求人情報を見て応募する
職探しをするには、インターネットの利用が最も簡単だ。便利なうえに料金も安いので利用する会社が増えている。応募は期日までに履歴書(Resume、Curriculum Vitae)を郵送するか、電話連絡のうえ履歴書を送付する。Emailで送る場合は、履歴書のデータ形式に注意すること。応募者数が多いと返事に数カ月かかることもあるので要注意。
オンラインのリクルートサイトは数多くあるが、「Job Search(ジョブ・サーチ)」では、オーストラリア全国の求人情報が検索できる。JobSearchは連邦政府が資金提供する、オーストラリア最大級の無料オンライン求職サイト(www.jobsearch.gov.au/)だ。
新聞の求人情報欄は「Classified」や「Employment」欄になる。日本人の場合、「Japanese」とか「Japanese Speaker」と書かれた求人広告を探すのがよい。そのほか日本語情報誌や留学情報センターなどの掲示板も上手に利用したい。
人材紹介・派遣会社に登録
日系の人材紹介・派遣会社は、日本人や日本語を話す人の求人情報を多く持っている。豊富な求人情報があるので、個人で探すよりも、時間やコストの無駄も省けるし、面接時での注意事項やアドバイスも聞けるという利点がある。
一方で十分な英語力や資格を保持している場合、オーストラリアの人材紹介会社に登録することも可能だ。日系人材会社と比べると、「日本語」を武器とする求人は少ないが、職種、業種は豊富だ。
登録には、まず電話で面接の予約を入れる。その際、英文および和文の履歴書やパスポートなどを持参する必要がある。以前に勤
めていた会社のReference(紹介状)や学校の卒業証書などがあれば、なお良い。また、英語力を証明する英語検定テストのスコア
や職歴を記載するよう求められることも多い。
履歴書と面接
ほとんどの会社では学科試験や作文提出などの入社試験がなく、あくまでも履歴書(Resume)と面接(Interview)で採用が決まる。希望する仕事が見つかれば履歴書を送付して面接の連絡を待つことになる。日系企業など、英文・和文両方の履歴書が必要な場合もある。IELTSやTOEICなどの英語スコアや具体的な職歴を記載すると、より長所(Strength)が伝わりやすい。
面接で注意したいのは、基本的なことだが時間の厳守ときちんとした身なり。また、しっかりと自己をアピールすることが大切。給料についても希望する金額をはっきりと伝えること。勤務条件や休暇などしっかりと確認しよう。
●リファレンス
求職する際、履歴書と一緒に提出するのがリファレンス(Reference)と呼ばれる紹介状で、通常2、3通用意する。日本では、知己を頼って就職する際に必要だったりするが、オーストラリアでは一般的にリファレンスを利用しており、以前の会社の上司や学校の担当教官、ある程度社会的地位のある知人などに、「この人を推薦します」といった内容の文書を書いてもらう。
就労制限のあるビザの場合
ワーキングホリデー(WH)ビザは同一雇用主の下で6カ月、学生ビザは期間の制限はないが隔週で40時間まで、という就労制限があるため、希望通りの仕事に就くことは簡単ではない。一般的に、十分な英語力と一定以上の経験があれば、タイミング次第であるし競争率は高いものの、WHビザ保持者でも3〜6カ月の短期の仕事、学生ビザでもパートタイムの中・長期の仕事に就ける可能性はある。
WHビザ、学生ビザから「就職」を考えている場合、企業から「就労ビザ」をスポンサーしてもらう必要があるが、大変困難である。可能性はゼロではないがきわめて低いため、駄目もとという考えではなく、本気でオーストラリア就職を目指す場合は、まず永住ビザの取得を先に検討することが望ましい。
永住ビザ取得にはいろいろな方法があるが、一般的なのは技術独立移住といって、①今までの技能、英語力などによるビザ申請、②これから技能(資格)を取得してのビザ申請、が考えられるが、つまり永住ビザ取得のためには何らかの技能が必要ということになり、逆に言えば、今から取得すれば永住ビザのみならず就職にもつながっていくと考えられる。ビザと資格があれば自動的に仕事があるということではないが、少なくともビザがないとスタートラインにも立てず、また永住ビザを取得する過程で技能(資格)を取得することができる、ということになる。
ワーキングホリデー(WH)ビザの場合
ワーキングホリデー(WH)ビザは原則として、同一雇用主の下で最長6カ月間、就労することができるが、2015年11月から、オーストラリア北部地域の需要の高い業種に限り、同一雇用主の下で最長12カ月間の就労が可能となった。
この改正の背景には、WHビザの申請数が減少傾向にあることや、観光業界など需要の高い業種での人手不足がある。
また、WHビザ保有者の場合、2016年7月から所得税の非課税枠(上限1万8,200ドル)の廃止が予定され、これが導入されると一律に32.5%の所得税が課せられることになる。このため、観光産業などWHビザ保有者を主な労働力としている業界からは、非課税枠廃止の見直しや、北部地域に限定している12カ月の就労期間を全国に適用するよう要請したり、現行の30歳までの年齢制限を35歳まで引き上げるよう求める意見が上がっている。
センターリンク(Centrelink)
