かつては複雑な心理的問題の原因を主に過去の養育歴に求める「精神分析的心理療法」が隆盛を見せ、その反発として出て来た現在だけを扱う「認知行動療法」の推古という流れを見せてきた心理療法の歴史ですが、ここに来て・・・！！

認知行動療法から出て来た「スキーマ療法」。研修会に行ってきました。

これが・・・！！人の心の中の強い信念としてできてしまった「スキーマ」（思い込み）を探り、それを過去の養育歴に立ち戻って解決していてこう、認知を修正していこうとするもので、認知行動療法の新療法と言われるものが、かつてはアンチだった精神分析的心理療法への回帰か？？？と驚きました。

私の立場も、人間の複雑な心理的問題に関しては、現在と過去とそんな白黒をつけられる問題ではない、両方が影響しているし、心理的成長が過疎的であった幼い頃の両親との関係の質を抜きにしては語れないことがほとんどである、という考え方です。

だから認知行動療法が主流の心理療法の流れの中でいても、大学院で最初に学んだ精神分析的精神療法の考え方から手を離すことはなかったし、今も交流分析のスーパーバイザーについて、交流分析の世界でもサーティファイドされることを目指しているところです。

スキーマセラピーのことを少しご紹介すると、スキーマの種類には約16個あるとのこと。人はそのうちの２～３個、あるいはそれ以上を持っていることが多い。それが何であるのかを明らかにして、それが幼い頃の両親との関係のどこから出て来たのであるのかを明らかにして、研修ではグループセラピーで、それとの決別をエンプティ・チェア技法を用いてアクトアウトしていました。空のイスに、そのようなスキーマを押し付けてきた親や体験が座っているのを見立てて。エンプティ・チェア技法ですよ・・・！それは戦後の人間性心理療法が出て来た時にすでに出て来たゲシュタルト・セラピーじゃないですか！

ともあれ。16個のスキーマを簡単にご説明します。

スキーマ領域：断絶と拒絶

１・見捨てられ／不安定スキーマ

情緒的愛着を持った相手はやがては自分を見捨てて去っていく、自分は必ず見捨てられるという思い込み

２・不信／虐待スキーマ

人は関わればやがては自分を利用し良いものをとっていく、自分は利用されていくと言う思い込み

３・情緒的剥奪スキーマ

人は自分の情緒的ニーズ（愛情、共感、保護など）を結局は与えてくれないと言う思い込み

４・欠陥／恥スキーマ

自分は生まれつき欠陥人間だと言う思い込み

５・社会的孤立／疎外スキーマ

自分は世界や他の人ととても違い、コミュニティの一員とは感じられないと言う思い込み

スキーマ領域：自立性と行動の損傷

６・依存／無能スキーマ

自分の力では、毎日の責任や活動を自立的に負うことは出来ないという思い込み

７・損害や疾病に対する脆弱性スキーマ

人はいつも大きな災害や厄疫病気（事故やダメージ）にさらされ、いつそれが来るか分からず、無力だと言う思い込み

８・巻き込まれ／未発達な自己スキーマ

自分の中にはアイデンテティや内的方向性がほとんどなく、常に人に従い期待に応えなければならないなどの思い込み

９・ 失敗スキーマ

自分は、同年代の人に比べて仕事や学校やスポーツで常に失敗すると言う思い込み

スキーマ領域：制約の欠如

１０・権利要求／尊大スキーマ

何でも欲しいがままになるという思い込み

１１・自制と自立の欠如スキーマ

自制、忍耐、責任を負うことが無理だと言う思い込み

スキーマ領域：他者への追従

１２・服従スキーマ

服従しなければならないという思い込み

１３・自己犠牲スキーマ

犠牲にならなければならないという思い込み

１４・評価と承認の希求スキーマ

常に評価や承認を求めなければならないという思い込み

スキーマ領域：過剰警戒と抑制

１５・否定／悲観スキーマ

常に悲観的な予測通りになると言う思い込み

１６・感情抑制スキーマ

感情を持ったり表現してはいけないと言う思い込み

１７・厳密な基準／過度の批判スキーマ

常に完璧でなければならないという思い込み

１８・罰スキーマ

罰を受けるという思い込み

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