氏ができると何よりも優先してしまうため友達はほぼいないという残念なタイプ。現在セカンドWHでシドニー滞在中。
仲間たちといっしょに作ったブロッコリーニ入りポトフ
ブロッコリーニ。前にも書いたがこれは菜の花とアスパラガスを掛け合わせてできた野菜。なんで名前が“ブロッコリーニ”になるのかはよくわからないが、味はブロッコリーをほんのり甘くした感じ。この2つの野菜のハーフですもの、美味しいこと間違いない。スタンソープでの作業は、摘んできたブロッコリーニを手首ほどの太さに束ねゴムで留める。それを180~250グラムになるように包丁でカットし、値札をつけて箱に詰める。これが一連の流れだった。同じ作業をしていると段々手がけんしょう炎になってくるが、慣れればなんてことはない。給料は出来高制。みんなで息を合わせて早く作業をすればそれだけ早く家に帰れるというわけ。みんなこの作業が好きだったのでチームワークは良かった。。作業時間はだいたい朝の5時から昼過ぎまでで、午後は仲間たちと買い物をしたり料理を作って楽しんだ。ブロッコリーニは塩茹ですると野菜の甘みが出て優しい味になる。歯ごたえもポリポリと漬物のようなのでお気に入りだった。ほかにも、いろんな野菜といっしょに時間をかけてじっくりコトコト煮込んでポトフを作ったり、カレーを粉から炒めてブロッコリーニカレーを作ったりした。一番好評だったのは、なんと言っても天ぷら。塩や麺つゆをつけてサクサク食べれるのですぐなくなってしまい、揚げても揚げてもキリがないほどだった。あぁ、なんて幸せな毎日なのだろう。ここはブロッコリーニ天国だわ!仕事もあるし、美味しいものが食べられるし、自然もたくさんある。こんなふうに時間を過ごすのはどれくらいぶりだろう…。ファームの仕事は、扱う商品が野菜だし(野菜は文句を言わない!)、緑豊かな自然のなかで作業しているので何のストレスもたまらない。むしろ、変わった形に育った野菜などを見るとかわいくて愛おしい気持ちにさせてくれる。作業場は屋根がついただけのガレージだったので、ほぼ外での作業だった。晴天の日にはカラッとした空気が肌に心地良い。湿気が多くジメッっとした日には、雨が降り出しそうな匂いがした。鳥やカエルの鳴き声さえ耳にやさしい。自然を近くに感じることで体の五感が敏感になり、感覚が研ぎ澄まされる感じだ。自分は自然に生かされているんだと今さらながら実感できた。こうしたことを、はたして日本で気づけただろうか…。オフィスワークでパソコンを相手にOLをしていた私。夏はエアコンでガンガンに冷やされ、冬はのぼせてしまうほど暖房の暑さで、よく体を壊していた。まさか自分が農家で働くなんてあり得ないと思っていたけど、こうやって早起きしたり、採れたての野菜を食べたり、太陽と戯れる昔ながらのほのぼのとした生活こそが、もしかしたら究極の幸せなのかもしれない。こんな穏やかな生活をかみしめながら毎日ガトンにいるA子への電話だけは欠かさなかった。その日の出来事を報告し合ったり、恋愛トークをしたりするだけだったが、ささやかな楽しみのひとつだった。A子は、私といっしょにスタンソープで仕事ができるよう、毎日大魔人へお願いしていると言う。愛人契約をしてしまえば簡単なことだろうが、まじめな彼女は決して契約などせず、がんばって説得を続けていた。しかし、A子は大魔人のお気に入り、そんな簡単には手放すはずはない。そんな攻防が繰り返されていたある日、彼女が弾んだ声で私に連絡してきた。 『Y子、ガトンに戻ってきて! Y子がガトンでも定番の仕事ができるように大魔人にお願いしたら、やっとOKって言ってくれたよ』 なんと! あの強情な大魔人を納得させたのか。A子、あんたははすごいよ。この熱意に感動し、ここでの平和な生活を捨てガトンへ戻る決意をした。元々、彼女を大魔人の側に置いておくのは心配だったし、これはこれでよかったのだ。その日の夜中、さっそく大魔人が迎えにやってきた。すでに眠りについていた私をたたき起こし、家の外に呼び出した。みんな何ごとかと起きだしている。仕方がないので、眠い目を擦りながら外に出た。寒い…、Tシャツに半ズボンの私は一気に眠気が吹き飛んだ。そしておもむろに大魔人が言い放った。 『ガトンに帰りたいなら、A子を悲しませたくないなら今晩俺と過ごすんだ』
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