政府運営の職業紹介所がセンターリンクだ。オーストラリア市民または永住者なら誰でも、就職先を探すために、CentrelinkまたはJob Services Australia(JSA)に登録できる。また、失業手当てや家族手当てなど、さまざまな社会保障費の受付・支給の窓口でもある。
そのほか、取得資格や技能を国内で認定する機関を紹介したり、他の雇用サービスの紹介なども行っている。
・センターリンク(Centrelink)www.humanservices.gov.au
さまざまな勤務形態
自分のライフスタイルに合わせて、フルタイム勤務(Full-timeWork)のほかにも、パートタイム(Part-time Work)やカジュアルワーク(Casual Work)を選ぶ人が多いが、勤務(雇用)形態に応じて労働条件も異なる。フルタイムとパートタイムでは、勤務時間の違いで休暇などの権利が異なるが、その他の労働条件は同じだ。
カジュアルは業務に応じて不規則に勤務するため、原則として有給休暇などの権利はないが、アウォード(Award、労使裁定)と呼ばれる労働条件では賃金が高めに設定されている。Awardには労働時間、休暇、最低賃金などが細かく定められているので、雇用主、従業員とも確認しておくこと。
労働条件を確認
オーストラリア政府は労働基本法であるFair W ork A ct 2009を制定し、全国雇用基準(National Employment Standards、NES)おいて、労働条件の最低基準を定めている。
●最低賃金(Minimum Wages)
各職種毎に経験・能力別に分類された標準賃金が設定されている。20歳未満の場合はジュニアとして年齢別の賃金基準が、またパートタイムやカジュアルにもそれぞれ賃金基準がある。
●労働時間(Hours of Work)
フルタイムの最大労働時間は、週5日(月〜金)、38時間。パートタイムは、最低週2日、12時間以上の勤務が必要。通常、パートタイムは週30時間以内。一日の労働時間は7〜8時間が標準。一般的には6:00〜18:00の間で、それ以外の時間帯は割増賃金となる。
●年次休暇(Annual Leave)
勤務開始から1年を経ると、4週間(20日間)の有給休暇が認められる。未消化日数は翌年に繰り越され、退職する際に未消化分を金銭換算して受け取ることができる。
●永年勤続休暇(Long Service Leave)
10年以上の永年勤続者には通常2カ月(8.6週間)の永年勤続休暇が与えられる。以後5年ごとに1カ月(4.3週間)の休暇が与えられる。10年〜15年の場合は、年数に応じた割合で休暇がもらえる。
●疾病・介護・忌引休暇(Personal/Carer's Leave)
病気やケガ、病人の看護などで休む場合に取得でき、年に10日間の有給休暇が認められている。なお、10日以上は無給の疾病休暇がその都度2日間認められる。そのほか、家族の死亡などの忌引が有給で2日間認められる。
●育児関連休暇(Parental Leave)
1年以上勤務の場合、無給の出産休暇や育児休暇(Maternity Leave、Paternity Leave)が認められる。女性の場合、妊娠中もしくは出産後に最長52週間の出産休暇が、男性の場合は出産後の育児のために最長52週間の育児休暇が認められる。休暇後は原則として以前と同じ職に復帰できるが、少なくても復帰の4週間前までに書面で希望を伝えること。
●有給育児休暇(Parental Leave Pay)
出産や養子縁組で育児休暇が必要な場合、有給の育児休暇(Parental Leave Pay)が最長18週間認められる。受給資格は、出産(養子縁組)前13カ月のうち10カ月以上勤務し、課税所得が15万ドル以下の場合。この間の給与は最低賃金に基づいて計算される。
なお、有給育児休暇の受給に際しては、同じ赤ちゃんに対する出産一時金などの新生児手当ての同時受給はできない。
●納税者番号
オーストラリアでは納税者番号(Tax File Number、TFN)制度が実施されており、就労する場合には税務局から納税者番号の交付を受けること。納税者番号がないと雇用主は給与から最高税率を源泉徴収することになる。
ワーキングホリデーの場合でも就労するには取得したほうがよい。納税者番号は、所得税申告書(TaxReturn Form)を提出する際や、就職時に納税者番号告示書(TaxFile Number Declaration Form)を提出する際に必要になる。
納税者番号はインターネット(https://www.ato.gov.au/Individuals/Tax-file-number/Apply-for-a-TFN/)でオンライン申請ができる。通常、28日以内に納税者番号が郵送されてくる。
フェアワーク・オンブズマン
フェアワーク・オンブズマン(Fair Work Ombudsman)は、労働基準監督署の機能を有し、職場の労使関係問題の調査と法令遵守の徹底を行なっている。特に近年は海外からの労働者が最低賃金以下で就労しているケースが摘発されることが多く、従業員に対する未払い賃金の支払いや雇用主への罰金などがニュースになっている。
雇用主や従業員への教育・啓発活動をはじめ、無料の情報提供やアドバイスを行なっているので、就労に関するトラブルなど、問い合わせてみよう。
外国ではいろいろと文化の違いに驚きますが、意外と忘れがちなのが、その国の「祝日」。いつも通りの平日だと思って通学・通勤…
グローバル化が著しい昨今、日本国内でも英語を使用する機会が増えています。 英語の習得を目指すにあたって、英語環境に身を置…