オーストラリアの有名大学はどこ? レベルは高い? オーストラ...
オーストラリアには、世界大学ランキングでも上位にランクインする有名大学が数多くあります。留学先の大学のレベルは、その後…
Y子
31歳。ものごとをあんまり深く考えていないのでストレスは少ない。自分の身に危険が迫ると恐怖のあまり脳がヒートしてしまい、笑い出してしまうクセがある。以前バンジージャンプをした時、飛び降りた瞬間からケラケラ笑っていた。お化け屋敷でも笑い出すので、お化けにビックリされてしまう。19歳でメイクアップアーティストに憧れて専門門学校へ。その後ファッションショーなどの現場で働くが、給料が安すぎて、家の電気、ガス、水道を止められる。それでもコンビニのトイレや銭湯に通いながら粘り強く続けるが、毎日ツナ缶だけで生活していたため、体重が40kgを切ってしまい最後は栄養失調で倒れてしまうという経験を持つ。彼氏ができると何よりも優先してしまうため友達はほぼいないという残念なタイプ。現在セカンドWHでシドニー滞在中。
なんとも愛らしい姿のピョン吉
12月も中旬に差しかかり、すっかり暑くなってきたガトン。1日の作業が終わる日中は屋外にはいられないほど太陽の陽射しが強い。ここにはクーラーも扇風機もない。家でダラダラと冷えたビールを飲んでも無駄に汗をかくだけなので、仕事の後はプールに行くことが日課になっていた。泳いだ後、程よく疲れた体で軽く夕食を食べる(ほぼブロッコリーニ料理)。涼しくなる日暮れ時はバルコニーで赤ワインを飲むことが楽しみになっていた。住んでいたシェアハウスは丘にあり、邪魔な建物もなくゆっくりと沈む夕陽を眺めることができた。空を眺めていると魔法がかかったように色が移ろいでゆく。オレンジからサーモンピンクになり、パープルになってきたと思ったらダークブルーに変わっていく。いったいこの短い時間にいくつくらいの色が空を染めるのだろう。グラデーションが美しかった。詩の心得でもあれば、素敵なフレーズのひとつやふたつは浮かんでくるんだろうなあ…。充実していた。こんなことを考えるということは間違いなく充実している。のんびりとした時間や草木の匂い、湿気も少なくカラッとしている空気が肌に心地良かった。贅沢な生活に満足していた。ここは平和だな~、ただひとつ大嫌いな虫たちを除けば…。小さい頃、虫を怖がる私に田舎のおばあちゃんが『家にいる虫は飼っているから怖くないのよ』と言っていたけど、申し訳ないがやっぱりそうは思えない。怖いものは怖いのだ。しかし、そんな私にも少しづつ変化が出てきた。ここ1週間ほど、このバルコニー(屋外)で過ごす時間が楽しいのには訳があった。そこには癒される存在がいたのだ。それは握りこぶしほどの大きさのミドリガエルだ。発見した頃は怖くて悲鳴を上げ、シェアメイトを驚かせていた。しかしよく見ると、どこを見ているの解らないくらい大きくて黒目がちでウルウルした目をしている。そしてキレイなミドリ色のボディは両生類のせいか水分を多く含みテカテカと光っている。いつしかこのカエルを触ってみたいという衝動に駆られ、意を決して指でつついてみると皮膚が柔らかくプルプルしていた。なんてカワイイんだろう。皮膚呼吸バンサイだ! いつからかこのカエルをピョン吉と名付け可愛がるようになっていた。ピョン吉はとてもシャイで、見つめあっていると恥ずかしいのか目をそらすのだ。なんとイジラシイ。そして手のひらに載せると緊張するのかウ○コしてしまうのだ。性格はおっとりしていて跳ねる動きもノロい。時々、ピョンっと飛んで着地の瞬間にヨロけて転びそうになっている。ドジなところも愛おしい。見ていると本当に癒される。しかし好物のハエを見つけると違う生き物になったかのように鋭い目つきになる。そして目で追えないほど機敏な動きでパクっと口の中に収めてしまうのだ。目の当たりにした時はピョン吉やっぱり怖いよ…と思ったが、私の敵であるハエを食べてくれるなら間違いなくいいヤツなのだ。そのうちピョン吉の気持ちが知りたいと思えてきた。この子はいったい何を考えて生きているのだろう。ハエをどうやって捕らえるかを常に研究しているのだろうか。それに夜しか現れないピョン吉は昼間何をして過ごしているのだろう。カエル社会とはどうなっているのか。夜は自由時間なので私に会いに来るのだろうか?一人でそんな想像をしているのが楽しかった。私はその日にファームであった出来事や、思っていることを延々と話していた。ピョン吉は何も言わず黙って聞いていてくれる。聞いていなくてもそこに居てくれるだけで満足だった。家の住民から見れば独り言を言っている怪しい日本人と映っただろう。でもそんなことどうでもいい、私にとっては幸せな時間なのだ。しかしある日そんな有意義な時間を過ごしている私たちの前に邪魔者が現れた。もう一匹のミドリガエルだ。なんと、仲間がいたのか…。しかしそれはどうやらピョン吉の彼女らしかった。そうか、彼女がいたのか。じゃれ合っているのを見ているとなんだか切ない気持ちになってしまった。それから何日か経ち、家の前の道路で新鮮なカエルの死体が見つかった。心配した家の人が教えてくれたのだ。ピョン吉なの? 愕然となった。しかし、絶対違うと信じることにした。不安だったが、その晩もバルコニーに行ってみると、ピョン吉はそこにチョコンと座っていた。…良かった。しかし、亡くなったのは彼女の方だったのか、それ以来姿を見かけなくなってしまった。ピョン吉は少し淋しそうにも見える。 『ピョン吉…大丈夫、私がいるよ。一人者同士がんばろうね』 そして今宵も月をみながらピョン吉と酒を交わすのだった。
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